みしっく今日のひとこと - 2012年9月


■2012/ 9/28(金)  『日本の国境問題』を読んだ.

孫崎享『日本の国境問題―尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書,2011年)を読んだ.

尖閣諸島をはじめとする日本の抱える国境問題が,2010年に緊迫したことを受けて書かれた本.

中ソ国境の川の中州である珍宝島(ダマンスキー島)をめぐって1969年に発生した国境紛争では,中ソともが核戦争をも辞さないまでに事態がエスカレートしたこと,特段の価値のない小さな島を争って多くの血が流されたという歴史的事実は重い.著者は1978年の尖閣諸島事件を踏まえ,「日中双方が尖閣諸島をめぐり互いに領有権を主張し,具体的行為で自己の主張を補強しようとすれば,中ソ国境紛争と同じ事態が,日中間で十分起こる」と予測している.

著者は「国境問題があったとき,紛争を発生させ,それによって利益を得ようとする人々が常にいる」「政治家の中には自己の勢力を強め,自己が推進したいと思う政策を推進するために意識的に領土問題を煽る人々がいる」と指摘.中ソ国境紛争では,中国の国防部長であった林彪を名指ししている.

1980年〜88年のイラン・イラク戦争では,数十万人が死亡したとされるが,その理由も国境問題なのだという.チグリス・ユーフラテス川が合流した下流のシャトルアラブ川に両国の国境線があり,19世紀以来国境をめぐって紛争があったため,川底の最深部を国境とする旨の合意が1975年に成立したものの,イラクが川のイラン側の岸を国境とする(つまり,川を全部イラク領とする)ことを要求して開戦に至ったのだという.著者はこの紛争の経緯から,「領土問題で重要なのは一時的な解決ではなく,両国の納得する状況を作ること,それができない間は領土問題で紛争に発展しない仕組み,合意を作ること」が教訓であろうと述べている.

領土問題を国際紛争にしない手段の一つとして,棚上げ方式がある.尖閣諸島は中国側の主張によれば15世紀以来中国の領土であり(「琉球に属する久米島」との間が国境であるとする),「台湾に属する島」である,したがって日本がサンフランシスコ講和条約で台湾を放棄したため日本領ではないとの立場を一貫してとってきているといい,日中の主張は対立している.

著者は棚上げ方式の好例として,南極条約,1989年の連合王国およびアルゼンチン間の非公式合意(両国はフォークランド諸島の主権問題を提起しないという内容)を挙げるほか,1955年に西ドイツがソ連との外交関係を回復した際の事例を挙げる.著者は,ドイツは領土問題を棚上げし,独ソ関係を発展させることを目指した(いつの日かまったく想定しえない国際情勢の展開でドイツ領が戻るという日が来るかもしれない,その日まで領土問題を棚上げするという立場)のに対し,日本は領土問題を日ソ間の主要外交課題としたので,その分日ソ関係が抑制されたと述べている.

川の中州といえば,私の自宅の近くにも,帰属をめぐって長年対立が続く川の中州があるけれど,これのために両自治体間での関係(たとえば消防面での協力関係など)が阻害されてはいない模様.国境は都県境とは別物だけれど,国境問題が紛争化しないことを望みたい.

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■2012/ 9/17(月)  警察の戸別訪問を丁重にお引取りいただいた.

おまわりさんが「巡回連絡カード」の記載を求めに来訪.特に犯罪の捜査とは関係なく,各戸を回っているとのこと.記載を求められた事項は,記載年月日,転入年月日,住所,本籍,家族・同居者の氏名性別生年月日間柄,職業・学校名,非常の場合の連絡先(勤務先・親族等),自動車ナンバー,自転車の防犯登録番号等,きわめて多岐にわたる詳細な事項.

