みしっく今日のひとこと - 2011年5月


■2011/ 5/28(土)  なりすまし規制

私の送信したメールが,某携帯事業者の端末に届かない事象が発生.

調べていくと,この携帯事業者のメールサービスには「なりすまし規制」という耳慣れないオプションがあって,このオプションを有効にするかどうかは宛先の人が選択できる.有効にしていると,envelope Fromやヘッダ中のFrom:フィールドのドメイン名について,DNSによりSPFレコードを検索し,検証に合格しないと「なりすましメール」と判断してメールを破棄すると判明.

私のメールアドレスのドメイン名は無論misick.orgだけれど,misick.orgにはSPFレコードを設定していないので,これを機に設定しようとしたところ,私の利用しているホスティング先事業者では,他社で取得・管理しているドメインについて,SPFレコードの追加などのゾーン編集はできない,言い換えると,標準的なSOA, A, MXレコードが自動で設定されるだけで,カスタマイズはできないとわかり,SPFレコードの設定を断念.ホスティング先事業者にドメインを移管してしまうという手もあるけれど,受信側がEメール設定で対処するという手段もあることだし,そこまで大がかりなことはしないことに.

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■2011/ 5/19(木)  民事訴訟の手続はきわめて精密でしかも複雑な構造をもっている,のか?

さる民事法学者が,民事訴訟法の初学者に対し「民事訴訟は国民の私法上の権利を保護するための最終的な方法であり,その手続はきわめて精密でしかも複雑な構造をもっている」という書き出しでこの分野の紹介を始めているのを目にした.

民事訴訟の手続はきわめて精密でしかも複雑な構造をもっているのかというと,個人的に見聞きした範囲ではむしろ逆の印象を持っていた.要は訴訟当事者が自己の有する実体法上の権利関係について主張立証することに終始する手続であり,その対象となる実体法上の権利関係は,契約などにより当事者が内容を理解して成立させたものであるのが通常なので,渉外的民事訴訟とか,必要的共同訴訟とか,補助参加や独立当事者参加のある事例とか,あるいは限界事例については別として,一般市民の感覚を大きく外れるような精密さや複雑さを有するものではないと思っていた.実際,日本の本人訴訟率(訴訟当事者が訴訟代理人を置かない訴訟の割合)は非常に高い.訴訟に比べて非訟事件の手続は緩いように思っていたけれど,実際は訴訟とあまり変わらない感じ.

知的財産,医療過誤や欠陥住宅などの専門訴訟は難しいけれど,それは構造が難しいのではなくて事実認定が難しいということなのだと思うし.国賠訴訟や行政訴訟が難しいというのもそれはそれで別の理由がありそうだ.いわゆる世田谷通信ケーブル火災事件控訴審判決(東京高判平成2年7月12日判例時報1355号3頁)は旧公衆電気通信法の規定を憲法17条に違反しないとしたが,郵便法違憲訴訟(最大判平成14年9月11日民集56巻7号1頁)においては旧郵便法の規定を同条違反とする違憲判決を下したという例にもみられるように,裁判所の態度も徐々に変化しているのかもしれない.

いずれにせよ,私は専門家でも実務家でもないので,上記の「感覚」は民事訴訟全体を正しくとらえているものではないかもしれない.その点,識者のコメントをまちたい.

むしろ,刑事訴訟の方が被告人の生命や自由を奪うという峻厳な結果をもたらすという点,また民事訴訟の訴状には,割と日常生活上よく見聞きすることがらが記載されているのが通常であるのに対し,刑事訴訟の起訴状には,きわめて異常な事実が記載されているのが通常であるという点からも,構造が複雑であるかどうかはともかく,手続が精密なものであることが憲法上も要請され,実際にもそのようになっているのだと思っている.

ただ,きわめて異常という点にはいささかの留保が必要かもしれない.たとえば以下の起訴状の作例(あくまでフィクションです)においては,きわめて異常な事実というより,刑事上罰せられる行為とはいえ,日常生起しないとはいえない行為が記載されているのに過ぎない,しかも略式起訴になるだろうから手続も精密ではない,ということになるのかもしれない.
「被告人は,…使用者であるが,
第1 法定の除外事由がないのに,平成23年5月2日から5月8日までの一週間について,その使用する労働者Aに休憩時間を除き60時間労働させ,
第2 平成23年5月分の賃金台帳を調製するに当たり,労働者Aにつき,平成23年5月2日から5月8日までの間について真実の労働時間数が60時間であったのに20時間過少の40時間であった旨の虚偽の労働時間数を記入し,
第3 労働者Aに対し,平成23年4月16日から5月15日までの賃金合計合計…円のうち一部…円を,所定の支払期日である平成23年5月25日に支払わなかった
ものである.

