2000/ 7/10(月)

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★ICMAS 2000 私的レポート - 目次   ◎ほーむ


日本時間この日の真夜中までに防災情報論のレポートをメールで提出しなければならなかったので, ノート PC 上の ssh 化 Teraterm で京都にログインして,Mule と Mew でレポートを作成して,朝のうちに提出にこぎ着けた.Reading assignment なので,資料はもちろん日本から持参してある.用意周到でしょ?

いよいよ ICMAS のメインの行事が始まった.Initial Remarks のあと,Malone の招待講演 "Musings on Multi-Agent Systems". 内容は,マルチエージェントシステム (MAS) の未来について.Malone によれば,MAS はますますコンピュータサイエンスの研究の本流になりつつある. その理由は二つ.一つは ubiquitous computing にみられるようなマシンとエージェントの増加であり, もう一つはその間の通信コストの低下である.MAS の研究手法として既存の社会的システムのアナロジーを使うというのが重要なものの一つである. ビジネスはこの100年の間に小さなビジネスから集中ビジネスへ, そして再び分散「ネットワーク」型ビジネスへと変化してきたが, これは通信コストの低下によるものである.最終的には遠隔的にほとんど *すべての* コミュニケーションが可能になるだろう.将来シナリオとして,SOHO などの進化型の「e-lance economy」を提唱する.半導体の集積度の指数的向上に関する Moore の法則によれば,21世紀の終わりにはヒトの脳と同じくらいの計算能力が手に入るだろう. 社会もそれに応じて変わる.そして,われわれはこのような動きをよくも悪くも作っていく人たちなのである. What do we want to do with the awesome possibilities we are creating?

Malone のこのような野心的な主張に対し,「これまでの多くの将来予測は当たらなかったのでは?」 「確かに.しかしすべてがそうだったわけではないし,将来予測は役に立つものだ」などと活発な討論が繰り広げられた.

その後午後まで一般発表を聴いた.一般発表は Imperial Ballroom, Plaza Ballroom の大小二つの部屋を使って並行して行われた.

ちなみに ballroom って何なんだろうと思って,Y 先生に「球技でもするんですか?」と聞いたら, 「いやいや舞踏会をするんだよ」と.でも小学校の体育館とそっくりの大きさと構造なんだもの. 彫刻や装飾が豊富な点は違うけれど.

一般発表の後,招待講演として北野先生が RoboCup Rescue の宣伝をしてはった.サッカーロボットから災害対応ロボットへ飛躍しようという, 日本の情報畑ではけっこう有名なプロジェクト. 日本の研究者にしては珍しく宣伝がうまいのだと思う. でも災害対応ロボットって結局,戦争ロボットと紙一重だよね, と改めて思った.

昼食は(確か近くの au bon pain で)クラムチャウダーとサンドイッチなど. ボストン名物というクラムチャウダーはおいしかった. 「えらい人ばかりが来ているみたい」と言ったら,「そうでもないよ」と Y 先生.「でもあなたがいちばんぺーぺーかもしれないが」.

夕方はレセプション.このレセプションでは妙に料理が少なかった. パスタ系の料理が二品ほど,タコス,チーズ,それにケーキぐらい. ビュッフェスタイルだが,飲み物だけは一人1本制. ビールはいろいろあったが,私は赤ワインのグラスを頼んだ. 速く飲んだせいか酔ってしまって,Y さんと Y 先生がしゃべっている声が,あたかもずっと遠くでしゃべっているかのように聞こえるようになってしまった.

ケーキは2種類あったが,私はにんじんケーキを取った. 丸いケーキを放射状に切った形.上と外側がバタークリームで, 上下2段にスライスしてある間にチーズのクリームがはさんであり, にんじんをかたどったマジパン細工がトッピングしてあるのだが, マジパンを除けば「これなら私にもできそう」と思ってしまうほど素朴なケーキだった. しかもかなり甘い.

昨日買ったかもさんおとおりを読んだ.小さいときとは違った新しい発見があった. 子どもに読ませたい本だと思った.

夜は Clarke 税について Y 先生と語った.そういえば, CVM は全然誘因両立性がないよね,と.私の知人も CVM を研究していたりするけれど.


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