「刑事訴訟法などによって義務づけられている場合に対応する他は,必要な情報に限って提供することにしている.特に最近はWinnyなどもある」と応じた.「記載に応じられないと言われても簡単には引き下がれない.記載されたカードは交番で施錠して保管するのでそういったことはない.火事などの緊急の際に連絡が取れなくなってもかまわないのか」と聞かれたが,「大家さんには必要な情報を提供している.そもそも,いったん情報を提供すると自らの手でそれをコントロールすることができないゆえ,想定外の拡散リスクがあることから,情報を提供するのは契約先等,必要性とリスクを比較して当方において判断することにしている.30年来この方針である」と返答(30年前にWinnyなんてなかったでしょ,とは突っ込まれなかった).

「ついては記載願えなかったという事実を報告する必要があるので」と求められ,名字は表札に記載の通り,名前はひらがなで.住所は「ここ」でいいですね,と返答.警察官などの公務員が身分を示して求めた場合には,住所氏名は無条件で返答することにしているので.

相当昔のローラー作戦の流れでやっているのだろうけれど,携帯電話の位置情報や脱法防犯カメラを利用した捜査が普及した今日,戸別訪問活動は費用対効果にも疑問があるところ.

京都時代はこのカードを詳細に眺めたことがなかったけれど,特に本籍を町名・番地まで記載させるのは,一部地域では人権への配慮からも問題視されるのではないかと.

ところで,巡回連絡カードが封入されていた封筒に「このカードは,他人に見せることはありません」と記載されているのは勇み足なのでは.警察が組織として受領し管理する情報である以上,当該組織内の「他人」には見せるのが前提のはず.英文では "The information you provide will never be disclosed to third parties."と書かれており,和文よりはましだが,"Will never be disclosed to the court, too?" との問いには修正を余儀なくされそう.

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■2012/ 9/15(土)  『フェイスブックが危ない』を読んだ.

守屋英一『フェイスブックが危ない』(文春新書,2012年)を読んだ.

タイトルは「煽り」と言われても仕方がないだろう.著者が指摘している問題は,大きく分類すると,セキュリティの問題,プライバシーの問題,不適切な言動の問題,流言飛語の問題となるのだろうけれど,どれもFacebook固有のものではない模様.個別の問題は普通のPCアプリの世界,2ちゃんねるやブログの世界にも古くから存在していたものだと思う.ただ,それらがこれほど顕在化するというのは,やはりFacebookが何かと便利に作り込まれているからなのではないかと思った.

最近,多くの人々がガラケーでなくスマートフォンを買い求める理由は(単にガラケーが値上げされたからというだけでなく)何となく理解するようになったのだけれど,新製品が出るたびに行列ができるほどiPhoneが人気な理由がまだつかめず.

たとえばサムスン製品と比較するとして,実際に触っていないのでカタログスペックだけで比べると,甲乙付けがたいように思う.iPhoneの方が「アプリが多い」という点はあるかもしれないけれど,モバイルSuicaに対応していないとか,電池交換がセルフでできないという短所があるという話を聞くし,(現状では)Google Mapsの地図のキャッシュ範囲がAndroidに比べて少ないと認識している.

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■2012/ 9/11(火)  「なぜ?」を5回,ではなく,1回でよかった.

スーパーマーケットで知られる「イオン」が葬儀業界に参入して3年ほどになるだろうか,それが好評を博している,そして業界全体の料金の下落に寄与しているという記事を与えられた.

仏教での葬儀はお布施が高くつくという話だけど,キリスト教での葬儀はそうではない,ことに戒名料なんてのは存在しない,ただ対象は生前に信者になっていた人に限られるという弱点がある,と話していて,なんだかロジックが変だなと思った.なぜ仏教では生前に仏教に入信した人でなくても葬儀を受け入れるのに,日本のキリスト教では普通受け入れないのだろう?

その場で「なぜ?」と指摘を受けることはなかったのだけれど,帰りの電車の中で検討してみても,やはりキリスト教での葬儀は信者に限られるというのは,聖書に基づかない見解のように考えられた.確かに現実的にはいろいろな困難も想定されるだろうけれど,どれも解決できない課題ではなく,それらを取り除くと,「日本では現状そうなっている,多くの場合にこれまでそうしてきた」というだけで,はなはだロジックに乏しいものが残るにすぎない.

