2000/ 7/ 9(日)

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★ICMAS 2000 私的レポート - 目次   ◎ほーむ


朝食は ICMAS の主催者が無料でビュッフェ形式で提供しているので, それを食べることにした.コンチネンタルブレックファストということで, 昨日の朝食とだいたい同じ内容.そりゃそうだ.ホテルが出しているものだもの. すごくおいしいオレンジジュース.フルーツ.ベーグルと甘いケーキ.コーヒー. ただしヨーグルトパフェはない.

午前は,ホテルでチュートリアル.講師はフィンランド出身で米国にいる Tuomas Sandholm.題目は "Economically-Founded MAS"(MAS というのは multiagent system(s) のこと).

Sandholm は発表論文数を稼ぐためにさんざん質の悪い論文を投稿してくる,と, うちの研究室では評判がはなはだ悪いが, チュートリアルの内容はまともだしわかりやすかった.ただ, 独特の早口の英語がなかなかハード.

Sandholm のチュートリアルの内容は以下のとおり. マルチエージェントシステムの中でも自己中心的(⇔協調的)エージェントからなるものを扱う. このようなシステムには計算量的制約がある.投票を形式的に定義すると, オークションは投票の一種となる. 電子商取引にはさまざまなマルチエージェントシステムが応用可能である. エージェントの世界にはプロトコルと戦略の二つの側面がある. エージェントのタイプとは効用関数のことである. 計算量的制約を入れた限界合理性という概念が存在する. マルチエージェントシステムの設計原理として顕示原理が存在する. 顕示原理によれば,計算量を度外視すれば複雑なメカニズム(プロトコルのこと)は必要がない. ゲームの均衡には Nash 均衡,強 Nash 均衡,耐結託 Nash 均衡などがある.

投票のパラドックスについて (Arrow). 真の選好を表明しない「戦略的投票」が考えられる.これを防止するために Clarke 税が考えられる.しかし,集まったお金をどうするかというのと, 結託に弱いというのが,欠点.戦略的投票を防止するために, 全部の票を入れた箱から無作為に選んだ票に書いてあった人を当選者とするという別の方法も考えられる.

Vickrey オークションは Clarke 税の一つである.オークションの分類,収入等価定理について. 収入等価定理は個人価値の場合のみ成り立つ.さもなければ winner's curse が存在.複数単位・複数財オークションについて. 一般均衡メカニズムは結託に弱いのでうまくいかないだろう.

チュートリアル後,その辺を散歩.このホテルはボストンの繁華街の端(京都でいうと市役所のあたり?)にあるので, 歩いて街を回れる.

レストランは高いところが多い.15% のチップを入れるとなおさらだ. しかも料理の名前が英語で書かれるとおいしくなさそうに見えてしまう. "Swordfish" とか "Rib" とか単刀直入に大きな文字で書いてあっても, 食欲をそそらないのである.

ボストンの代表的な繁華街である Newbury St., Boylston St. を歩き,タイ料理店で食事.油っこくて量が多い. タイ料理店なのにテラスがあるのがアメリカ的.

帰ってしばらく寝て,メールを書いて, 絵本『かもさんおとおり』の原書を買って,Y さん(一般化 Vickrey オークションのえらいひと)と Y 先生と居酒屋的レストランへ.この店の Boeuf braisee(英語での名前は忘れた.要するに牛肉のかたまりの煮込み)はおいしかった. 3人で $90(チップ込み)ぐらい. このお店はいろいろな種類のビールが置いてあるのが特徴で,$5 で "sampler" が頼める.これは,小さなコップに6種類のビールがそれぞれちょっとずつ入っているもので, それぞれの種類をちょっとずつ飲んでみることができるというわけ. おもしろいしくみだと思った.ただ, どの種類のビールも自己主張が強くてあまりおいしいとは思えなかった.


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