罪名および罰条 労働基準法違反
第1 労働基準法第32条第1項,同法第119条
第2 同法第108条,同法施行規則第54条第1項,同法第120条
第3 同法第24条第1項,同法第120条」

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■2011/ 5/18(水)  平成18年基発第0331042号に目を通した.

平成18年基発第0331042号にざっと目を通した.「労働者災害補償保険法の一部改正の施行及び労働者災害補償保険法施行規則及び労働者災害補償保険特別支給金支給規則の一部を改正する省令の施行について」と題する通達で,例によって労働基準局長から都道府県労働局長(厚生労働省の地方支分部局である)への通達.

通勤災害の範囲については従来,昭和48年基発第644号および平成7年基発第39号により取り扱われていたところ,労災保険法の改正に伴いこの通達を改正するというもの.

主なところは変わっていない模様.ピックアップすると以下の通り.

なお裁判所は必ずしも通達に拘束されるものではないこと,東京高判平成20年6月25日(中央労基署長遺族給付等不支給処分取消事件)で,勤務先で3時間程度飲酒を伴う懇親会が開かれ相当酩酊した上,営団地下鉄α線β駅入口階段から転落して死亡した事故において通勤災害に当たらないとした事例があることにも注意を要する.

勤務先以外の飲食店で懇親会が開かれた場合は,事業主の命をうけて得意先を接待し、あるいは、得意先との打合せに出席するというような場合を除いては通勤災害の成立が否定されることを踏まえると,本事例は限界事例における妥当な判断を示したものといえよう.

いずれにしても酔っ払って地下鉄の階段から転げ落ちて死んでしまうというのは悲しすぎるので,お酒は適量を心がけることが大事なようだ.

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■2011/ 5/15(日)  若者はなぜ「就職」できなくなったのか?

児美川孝一郎『若者はなぜ「就職」できなくなったのか?』(日本図書センター,2011年)を読んだ.

タイトルと内容に相当開きがあるのは,最近の出版界のはやりなのだろうか.

著者は有名私大の「キャリアデザイン学部」教授とのこと.キャリアデザイン学というのは初めて聞く名前で,どのような方法論に基づく学問なのだろうかと不思議に思ったものの,本書の内容を見るに,要は著者の属するのは教育学の一分野なのだと理解.

2000年代に入って,若者と仕事を巡る状況が社会問題となる中で,中学校での職場体験が始まったり,大学での就職指導・キャリア教育が抜本的に強化されたりしてきた.著者は,こうした動きの中で,主に高校や大学でのキャリア教育の現状には非常に問題があるととらえ,対策の処方箋を提示している.実証的な分析や深い論考はあまり見られないが,その分読みやすい.

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫,1982年)を文献案内の最初に持ってきたのには拍手を送りたい.もともと70年以上前に書かれた本だから,社会のあり方も現代とは違うし,それを思えば,当時の社会はいまの格差社会の比ではなく,目を覆いたくなるような部分には意識的に触れていないのかもしれないけれど,進路を考えるというのは社会と自分とのかかわりを考えることにほかならないということを,中学生にも理解しやすいように書いた本.高校生や大学生にもおすすめなのでは.

一個人として思うのは,社会に適応することの難しさは大学に入ったばかりの人などにはなかなか想像ができないかもしれないけれど,生きていくためにはどうにかしてそのすべを見出さなければならないし,見出してほしいというメッセージを伝えたい.

今回の震災を機にここ1か月ほど取り組んできた災害対策.

火災共済(借家人賠償責任特約付き)を解約新規で自然災害共済付きに.火災よりも自然災害の方が1口当たりの共済金が低く,掛金が高いということは,火災や落雷よりも風水震災の方がリスクが高いということか.火災や落雷の場合は,契約した口数の範囲内で焼損等した家財の再調達価額が支払われるのに対し,風水震災の場合は住宅の損壊率等に応じて口数に比例した一定額が支払われるという設計になっているのが不思議なところ.

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■2011/ 5/13(金)  新銀行

大和証券グループが新しい銀行を設立し,今日開業したとのこと.

「店舗もATMもキャッシュカードも通帳もない」銀行というのはたぶん初めてなのではないか(店舗がない銀行は実例があるし,通帳を発行しないタイプの口座も普及してきたけれど,キャッシュカードだけはあるのが普通).

