7月20日(金)〜7月23日(月)

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★2001年夏アイスランドなど旅行記 - 目次 ◎ほーむ


20日の夕方,新幹線で名古屋へ帰省.岩波文庫で伊勢物語を読み始める.有名な「初冠」の段から.

21日は,実家でアイスランド語の勉強をしたり,本を読んだり.昼食は私が用意した.以前友人に教わったレシピの「じゃがいものミルクかけオーブン焼き」などを披露.夜は家族でレストラン「ローザンヌ」(写真 1)へ.「関アジの刺身 サラダ仕立て」「ピーチメルバ」(写真 2)など.シェフ一人で切り盛りしている店.

22日は,6時半起床で空港へ.地下鉄とバスで行けるのだけれど,父親が車で送ってくれた.名古屋空港に来たのは十数年ぶり.朝早かったのだけれど,空港ロビーはすでに混雑していた(写真 3).ターミナルビルが新しくなったため,ロビーは広く明るく快適だ.関西空港に比べて空港施設利用料が安いというのもポイント.格安航空券なので,団体受付カウンターで航空券を受け取って,タイ国際航空カウンターでマイレージプログラムの会員カードを見せて搭乗手続き.発行された搭乗券はチューリヒまでだったけれど,荷物は2度の乗り継ぎをはさんでストックホルム・アーランダ空港まで引き受けてもらえた.

出国審査を終えて10時ごろ搭乗.10時30分発 TG 645 便(日本航空と共同運航).機種は Airbus 330.タイの新聞が配られたので,英字紙の Bangkok Post をもらって読んでみた.トップニュースがいきなり「警察,家宅捜索で大量のヘロインを押収」だったのはやはりお国柄か.英語圏ではないけれど,海外ニュースは通信社からのものがほとんどで,やや単語が難しかったり.


写真 1


写真 2


写真 3

12時ごろ(日本時間: GMT+9)機内食.白身魚のソテー クリームソースという無難な選択.ワインはシャルドネの白ワイン.

機内では特にすることもなく,物思いに沈潜.しばらくして15時ごろ(日本時間),大福餅とお茶が出されたのには少し驚いた.確かに乗客はタイ人よりは日本人の方が多い.14時すぎ(バンコク時間: GMT+7),バンコク・ドンムアン空港着.およそ7時間半のフライトだった.

ターミナルビルには着いたけれど,乗り継ぎなので,入国審査は通らずトランジットエリアで待機.ターミナルビルはやや古い設計で,ソウルの金浦空港を思わせる建築.冷房がよく効いていて,寒いくらいだ.夕食を食べるためにはタイバーツを買う必要があることに気づき,1,000円分を両替.

トランジットエリアには軽食を売る店は何軒かあったのだけれど,普通のレストランは1軒しかなく,そこで食べることに.小えびの香草炒め(ご飯付き)と水を頼む.水はトラのマークのシンハーブランドの 500 ml ペットボトルが来て,可もなく不可もなかったのだけれど,料理がとにかく辛かった.タイ料理を甘く見てはいけない,と告げられたような感じ.韓国料理よりもはるかに激しい辛さは忘れられない.

待ち合わせはまだまだ続き,伊勢物語を読み進めた.それも眠くなったので途中までにして,防犯面を気にしつつロビーの椅子を並べた上で横になったり.免税店などは夜通し営業していて,夜も眠らない空港なのだけれど,旅する私の方はいつもどおり眠くなってしまう.

時計の針が0時を回って,23日.TG 970 23日0時30分発チューリヒ行きに搭乗(実は TG 7100(スイス航空の機材で運航)23時30分発もあって,微妙に損した気分).機種は B747-400.チューリッヒ行きとあって,ヨーロッパ系の人が多い.日本人の学生とかが多いのかと思ったら,アジア人も香港の人がけっこう多かった.タイの人は少ない.

機内食は牛と鶏のチョイス.鶏(のグリーンカレー)を選んで,飲み物は赤ワインを頼む.

長々し夜を寝て過ごし,やがて夜明けに.飛行機の窓から眺める夜明けは格別.4時15分(チューリヒ時間: GMT+2)ごろから朝食.6時半ごろチューリヒに到着.到着した直後,搭乗通路を出たところで入国審査官が待機していて,パスポートをチェックしていた(表紙を見るだけ)のは,ちょっと意外.水際で不法入国者を阻止しようという構えなのだろうか.

最終目的地はストックホルムなので,ここでさらにスイス航空に乗り継ぐことになる.カウンターでさっそく搭乗手続きをすませる.こういうときはついつい英語を使ってしまう.旅行に使う決まり文句を集めた「やさしいトラベル仏会話」なんて本,ないのかな.私は「旅行で英語を使わない」というポリシーを持っているわけではないけれど,できれば英語以外の言語を使いたいという思いはあるのだ.

待ち合わせ客はヨーロッパ系の人が多い.売店(免税品店?)に新聞 Le Monde などは置いてあったけれど,帰りにスイスに立ち寄らないのにスイスフランを買うのもなんだし,けっこう値が張ったので,買うのはやめにする.その他,免税店のチョコレートとかちょっとしたお菓子がとても魅力的に映ったのは,やはりヨーロッパだからなのかも.ロビーで伊勢物語を読了.

9時50分発 SR 414 便(AA と共同運航)ストックホルム行きに搭乗.新聞はスウェーデンの,ということはスウェーデン語のものしか配られなかった.機種はAirbus A319.