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■2012/ 9/10(月)  富士山は萌える想いの象徴だった…?

東京新聞のコラム(2012年9月7日付朝刊1面「筆洗」)に,万葉集の歌が紹介されていた.

吾妹子わぎもこ(わぎもこ)(あ)よし(よし)を無み駿河なる不尽ふじ(ふじ)高嶺たかね(たかね)の燃えつつかあらむ   よみ人知らず

「吾妹子」は「私の恋しい人」.「AをBみ」は「AがBなので」(ここでは駿河の国の海に立つ「波」ともかけているのかもしれない).後は説明不要で,素朴な秀作だと思う.古来の和歌の世界は「みるめ」とか「もしほ」とか「あじろぎ」など,語彙だけをとってもたやすくないものだけれど,この歌は現代人にも情景をイメージしやすくてよい.「つくばね」や「あふさかの関」を知らない人はいても,富士山という火山の存在を知らない人はいないのだろうし.

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■2012/ 9/ 9(日)  例の新製品

留守中にAmazonが新製品を発表する予定だったので,結局どうなったのかと調べてみたところ,「Kindle Fire HD」と「Kindle Paperwhite」の2機種が発表されたと知った.製品のざっくりとした仕様・特徴はほぼ事前情報通りだった.製品名は事前に明らかにされておらず,「Kindle Fire 2」と呼ばれていた機種の製品名が「Kindle Fire HD」となった模様.

人気が出るのは「Kindle Fire HD」なのだろうけれど,紙の書籍や雑誌・新聞を代替するデバイスを求める私としては,やはり電子ペーパー搭載型の「Kindle Paperwhite」をぜひ入手したい.

だけど,日本国内ではいつになったら発売されるのだろうか….ひょっとして,6月下旬に「近日中に発売」と発表したのは,うやむやにするつもりなのだろうか(確かに期限が明示されていたわけではないけれど).

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■2012/ 9/ 2(日)  アップルのバウンススクロール特許

アップルとサムスンが特許をめぐって世界各国で訴訟になっている件で,米国カリフォルニア州でサムスンが敗訴した際には「バウンススクロール特許」とか「バウンスバック特許」というアップルの保有する特許(米国特許番号7,469,381号)をサムスンが侵害したかどうかが主な争点の一つになっていたらしい.

この発明は日本でも特許になっている(特許第4743919号)ので,その内容を特許庁の特許電子図書館でうかがい知ることができる.

請求項の数が83個というのには驚かされる(一つの発明についてこれほど細かく請求項を作り込むのは手間のかかることに違いない.ちなみに米国特許の方では,請求項の数は20個).

経過を見ると,2007年に米国でした出願をもとに,日本で2008年に出願(特願2009-544996.翻訳文提出は2009年)し,審査を経て特許が成立したというもの.登録日は昨年5月20日.なお細かく見ると,一部無効審判(2012-800075)が2012年5月8日付で提起されているものの,その審決はまだDBに掲載されていない模様.特に口頭審理や証拠調べが予定されているわけでもない模様.

デザインやモバイル関連の業界では,この特許を非常に強力なものと評する声が強いのだけれど,このユーザーインタフェースがそれほど不可欠なものなのか,私には不思議で仕方がない.PCベースのブラウザなどには,バウンススクロールの機能はないのだし,スマートデバイスでもこの特許を回避して実装することは十分可能なのではないかと.

利用者にとってはいろいろな操作方法を覚えなければならず不便なことかもしれないけれど,アップル製品に類似するユーザーインタフェースを実装しないというのが,競合他社にとっては現実的な解なのではないかと思う(ユーザーインタフェース以外にも特許で守られている分野は多数あるだろうから,そちらは別途回避の方策を探る必要があるけれど).

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■2012/ 8/26(日)  外国語で話す会.

訪日外国人とエスペラントで話す機会があった.

どんな話題に会話が進んでも,要点をつかんで端的に答えられるようにしたいと思った.答えや意見が長ったらしくなるとよくない.

かいつまんでずばりとコメントするということは,日本語ではできるのだから,後は各言語で経験を積むのがよいようだ.

