7月12日(火)


行きは成田空港からトロント行きに搭乗し,トロントで乗り換えた後ケベックに向かうという段取りになっている.飛行機が遅く出発するので,家を14時ごろに出れば十分余裕があり,そうすることにした.

写真 2
写真 3
写真 1

東急田園都市線から JR 山手線に乗り換え,日暮里へ.京成電鉄はスカイライナーと一般特急が運行していて,日暮里に着いた時間によっては一般特急の方が終点の成田空港まで先着することがあり,今回はちょうどそんなタイミングだったのだけれど,せっかくなのでスカイライナーを頼む.一般特急は通勤用車両と同じロングシートだけれど,スカイライナーは成田エクスプレスと同様の進行方向向き2人掛けシートなのでくつろげる.大きな荷物はデッキ付近に置けるのもよい.JR 線からの乗り換え改札口近くにはスカイライナー用の待合室があり,米ドル・ユーロなどの現金も売っている(写真 1).列車が到着するまで待合室でしばらく待って,15時25分発スカイライナー31号に乗車(写真 2写真 3).

青砥駅直前は,高架がなんと2階建てになっていて,下り線はその上層部を通るので,その規模の大きさに目をみはってしまった.青砥から高砂までの1駅間だけ複々線区間となる.その先,船橋駅付近は高架化の工事の最中で,上り線のみ高架への切り替えが完了していた.

写真 4
写真 5

定刻に空港第2ビル駅到着.少々手持ちのカナダドルが少なかったので,改札を出てすぐのところの,京成電鉄グループであるらしい両替所で T/C を購入して,エスカレーターで出発ロビーへ(写真 4).

旅行会社の委託しているカウンターで航空券を受け取り,搭乗手続きのため AC のカウンターへ.20分少々並んで待つ.預け荷物はトロントでいったん引き取って税関を通る必要があるとのこと.カウンターのはかりで量ったところ,預け荷物はわずか 6.4 kg だった.

第2ターミナルのサテライトが搭乗口として指定されており,無人運行の風変わりな乗り物(写真 5)でサテライトへと向かう.モノレールに似たレールが軌道の両側に付いていて,車体の横でそれをはさむという仕組みらしい.今回搭乗する AC 2便は NH との共同運航で,NH の便名も案内されていた.搭乗手続き以外は至極順調で,並んで待つことがなかったので,搭乗口付近で1時間ほど待つことになった.周りにはヒスパニックの人が多い.中南米に乗り継ぐのだろうかと想像する.米国で乗り継いでもいいのだけれど,米国は外国人の入国に厳しいので,乗り継ぎだけでもビザが必要になるという問題があるのだろう.搭乗は急ぐことはないので,案内があってからもしばらく待って,列が途切れるくらいを見計らって機内へと向かう.

機材は A340.座席配列は 2-4-2 で,シートは濃緑色を基調とした格調高いもの.前のテーブルの裏に,VEUILLEZ GARDER VOTRE CEINTURE BOUCLÉE と書いてあった.ceinture というのはシートベルトを意味するらしい.

機内安全ビデオは,仏語はほとんど聞き取れなかった.発音は明瞭なので,つまるところ私はまだ仏単語をそれほど知らないということなのかと.

前の座席の背のポケットに入っている機内誌はオール英語・仏語で,un service sans escale = non-stop service,service à code multiple = code share route などの用語を覚える.appareil という単語は,器具,特にカメラを意味したり,製菓用語ではタルト(パイを含む)の,中に詰める方の生地を意味したりといろいろな意味があるわけだけれど,航空用語では単に aircraft と訳せばいいらしい.hub city は plaque tournante と,少し予想のつかない対応のしかたをしているというのも興味深い.KLM と異なり日本語の機内誌の配布はなかった.

機内はずいぶん空いており,19時01分に出発.飲み物とスナック,温かい手拭きのサービスがあり,前方のスクリーンでは英語ニュースと仏語ニュースなどを上映.千島列島南方を飛行中に時計を13時間戻して,日本標準時から東部夏時間 EDT にすると,時刻は朝の7時30分になる.最終目的地はケベックだけれど,トロントも同じ時間帯だ.

ほどなく食事.メインはチキンカレーとサーモンの選択で,サーモンを選ぶ.赤っぽいクリームソースがかかっていてヌードルが付いていた.飲み物は白ワインを頼む.食事も白ワインも普通の味.ただ,食後にハーゲンダッツのアイスクリームが供されたことは特記しておきたい.

12時10分ごろ夜食として,サンドイッチ,おにぎり,カップラーメンのサービスがあった.これは離陸後しばらくして予告があったもので,個人的にはなくてもいいと思うのだけれど,せっかくなのでサンドイッチを頼む.丸パンを切ってハムとレタスがはさんである,簡素なものだった.

16時40分ごろ温かい食事.メインはオムレツか,鮭とご飯からなる日本式朝食の選択だった.日本時間では朝の5時過ぎだから,頭は朦朧としつつもスイッチが入ってくるころだ.

17時50分トロント着陸.搭乗口に降り立つと,アメリカの空港やモールにそこはかとなく漂っているあの独特の匂いに包まれる.香水なのだろうか.それも違う気がする.空調に芳香剤が入れてあるのだろうか.名古屋のノリタケのアウトレットでも同じ匂いがすることを思い出す.これも,なぜなのだろう.

この空港は工事中のため,サテライトからターミナルまでのバスでの移動に10分以上を要し,18時39分にターミナルに到着.入国審査は税関申告書も合わせて見せる方式だった.税関審査も合わせ,11問ほど英語で質問があった.ずいぶんいろいろ聞くものだと思ったけれど,米国入国時と異なり生体情報の採取はない.

パスポートに入国スタンプを押され,荷物を引き取って税関を通り(申告書を提出するだけだ),荷物を再度預けて出発搭乗口に移動.こちらは国内線の搭乗口なので,付近にはカフェテリアや新聞を売っている店などがある.この空港では着陸からターミナル到着までかなり時間がかかったものの,その他は迅速でストレスを感じさせなかった.

写真 6
写真 7

搭乗口付近で数十分待って,19時40分 AC 686便に搭乗(写真 6).UA との共同運航で,機材は CRJ,座席配列は 2-2.19時50分定刻発.沈みつつある太陽を左手にして,はるか航空を,遠くの雲を眺めながら飛ぶ.地上の風景は,雲によって遮られてはいないものの,一様に青みがかっているので見分けられない.やがて雲は過ぎ去って,見渡す限りの水平線が橙色に染まる.夕焼けだ(写真 7).

いよいよ日が沈むと,地上の景色はますますもやがかかったように見え,水平線の橙色も濃くなった.そろそろケベックへ向け下降に入るころだ.

21時11分着陸し,ほどなく搭乗口に降り立つ.荷物を引き取ってタクシーに乗り込む.途中フリーウェイも通行し,かなりの距離があった.道すがら見える景色は,アメリカライクな大型店がぽつんぽつんと建っていてあまり好ましくないが,中心街に入るともう夜も深いのに人が大勢歩いていて,平和な雰囲気である.22時過ぎホテルに到着し,チェックインをすませてすぐ就寝する.