7月20日(日)


写真 65

これまでのところ概してよい天気が続いていたものの,今日は曇.テレビのニュースによれば,ニースで2件の爆発があったとのこと.コルシカの過激派によるものであるらしい.コルシカ問題はよくわからないものだ.

早めに朝食をとって,地下鉄でルーブル美術館へ.自販機で入場券を買って入場すると,ボストン美術館よりさらに広いのではないかと思えるその広さに圧倒される.きわめて大量の美術品,工芸品,出土品などが無造作に展示されているので,まずは絵画に絞って見てゆくことに.フランス絵画にはあまりひかれず,リシュリュー翼 Richelieu (この美術館は3つの建物がくっついた構造をしていて,それぞれにこういった名前が付いている)の北方絵画(オランダの絵をこう呼ぶらしい)をいくつも見て回る.気分転換かたがた工芸品セクションを観覧して,ナポレオン3世関連の室内装飾(写真 65)を何部屋分か見て,そういえばモナリザがあるんだっけ,とドノン翼 Denon へ.こちらはリシュリュー翼と異なり観光客でごった返していて,その中をかきわけつつイタリア絵画を見て歩く.さすがルネサンスの元祖の国の絵だけあって,見栄えがする.衣服の明るい特徴的な色使いが快い.かなり歩いてモナリザに到着すると,さすがに超混雑で,マナーの悪い観光客も多かった.

写真 67
写真 68
写真 66

リシュリュー翼に戻ってハムラビ法典を見て,もう13時を回ったこともあるので,美術館を後にする.地下鉄でジョルジュ・サンク駅 George V へ.シャンゼリゼ通り Avenue des Champs-Élysées へ出て,有名なサロン・ド・テであるラデュレ Ladurée へ(写真 66).カフェはどこに行ってもだいたいメニューは同じなのに対し,料理・デザート・飲み物の各項目自体は店独自のものだけれど,アペリティフから始まり,ワインありメインディッシュありというメニューの構成自体はカフェやブラッスリー,ビストロといった業態と共通である点は日本の喫茶店や洋菓子を食べさせる店と大いに異なるところだ.

で,頼んだのは写真 67写真 68.一皿目は,ジュリエンヌ(野菜の切り方のことではなく,白身魚の一種を指すらしい)にこんがり焼き色をつけて,ひよこ豆の歯ごたえを残して仕上げたのとシャンピニオンが付け合わせで,オレンジの皮と赤い果肉のグレープフルーツが載っていて,バターとレモンの風味のクリームソース.これまでこの旅行の間は伝統的料理を食べることが多かったので,ヌーヴェル・キュイジーヌというのはこういうものなのか,と感動する.変則的ではあるけれど食事といっしょに紅茶を注文.ラデュレの名の付いたミックスフレーバーのお茶は,フレーバーが強すぎず,紅茶本来の渋さ・香りはしっかりしていてとてもよいバランスだった.デザートはラズベリー味のサントノレ.シューにはグラサージュがしてあって,シャンティイはラズベリー風味でしっかり甘く,フイユタージュはちょうどよい焼き加減.この店の名物であるマカロンの4個セットも注文.いくつものフレーバーがあって,その中から4種類を選ぶとお皿に載せて持ってきてくれるというもの.バニラ,レモン,ラズベリー,チョコレートを頼んで,チョコレート以外はおしなべて上出来だった.マカロン生地の間にはさんであるクリームの濃厚なこと! こちらもサントノレ同様,しっかりと甘いお菓子であった.

途中,隣に OL 風の日本人女性2人組が来てケーキとコーヒーを注文しようとしていたのだけれど,見ているとなかなか苦戦しているようであった.メニュー(おそらく英語版)を見てもさっぱり理解できていない模様で,ウェイターともほとんど言葉を交わさない.英語でいいから何か言えばいいのにと思うけれど,確かに難しいことはよくわかる.フランス語でわからない食べ物の名前を英語で読んだり聞いたりしてもおそらく理解できない.メニューに写真を載せるという習慣がないのはしょうがないとして,日本語版のメニューなどあれば助けになるのだろうけれど.

写真 70
写真 71
写真 69

シャンゼリゼ通りを歩いて,凱旋門 Arc de Triomphe へ(写真 69).戦争賛美の施設であるし,こんな不相当に大きなモニュメントを作るというのはいかがなものかと思ってしまった.交差点の真ん中に位置していて,横断歩道などはないので地下道を通ってアクセスし,階段をくるくる登って屋上へ.他の凱旋門であるラ・デファンスのグランダルシュなどを望む(写真 70).

門を降りて地下鉄で宿近くに戻り,オペラ・ガルニエ Opéra Garnier (写真 71)を眺める.数多くの無邪気な彫像たちに飾られた特徴的な建造物である.宿へ戻り,宿代を精算して外へ出て,練りパイ生地にピザソースとシェーヴルチーズを載せて焼いたものをテイクアウトする.イギリスのブレア首相が箱根の旅館で掛軸を背にして会見しているのなどをテレビで見て,就寝.明日は早い.