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■2012/ 8/17(金)  夏の宿題(国会版)

夏真っ盛り.日本の学校では夏休みに多くの宿題が出されるので,そろそろその進捗が気になってくる子どもも多いのではないだろうか.

野田首相は自民党との協議により,「近いうち」に衆議院を解散することにしたと述べているけれど,国会にも宿題が残っていることを忘れてはいけない.一票の格差問題が,それだ.

昨年3月23日の最高裁判決は,2009年8月に実施された衆院選の当時において,小選挙区の区割り基準(1人別枠方式を採用)およびそれに基づいて定められた区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた(参照: 憲法14条1項(法の下の平等))と述べており,この判決の時点で衆院選の一票の格差問題について,ボールは国会に返されているといえる.

判決後,1年4か月余りにわたって国会はこの宿題に取り組んでいながら,成果を挙げられていないというのが実態で,情けない限りだ.各党の間で協議を重ねてきたことは理解しているけれど,比例代表を80減するとかいう案はやはり乱暴で,まとまらないのも無理はない(現在の比例代表の定数は180).とはいえ,抜本的な選挙制度改革には期間を要するのも理解でき,現在の衆院議員の任期満了までに達成するのは難しそう(気合で工程表を組むという策もあるけれど,未達に終わるリスクが大きすぎる).

そこで,暫定対処ではあるけれど,自民党が法案を7月に提出した0増5減方式により,この宿題を片づけるというのが,まずは妥当なのではないか.ここ10年ほどは以前に比べて法案の国会通過スピードが格段に増している(その理由はさておき)ことから,やる気になれば1週間で成立が見通せるし,少なくとも「近いうち」までには余裕で完遂できるのではないか.現国会議員諸氏の業務遂行能力が問われている.

もちろん,次の衆院選で国民が選出する議員たちは,(最高裁からはそこまでは言われていないけれど)現行選挙制度の抜本改革という宿題の残りの部分に速やかに取り組んでほしい.さすがに4年もあればこの課題にも片を付けられる,と期待している.

一方,参議院の選挙制度改革も待ったなしだ.参議院には解散はないながら,半数の議員の任期満了まで残り1年を切っているので,それまでに何らかの対処を実施する必要がある.こちらは冬の宿題といえるだろうか.いま進められようとしている4増4減案では,一票の格差がほとんど縮小しない(産経新聞は「究極の弥縫策 参院選挙制度の抜本改革いずこへ」と7月24日付で報じている).私は西岡試案などの抜本改革が望ましいと思うけれど,最小限,人口の少ない県を合区するレベルの対処は講じる必要があるだろう.

Jonathan Rasmusson著,西村直人ほか監訳『アジャイルサムライ−達人開発者への道−』(オーム社,2011年)を読んだ.

私はソフトウェア開発を生業としているのではないながら,実際に動くソフトウェアを重視すること,成果物として何が必要なのかを一番よく知っている人である顧客を含めた開発関係者が直接顔を合わせて密に意思疎通すること,変化にすばやく適応すること,などの核となる構成要素,テスト駆動開発(実コードを書いてから単体試験をするのではなく,単体試験のコードをまず書いてから,それを満たすような実コードを書くという手法.ユーザーインタフェースなどでは難しいけれど,ビジネスロジックに関する部分などには向きそうだ)やリファクタリングといったアジャイル開発の手法,そして何より「顧客満足を最優先し,価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供する」というミッションステートメントは,心にとどめておき,いろいろな局面で応用したいものだと思った.

近所に,個人経営に近いような旅行会社があるのだけれど,土日はほぼシャッターを下ろしているし,平日も昼間しか開けていないので,訪れる機会がない.今日は平日だから営業しているだろうと思って行ってみたら,休業だった.特に案内は出ていなかったけれど,夏休みなのだろうと.近くにJRの駅がないので,地下鉄で2つ先の駅へ.大手旅行会社の小規模店舗があって,JR券を無事購入することができた.