機内食の昼食は「鶏のストロガノフ」という風変わりなメニュー.アルコールはとりたくなかったので,Eptinger の炭酸ガス入り水.

12時30分ごろストックホルム・アーランダ空港着.名古屋空港出発から待ち合わせを含めれば31時間ほど経ったことになる.さてさて.この空港はいままで通ってきた中でいちばんかわいらしい印象を受けた空港だ.ターミナルビルのすべての部分がとても小さなサイズで作り込んである.この空港でようやく入国審査を通ることになる.シェンゲン協定締約国のパスポートを持っていないので,入国審査では「何の目的で入国するのか」「何日間滞在するのか」と質問され,出国用の航空券の提示を求められた.アイスランド行きのカーボンコピーされた嘘っぽい航空券を提示すると,審査官の心の中に小さな驚きが生じたかのように感じられた.

人間の方は無事到着したのだけれど,荷物の方は2回の乗り継ぎを無事こなしてきたかどうか,ちょっと心配だった.入国審査のゲートを出てから小さなバゲージクレームエリアで私の紫色のピギーを見つけたときは,正直ほっとしたものだ.なにしろ名古屋からはるばる空を渡ってきた手荷物なのだから.ところで,空港を出る前にお金を両替しなければいけない.スウェーデンクローナの現金は日本ではなかなか見つけられなかったので,いまのところ一文なしだ.両替商もあったし日本円のトラベラーズチェックも持っていたのだけれど,とりあえずものは試しということで,韓国某行のキャッシュカードで現金を引き出してみたところ,無事機能した.裏では暗証番号データと残高データが一瞬で海を越えてやりとりされているわけで,考えてみれば技術の力というのは大したものだ.

空港は都市からちょっと離れた場所にあって,バスで40分ほどでストックホルム中心部に到着.そこから地下鉄に乗り,Odenplan 駅下車でホテルへ.ストックホルムは暑く,しかもよく晴れていた.T シャツ1枚になりたいぐらいだ.

市街は6階建てぐらいの住宅(アパルトマンっていうんですか? こういうの)が道ぎりぎりに張り出して建てられていて,ヨーロッパ風の街並みというのだろうか(写真 4).いたるところの交差点には通り名と,住居表示のための「ドアに振られる番号」(正式には何というのだろう.日本の地番システムとは別の種類の住居表示システムだ)を示す札が貼ってあって,親切この上ない(写真 5).もちろん旅行者向けに無料配布される地図にも通り名はもちろんのこと,このドアに振られる番号が記入されているので,便利なことこの上ない.


写真 4


写真 5

住宅街を歩いて10分ほどでホテルへ到着.Best Western Elite Palace Hotel というなんかすごい名前のホテル(写真 6).名前のうち Best Western というのは「ヒルトン」とか「サンルート」と同様,ホテルのチェーンの名前なので,このホテルに固有の部分は "Elite Palace" に限られるけれど,それでもなかなかわかったような気がしない.

名前はともかく,建物に入ってみると,ゴージャスすぎはしないが派手さを抑えつつお金をかけた内装で,ロビーも十分広い.2泊の予約をインターネット経由で入れてあって,いちおう予約時のプリントアウトを手にしてチェックイン.客室にはデスクや冷蔵庫など,ひととおり必要なものが揃っていて,日本のホテルに比べて不足しているものはスリッパと浴衣ぐらいだ.清潔で,東向きの窓は広く,床はフローリング(写真 7).おととし去年と改装したらしく,なるほどとうなずける.それほど料金が高いわけでもなかった.


写真 6


写真 7

夕食を探しに Odenplat 方面へ.バーガーキングや中華料理店は見つかるものの,その他の料理はなかなか見つけにくい.やっと探し当てた Odengatan 87 の "Taverna Deon" で,魚料理とビールを注文.泡立ちが細かくてクリーミーなビールが心地よい.

ビールを口にしてひと心地ついたところで,料理の方が運ばれてきた.前後するけれど,メニューはオールスウェーデン語.せっかくスウェーデンに来たのだから魚介類を食べねば,と思って,魚料理のパートを見ると,scampi というのと kalamarakia というのがあって,それぞれ英語に訳せば shrimp と black fish なのだという.私はエビタコイカの仲間よりも魚類の方が好きなので,kalamarikia というのを頼んだところ,出てきたのはいかのリングフライならぬリングから揚げだった.ちょっと落胆したのは事実だけれど,衣に工夫があるのだろう,意外においしいから揚げだった.それをディル(ハーブの一種.香りがさわやか)入りサワークリームソースとレモンで食べるという趣向.油ものをサワークリームソースで食べるというのはちょっと日本人は考えないことかもしれない,と思う.

付け合わせはトマトとレタス.それに,フライドポテトが別の皿に山盛りにして出された.このフライドポテトもとてもおいしかった.単純な料理なので,なんでファストフードのフライドポテトと味が違うのだろうと考えてみると,原料のじゃがいもの品種が違う,というぐらいしか原因が思いつかない.ただボリュームが多すぎて,ポテトは半分ほど残してしまった.

ちなみにあとで友人に聞いてみたところ,スウェーデン語の「ブレック・フィスク」というのは black fish ではなく squid と訳すべきなのだそうだ.

この料理店,スウェーデン料理店だとばかり思っていたのだけれど,実はギリシャ料理店なのだろうとのこと.旅行から帰ってから友人にそう指摘されて,たいそう驚いた.

20時すぎ就寝.まだ明るい.


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