7月16日(水)


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起きて,8時35分ごろにチェックアウト.この宿では無料でもらえるらしい新聞は,Le Figaro はなくなっていたので,La Tribune なる新聞を手にする.Le quotidien économique et financier と標榜する,タブロイド版56ページ立ての新聞.9時ちょうど Nice Ville 発の TER,マルセイユ Marseille 行きに乗車.電車で,冷房はないが涼しい.TER だが各駅停車ではなく,駅を出ると次はアンティーブ Antibes.以後の停車駅は,Cannes, St-Raphaël, レザルク・ドラギニャン Les Arcs - Draguignan, Toulon.しだいに車窓の山肌は白から赤茶色に変化し(写真 32),レザルクを過ぎると車窓にはぶどう畑が広がり,焼きつけるような太陽にさらされつつ,背の低いぶどうがけなげに育っているのを見ると,プロバンスに来たのだと感じる.

11時半ごろにマルセイユ・サンシャルル駅 Marseille St-Charles に到着.この都市はニースと異なり地下鉄があるので,さっそく地下鉄に乗って旧港へ.ホテルで荷物を置いて,付近を散策する.ぶらりと入った仏伊折衷レストラン Bistro Romain で,トマトのカルパッチョ,鮭のクリーム和えラビオリ,フォンダン・ショコラのコースを頼む.ここでいうフォンダン・ショコラは,チョコレートのアイスクリームが温かいチョコレートのソースを敷いた皿に載って出てくるというもので,濃厚な味が実に西洋的である.少々早い時間ながら中年男性十数人の日本人団体がすでに入っていて,日本語ネイティブなウェイトレスさんもいて,団体のガイドさん(やはり中年男性であった)いわく,「ここは日本語が通じるんで有名な店なんですよ」と.ふむ.

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食後は旧港の北側を散策する.市庁は80万都市だけあってニースに比べて規模が大きく,すっきりした感じの建物(写真 33).カテドラルは荘厳のひとことなのだが,ガイドブックの扱いが小さいのは19世紀後半の建築だからなのだろうか.ティンパヌム,柱頭彫刻など細かいところまでていねいに作られているけれどキャパシティはとても大きな,広々とした空間の聖堂である(写真 34写真 35).旧慈善院 Vieille Charité (写真 36)は京大文学部のような感じのシンプルな建物で,内側は日陰が多く,ベンチもあってくつろげる.カフェでザクロ水 grénadine à l'eau を頼む.

宿まで歩いて戻る.レピュブリック通り Rue de la République かいわいはほどよくすすけていて,ロンドンを思わせる街並み.パニエ le Panier 地区はかなり庶民的な下町と言ったらいいのだろうか,ニース旧市街とはだいぶ趣が異なる.

パニエ地区から港をはさんで反対の側の,アルスナル l'Arsenal 地区.昼食べた店もこの地区にあり,大衆的な食堂が建ち並んでいる場所なのだけれど,夕方は多少雰囲気が悪くなってしまった.街頭で警官が立ち番をしているし.夕食はブイヤベース,つまり魚のサフラン煮を頼んだところ,確かに前評判通り,魚がだしがらという感じ.そもそも冷凍っぽいし,煮すぎだ.魚を煮込んだスープはおいしいし,小魚を使っているにもかかわらず小骨がほとんど入っていないのは注目に値するのだけれど,その魚を煮すぎずにさっとゆでただけでルイユで食べればおいしいのにと思う.この店は給仕が乱雑だったのもいただけないので,「はずレストラン」と呼ぶことにしよう.

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このホテルはハーバービューの部屋を取ったので,夕暮れ時から夜にかけて何枚か写真を撮ってみた.20時47分(写真 37),21時07分(写真 38),21時40分(写真 39),翌日0時36分(写真 40).