みしっく今日のひとこと - 2013年2月


■2013/ 2/11(月)  ふるせ

近くのスーパーの刺身類売り場に,「生食用釜揚げふるせ(いかなご)原料原産地: 兵庫」と印字された魚が2パック,半額シールつきで並んでいた.

「ふるせ」という名前は初めてで,新語?言語新作??と少し驚きつつも,それが何を指すのかはすぐに理解.「かますご」ですね.懐かしい姿だったけれど,夕食はおでんに決めていたので買い求めはしなかった.

なお,家に戻って調べたところ,標準和名的には「いかなご」と呼ぶのがよいらしく,「かますご」というのは「いかなご」の成長したものを指す語で,関東方面では「いかなご」を「こうなご」と呼ぶことがあるほか,明石方面ではかますごのことを「ふるせ」と呼ぶ模様.

今年の所得税の確定申告(還付申告)は,昨日10日に無事完了.昨年に比べて関係先が必要書類を早く届けてくれたおかげで早く申告することができた.もちろん今年も電子申告.区の決まりで,2月末までに申告して控を提出するよう求められているので,早く宿題を片づけられて嬉しいところ.

一通りの書類を揃えた上で,9日に仮走行(実際の申告まではせず,住民税関係事項のところまで処理を進めて止める)を実施し,不備等を修正した上で10日14時過ぎに申告を実施.事後作業としてファイルのバックアップなどをしていたところ,申告漏れに気づいたので,改めて書類を確認し,漏れていた事項を追記した上で,15時過ぎに再度申告をした.

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■2013/ 2/10(日)  人気の本

今野晴貴『ブラック企業 - 日本を食いつぶす妖怪』(文春新書,2012年)が手に入ったので,読んだ.

いくつかの大学の就職課が連携して作成したという,いわゆる「就職先企業のブラックリスト」は,2000年代初頭から学生の間で回覧されたり,匿名掲示板等で目にすることがあった.また,大手飲食チェーンなどで労働条件が悪い,労基法が守られていないなどの問題から,組合を結成するなどの動きは1990年代末ごろから散発的に見られた.

著者の労働相談の経験によると,現在のブラック企業問題は,リーマンショックの時期に端を発するものであるらしい.また,「ブラック企業」という言葉が若者に広く浸透したのは2010年末以降だろうということ.その内実は,若手正社員を大量採用し,「使い捨て」と呼ぶにふさわしい扱いをしていくというもので,「代わりはいくらでもいる」ことを背景として,企業へ異常なまでに従属させ,また,人格を破壊するというのがブラック企業の構図である,と著者は見立てている.著者によれば,ブラック企業の多くは新興成長企業で,破竹の勢いで業績を伸ばしている企業であるという.そして,ブラック企業にみられるパターンを8つに分類する一方で,各企業がいずれか1つのパターンに当てはまるというのではなく,1企業がいくつかに当てはまるということもある,と述べている.さらに,「この間深刻なのは,悪徳な社会保険労務士や弁護士が,ブラック企業と労働者の間に介在するようになってきたことだ」(208ページ)と述べ,これを「ブラック士業」と名づけている.

ブラック士業といえば,確かに,「従来は月給18万円であったものを,月給18万円(うち基本給136,000円,時間外手当40時間込み)に変更することにより,事実上残業代を支払わなくてよいようにする」ような手法を提案する記事を書いている社労士を見た記憶がある.

著者はその上で,必要な対策として,業務命令を制約すること(とりわけ労働時間規制が喫緊の課題という),日本型雇用が失効した現代において,「普通の人が生きていけるモデル」を策定することを提唱し,また,失業対策と非正規雇用規制も早急に実施すべきとしている(232ページ).その中で,賃金に対する要求は一定程度に抑える必要があると述べ,生活に関しては「教育,医療,住居に関する適切な現物給付の福祉政策があれば,低賃金でもナショナルミニマムを担保できる」と述べている(233ページ).

著者の見解は間違っていないだろうけれど,ネット世論の中ではなかなか支持を得にくそう.ただ,ブラック企業は「日本を食いつぶす」存在であり,社会的な規制が必要という著者の主張を全否定するのも難しいのではないか.著者の提案にあえて追加するとすれば,特に中小零細企業においてはいまなお人手が足りているとはいえない状態(ただ,人手が余るときは余るので難しいけれど)であり,これを解消する方向の労働政策も必要ではないかと.それは,雇用助成金などではなく,透明性の向上とか,マッチング機能の向上,経営層の意識改革といった手法が好ましいだろうし,労基署の人員増や,中小労働組合への支援を行うことで健全な労使関係の形成を促進するといった政策も,長期的に見れば大きな効果をもたらすかもしれない.

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