みしっく今日のひとこと - 2013年4月


■2013/ 4/27(土)  国際私法

中央大学通信教育部 学生会駿河台支部の学習会を聴講.科目は国際私法.

国際私法は,インターネットの普及などに伴う国際的な経済取引の裾野の広がりにより,一般市民にも身近に感じられる法分野になってきていると思う.4時間という限られた時間ではあるけれど,講義を聴くことで,国際私法の構造や基本原理といった,根や幹の部分を把握することができたと思う.どの法分野でも,枝葉の部分に惑わされがちだけれど,根や幹の部分がつかめていれば混乱せずにすむ.

また,書籍にはあまり述べられない事項(いろいろな書籍が出版されている中で,どれがオーソドックスか,どれは避けた方がよいか,一番網羅的なものはどれか,とか,この規定は改正されており,それ以前は立法上の不備を解釈で補っていたので,改正前の裁判例を読むときは要注意,など)も教えていただけたという点も有意義だったと思う.

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■2013/ 4/20(土)  旅券法改正(2014年1月施行予定)について - 記載事項変更の際の手数料

国会に提出されている法案をさらっと眺めていたら,旅券法の改正案が提出されていることに気づいた.改め文を一読すると,氏名等の変更が生じたときの旅券の記載事項の訂正の制度を廃止するとともに,これに代えて,返納旅券と残存有効期間と同一の有効期間の旅券を発給する制度を設けるという趣旨である模様.理由など詳細は外務省ウェブサイトに記載されている.新しく発給される旅券を「記載事項変更旅券」と呼ぶことにする模様.

気になるのが,この制度を利用する場合の手数料.

普通に10年有効の旅券の発給を受ける場合には,1万4千円(これに都道府県の定める額が加えられる.以下同じ)がかかる.5年有効の旅券は9千円.これは,旅券法20条1項1号・2号に規定されている.私の記憶では,IC旅券が導入された際に値上げされたのが最後だったと思う.同項5号によれば,氏名等の記載事項の訂正の手数料は700円だった.

氏名等の変更が生じただけで,新たに1万4千円ないし9千円の手数料がかかってしまっては大変だけれど,改正後の旅券法20条1項の規定をよく読むと,新旧対照表では省略されているため見えにくいけれど,3号に「前二号に掲げる一般旅券以外の一般旅券の発給 四千円」という規定があることから,記載事項変更の際もこの規定が適用され,結果として手数料は4千円ということになるとわかった(都道府県の定める額が加えられる.念のため).

ちなみに,現行法では,この4千円の手数料が適用されるのはいわゆる刑罰等関係に該当する場合などだと理解している.

(30日追記)24日付で,外務省ウェブサイト上に旅券法の一部改正についてのお知らせ(「記載事項の訂正」の廃止)および旅券法の一部改正Q & A が掲載された.手数料については既述の通り4千円+都道府県の定める額で,標準では合計6千円になる由.

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■2013/ 4/13(土)  反対解釈

インターネットを使った選挙運動を解禁するという内容の公職選挙法改正がまもなく成立する見込み.

これまで,インターネットを使った選挙運動は「文書図画の頒布」に当たるとされ,また選挙のための「文書図画の頒布」は公選法で規定されている方法のみが認められ他の方法は禁止されることから,結局インターネットを使った選挙運動はできなかった.これが,ウェブサイト等を利用する場合は一般の有権者も含め全面解禁,電子メールを利用する場合は政党や候補者が利用する場合のみ解禁となるというのは報道されている通り.

「電子メール」という文言が案外重要なのだということに先ほど気づいた.

今回の改正法案(第183回衆第3号)をよく読むと,「ウェブサイト等」の定義は「インターネット等を利用する方法のうち電子メールを利用する方法を除いたもの」となっていて,それでは「電子メール」とは何かというと,迷惑メールを規制する,いわゆる特電法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)の規定を参照している.特電法でいう「電子メール」というのは,省令(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の通信方式を定める省令)により,(1) 通信方式の一部か全部にSMTPが用いられる通信,(2) 「携帯して使用する通信端末機器に、電話番号を送受信のために用いて通信文その他の情報を伝達する」通信であると規定されている.(1)はインターネットや携帯電話のいわゆるEメールであり,(2)は(実は私も調べるまでこの規定の存在を知らなかったのだけれど)携帯キャリアが提供しているSMSやCメールのこと.

そこで,反対解釈により,たとえばSNSのメッセージサービスとか,最近流行のスマートフォン用アプリによるメッセージ送信は電子メールではないので,一般の有権者も含め解禁される,ということになる模様.

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■2013/ 4/10(水)  予告なく守備困難

夕方,所用で新宿と渋谷を訪れた.東京の山手線西側の街を歩くのは本当に久しぶりで,銀座や錦糸町などとは少し雰囲気の違う活気を感じた.

帰りの地下鉄の車内で,近くの人が広げていた新聞の1面見出しが目にとまった.「予告なく守備困難」とあったように思う.過去は発射時期や方向などを事前通告していたから「守備」ができていたが今回は予告がないので難しい,という意味なのだろうけれど,「予告」をして発射するというのは,消防訓練か,はたまた八百長かということになってしまう.「予告」を前提とした「守備」は,実戦には役立たないということになるのではないかと.

この件,ある意味,スルー力が問われているような気がしてならない.

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