7月21日(月)・22日(火)


写真 72

晴.朝食は7時に始まるので7時にサロンに出向き,オレンジジュース,カフェオレ,パン,チーズ,ジャムの朝食.7時半に宿を出て,10分ほど歩いて RER のオスマン・サンラザール駅 Haussman St-Lazare へ.RER というのはパリ市内と近郊を結ぶ鉄道網で,地下鉄(メトロ)に比べて駅間が長い,速度が速い,遠くまで路線が伸びている,1本の路線にいろいろな行き先への列車が走っている,駅を出るときにもきっぷを提示する必要がある,といった点に違いがある.地下鉄との連絡があまりよくないというのと,運転間隔が心もち空いているのが欠点だろうか.昨日ホテルのフロントで聞いたら,シャルル・ド・ゴール空港ならオペラ・ガルニエからバスが出ているからそれを使うことを勧めます,というアドバイスだったのだけれど,鉄道の方が定時性が高いと思ったので RER を使うことにしてみたもの.駅はコンクリート打ちっぱなしの開放的な空間で,間接照明もうまく使っている(写真 72).10分少々待って乗車.始発駅だからか,乗客はごく少ない.次のマジェラン駅 Magélan で下車して,改札を出ずにガール・デュ・ノール駅 Gare du Nord RER のホームへ向かう.マジェラン駅とガール・デュ・ノール RER 駅は多少離れているけれど同じ駅という扱い.ガール・デュ・ノールというのは国鉄のパリ北駅のことで,その地下に RER の駅があるので,間違って国鉄駅に行ってしまわないように注意が必要だろう.空港行きの列車はすぐに来た.乗客は多くも少なくもなく,途中の駅をいくつか通過して空港第1ターミナル駅へ30分で到着.シャトルバス navette に乗って少々で,有名なドーナツ形のターミナルビルへ.このターミナルビルは子どものころから本で読んで興味深く思っていたのだけれど,いざ来てみると少々狭苦しいようにも感じる.天井が低いからか,それとも建設当初に比べて旅客数が増えたからだろうか.

チェックイン enrégistrer して指示されたサテライトへ向かったのはよいものの,一向に飛行機が姿を現さない.カウンターで聞いてみたところ混雑による遅延とのことで,結局出発は1時間遅れとなった.普通,飛行機はターミナルに対して前向きに駐機するので,出発時には専用の自動車に押してもらってターミナルビルを離れることが多いのだけれど,今回は飛行機は横付けされていたので自走で滑走路に向かった.離陸は13時ちょうど.

KL1232便アムステルダム行き,機体は B737-300 で,座席配列は 3-3.離陸後わずか45分で到着する短距離のフライトで,飛行高度もひつじ雲のすぐ上という低いところなのだけれど,サンドイッチと飲み物が提供された.14時05分,スキポール空港のターミナルに足を踏み入れる.以前どこかで読んだことがあるけれど,ゲートには地上係員の人たちが揃っていて,ニューヨーク,コペンハーゲン,大阪へ乗り換えようとしている人に声をかけていた.これらの都市への便は出発時刻が迫っているためで,東京行きはかろうじて呼ばれてはいなかったものの,すでに搭乗中の表示が出ていて,ビル内を足早に横断し,出国審査を通ってミュージアムや免税店を横目で見つつゲートに着いたのは14時13分.ニューヨーク行きは14時15分発らしく,もう少し飛行機が遅れたら待ってくれなかったに違いない.直ちにKL861便東京行きの機内に入る.出発時刻は14時40分の予定で,機体は行きと同じ機種の B747-400 だった.

バルト海上空で軽く揺れたものの,じきに収まり,夕食.Fish or pasta? と聞かれてびっくり.普通は Beef or chicken? なのでは,と.魚を頼んだところ,さわらに似た魚のかば焼き風に白いご飯を付け合わせたものが出てきた.日本に20年以上暮らしているけれど,さわらのかば焼きという食べ物には初めてお目にかかった.容器の上のシールを見ると,JAPANESE BUTTERFISH YAKITORI SAUCE とある.魚の焼き鳥ですかい.

行きもそうだったのだけれど,この会社はタイ航空や日本航空に比べて機内食がやや簡素.もっとも交通機関は安全性・定時性・アクセスのよさといった点を重視して選びたいので,ヨーロッパに行くならやはりヨーロッパ系のキャリアを選ぶことになるのだけれど.ただ,試しに白ワインを頼んでみたところ,南アフリカの白ワインが出されて(ラベルには KAAPSLIG Daglig 2002 とあった),これはなかなかのしっかりしたワインだった.

食後は早めに休む.夜半には行きと同じくアイスクリームまたはカップラーメンが提供されていた模様.時計を7時間進めると,もう22日.じきに成田に到着する.

税関では,パスポートを見せる前から「アムステルダムは,乗り換えだけですか.行ったのはフランスだけですか?」と聞かれる.荷物を開けるよう求められて,何をチェックするのかと思っていたら,係官の目に留まったのはエディアールで渡された赤と黒のビニール袋だった.中には赤と黒の小さな紙袋が入っていて,それを手にしばらく悩んでいたようだったが,結局何も聞かれなかった.量り売りにつき横文字で品名を手書きして封をしてあるだけなので,確かに何かご禁制の粉でも入っているのではないかと疑いたくなりそうだ.

行きは JR だったので帰りは京成のスカイライナーにして,日暮里で山手線に乗り換え,渋谷でまた乗り換えて家に戻る.