7月17日(日)


写真 96
写真 95

モントリオールからオタワへの移動日.朝食をとって宿を出て,中央駅へ向かう(写真 95).あいにくの雨ではあるけれど,駅までは地下鉄で行くのでほとんど濡れることはない.中央駅はケベックのパレ駅にもまして飲食店が充実していて,雑誌・新聞・飲み物などを並べる物販店もある.パレ駅と同様,改札口はなくて,列車への乗車案内があるまでホームに下りることはできない.ホームに通じる階段のところには,列車番号と行先の記載された表示板が掲げられていて,その周辺で待っていればよい(写真 96).飛行機と同じように,乗車の案内と最終案内が放送で流れて,その間はホームに通じる階段に係員がいて案内などするようになっている.

驚いたのは,ホームの多さだ.列車の本数が少ないのに(1時間に4, 5本程度?),着発番線が10本かそれ以上ある.潤沢な設備というべきか,過剰投資というべきか.昔はもっと本数が多かったのだろうか? だとしても,東京駅の中央線がわずか2本,新幹線が6本なのと同じ比率で利用されるほどの列車が走っていたとは考えられない.

写真 98
写真 100
写真 97
写真 99

9時50分ごろ列車に案内される(写真 97).コンフォートクラス(エコノミークラス)で,座席配列は 2-2.デッキ付近に手荷物置き場があるほか,頭上に荷物入れがある(写真 98).乗り継ぎ列車からの乗客を待つとのアナウンスで,10時30分にようやく発車した(写真 99写真 100は,今回利用した列車と共通の塗装の列車を車窓から撮影したもの).途中は単線だから,30分も遅らせたら対向列車との行き違い場所が変わってきてしまって困るのでは,というのは余計な心配だろうか.10時50分 Dorval 停車.検札の後車内販売があった.11時31分 Alexandria,11時53分 Casselman.車窓の風景についていうと,畑や牧草地も多いけれど,けっこう広い範囲で森林(山地ではなく平地の森)とか,湿地,潅木がちらほら生える草原など,人手のあまり入ってなさそうな土地が多いのが目を引く.

写真 101

12時17分オタワ駅着.駅は黒の鉄骨のトラスが印象的な,モダンというべきか,少し古いスタイルの建築だ.バスの乗り場がなかなか見つからず困った.アメリカの空港と同様,ターミナルを出てからの案内がとても不親切なのだ.駅のすぐ前に横付けされるのはタクシーや自家用車で,バスは橋を渡ったところに停留所がある(写真 101.Train と書いてあるのは,列車が来るよという意味ではなくて,「トレイン」という名前のバス停であるらしい).ダウンタウンまで 2.75 ドルきっちり必要なのだけれど,市内で売っているバスチケットも小銭も持ち合わせがなければ困ってしまうに違いない.

写真 102

10分少々でダウンタウンに着き,徒歩10分少々で Inn on Somerset に到着(写真 102).この宿は,期待しただけのことはあってすばらしかった.内装,家具調度のすべてが重厚であると同時によく手入れがされているのだ.Victorian elegance をうたうだけのことはある.どこかの博物館の展示に「19世紀の寝室」との展示があるのをそのまま持ってきたような感じだ.客室にテレビ・冷蔵庫・エアコンはなく,私の予約したのはバストイレ共同の部屋だけれど,バスは掃除が行き届いていてよい.食堂・居間・テレビ室も揃っている.日本でいえば京都の老舗旅館のようなと言ってはほめすぎだろうか.ロンドンの Gower St. の Arran House Hotel,パリの rue St-Lazare の Hôtel Langlois と並んで定宿にしてしまいそうだ.懐に余裕があれば暖炉のある部屋などを予約すればさらによい.

写真 105
写真 107
写真 104
写真 106
写真 103

宿を出てエルジン通り Elgin St. を北上(写真 103).途中のレバノン料理店でベジタリアンサンド(小麦粉の薄い生地を丸く延ばして焼いたものに具をくるむ.日本でいう「ラップ」だろう)を食べる.コンフェデレーション広場 Confedaration Square(写真 104)を眺め,リドー運河 Rideau Canal という運河の終点近くを観覧する(写真 105写真 106).リドー運河については別に項目を起こして取り上げたい.

コンフェデレーション広場脇の,エルジン通りとスパークス通り Sparks St. の交差するところにある案内所で,水陸両用バスツアーのチケットを購入.何も言わなかったのに学生料金にしてくれたのは,若く見えるということだろうか(笑).出発までスパークス通りを散策する(写真 107).この通り沿いの街並みとオタワ川べりの国会議事堂を含む一帯は雰囲気のよい観光スポットである.オタワはモントリオールと違って小ぎれいな街並みで,行き交う人も観光客が多いせいかせわしさがないのでくつろぐことができる.アメリカでいえばワシントン D.C. を小ぶりにしたようなものだろうか.付近の土産店でメープルシュガーなど購入.

写真 109
写真 110
写真 108

水陸両用バスツアーでは,アメリカ的なノリのよさを備えたガイドのお姉さんの英仏語によるしゃべくりに圧倒されつつ,オタワとガティノー Gatineau の見どころを水陸から見て回る(写真 108写真 109写真 110).水陸両用バスはまず地上を観光した後,オタワとガティノーの間を分けるオタワ川/ウタウエ川 Ottawa River / Rivière des Outaouais に入り,そのままオタワ川を遊覧してから出発地に戻る.オタワ(オンタリオ州)が首都であるとはいえ,ガティノー(ケベック州)にも連邦政府のビルがあって,かなりの機能が集中しているのだと知る.一般に都市観光では1日目に短い観光バスツアーに参加し,その都市の見どころを把握するとよいけれど,このツアーは水上からの眺めも楽しめるとあって,一粒で二度おいしいのでおすすめだ.

ツアーは1時間ほどで終了し,リドーセンター Rideau Centre へ.典型的なショッピングモールで,自分用の土産としてナイアガラの白ワイン(ハーフボトル)を購入してから,1階のフードコートの中華売り場へ.steamed rice(大多数の日本人には好まれないと思うけれど,私はこの味がけっこう好きだ.何より fried rice よりさっぱりしている)に spicy beef をかけてもらう.ここではバスチケットを買いたいと思っていたのだけれど,食べているうちに17時を回って,日曜なのでセンターの閉店時刻になって,閉まってしまったので,バスチケットは買えずじまいとなった.

歩いて宿に戻る.途中一時激しい雨.どうもケベックからこのかた,日本の梅雨どきのような不安定な天候が続いているようだ.ケベック滞在中に降らなかったのは運がよかった.宿泊客はごくまばら.20時30分ごろ就寝.