JR東日本などのきっぷは,割引のあるものも含め大半がネットで買えるのだけれど,私が常用しているJR東海の割引きっぷはみどりの窓口などに出向かないと買えず,出向いてみても売り切れていたりするので不便だ.ビジネスユースに特化したJR東海の営業戦略は,営利企業としては理解できるけれど,顧客目線が不足しているのではないかと.

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■2012/ 8/16(木)  選挙制度と投票行動についておぼえがき

小〜中選挙区制では,当落線上の候補に票を投じるのが,自分の票を最も有効に活用する手段.当選確実な候補に票を投じても,選挙結果にはほとんど影響が与えられない(票を投じなくてもその候補の当選は確実なので).反対に,到底当選が見込まれない候補に票を投じても,やはり選挙結果に影響を与えることはできない(これをいわゆる死票と呼ぶ).

小選挙区制では,1人しか当選しないので,上位2政党の候補者が「当落線上の候補」となり,3位以下の候補に票を投じるのはあまり合理的な行為とはならない.上位2政党の政見および過去の行動を調べ,自らの政治主張に近い方を選択するのが妥当.

比例代表制にはこのようなことはなく,自らの政治主張に最も近い,または最も議席を得させたい政党に票を投じることが可能であり妥当.

特別区の区議選や,政令指定都市以外の市町村議選のような大選挙区制の場合は,十分多くの立候補者がいれば,大多数の候補が「当落線上の候補」となり,激戦となる(巧みな票割りにより全員当選を達成できる政党の候補者を除く)ので,どの候補に票を投じても,選挙結果に影響を与えることが期待できる.

半年近く前になるけれど,サンジェルマンという会社の販売している,LED LENSER L6というLED懐中電灯を購入した.型番はOPT-7009TG.小型軽量なので,持ち運んでいろいろな用途に活用している.外出先の林の中で道に迷いそうになったときに使ったり,家具の下に落ちたものを探すのに使ったり.前に同社の他のLED懐中電灯(LK-014L)を停電対策用に買ったのだけれど,これはいまひとつだった.

LED LENSER L6の最大の長所は,なんといっても同社が「アドバンスフォーカス」と呼称している独特の配光機構.LEDの発する光を透明樹脂製のレンズに通すことで,照射範囲全域にわたってほぼ一様な配光を達成しているほか,ヘッド部分を回転させることで照射範囲の広さを無段階に制御することが可能.その他,安価に入手できる単3乾電池2本で動作するというのも長所.同社販売のLED LENSERシリーズの中では安価というのも嬉しかった(千円台前半で入手).スイッチの操作が適度に重いので,バッグの中に入れて混み合う電車に乗って押されたりしても,勝手に点灯したりすることがほとんどなかった.短所としては,電池の持ちがいまひとつらしい(同社公表値.独自検証はしていない)ので,予備の単3乾電池を備えておくことで対処している.

前に買ったLK-014Lという懐中電灯は,単1乾電池4本で動作するのだけれど,単1乾電池は,単3乾電池に比べて入手しづらい(昨年の震災時,長期にわたって品薄となった.単3乾電池にアダプタを付けて単1として使うという対処もあるが,電池の容量は変わらないので,もともと単3で使える製品があるのであればその方がベター)という欠点がある.また,レンズなどにより光を拡散する仕組みが入っていないので,LEDの発する指向性の高い光が反射鏡を介してダイレクトに照射範囲中心部に向かってしまい,その結果,中心部以外はほとんど明るくならないというのが短所.確かに光束(ルーメンで表す値)はカタログスペック通りなのだろうけれど,配光がいまひとつなので,屋内では照らしたいものを直接照らすのにあまり向かず,壁や天井に向けて間接照明として使うことになるので,せっかくの高輝度LEDが生かせない.

LED懐中電灯を選ぶ際には,レンズなどの配光機構にも重点を置いて比較検討するのがよい,というのが結論.

(追記)ある販売店が2010年1月23日付で掲載したブログエントリ「最初は人気の2AA LED LENSER L6」が参考になる.用途次第では,LED LENSER L5(単3乾電池1本で動作)の方がベターなのかもしれない.

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