新しい銀行といえば,2000年に営業を開始したジャパンネット銀行を嚆矢とし,ソニー銀行,じぶん銀行,セブン銀行,イオン銀行,日本振興銀行,新銀行東京,はてはSBJ銀行などあまたあるけれど,おしなべて前評判ほどの実績をあげることができていないようだ.

利用者からしてみれば,3メガバンクやゆうちょ銀行,労働金庫などの金融機関があれば足り,それ以外の銀行があることに意義が見出せないのかもしれない.あるいは,公共料金などは従来の金融機関を利用し,振込などは新しい銀行を利用するといった使い分けをしているのかもしれない.預貸率がバブル崩壊以後右肩下がりで低下してきていること,リース会社なども苦戦していることを考えると,従来型の銀行などが採用している金融ビジネスモデルが通用する範囲は徐々に縮小しつつあり,これからの伸びしろがあるとすれば,それは決済インフラとしてのビジネスモデルだけなのかもしれない.

しかしまずは,この銀行が利用者にとって何らかの利便性を提供し,銀行業界での地位を見つけていくことを期待したい.

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■2011/ 5/ 7(土)  Timeが2冊届いた(昨日).

Timeが結構前に毎週金曜発売に変更されてから,うちに届くのは大体いつも月曜.ときどき早くて土曜に届くこともある.週末にゆっくり家庭で読んでもらうため,という趣旨の発売日変更だとされていたけれど,米国本土外に住んでいる人にはちょっと何だなあと思っていた.直近では9日号が2日に届いた(米国本土での発売は4月29日のはず)と記憶している.

そのTimeが,今週に限って昨日金曜に届いた.しかも2通.

発送上の手違いでもあったのかと思って,開けてみてびっくり.

1通は普通のTime(16日号)で,ただ英王室の婚礼の特別記念号と題されていて,表紙を結婚式の模様が飾っているのみ.

もう1通は20日号で,表紙はビンラディンの写真に大きく×印が付けられていて,「特別レポート - ビンラディンの終焉」と題されている.表紙最上部に「定期購読者用 再販不可」と書かれているものの,カバーストーリー以外に通常の記事も含まれていることや巻号から推測すると,ビンラディン殺害に併せて,翌週発売号(23日号)の内容を含め急きょ発売を繰り上げることにしたものと思われるけれど,何だかなあと.

Timeが号外を出したり発売を繰り上げるというのはきわめて稀なことで,東日本大震災はもちろん,スマトラ地震でもそういったことはなかったと記憶.

その夕方には,浜岡原発停止要請のニュースが飛び込んできた.自民党政権ならなしえなかったことに違いない.民主党政権と自民党政権は,似ている面も多くありつつも,いくらか違いが出てくるものだと.

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■2011/ 5/ 5(木)  スマートグリッド

インプレスから出ている『スマートグリッド教科書』(合田忠弘・諸住哲監修,2011年)を読んだ.

電力というのは,技術者にとってはなかなか魅力的な領域.

何しろ変圧器一つとっても装置が大きくて重いとか,大エネルギーを流通・貯蔵するので危険も大きい(リチウムイオン電池の発火騒動だけでなくて,水力発電でもタービンが折損するといった事故もある)といった面もあるけれど,発電所から送配電網,さらには需要家内の設備に至るまで,きわめて高度な技術が蓄積されている(その詳細はなかなか出てこないが,かつて風力発電がブームだったころの電力会社側の資料で一端をうかがい知ることができる).またサンシャイン計画が実験レベルで終わってしまったように,工学の常として,技術的な可能性だけでなく採算性が厳しく問われるというのも面白いところ.

スマートグリッドというのは,送配電網に情報通信技術(ICT)を組み込むことで,省エネや環境負荷軽減,信頼性向上などを達成しようという取り組み.欧州が起源で,米国でオバマ政権の目玉政策として採用されたことから一般化したものらしい.目先数年〜10年,20年といったスケールでは,ICTがあらゆる分野の技術革新を巻き起こしていくと想定されることを考えると,積極的に取り組む必要がある.

スマートグリッドというと,日本ではバズワードっぽいとらえられ方をされてもいる.それは既存電力会社がスマートグリッドの導入に消極的だからという面が大きそうだ.確かに日本の送配電網は信頼性が高いし,米国の州をまたいだり欧州で国をまたいだりするような大規模停電は起きたためしがないし,発電所と送電網に限っていえば,すでにICTが高度に活用されているということはある.

しかし,今後の再生可能エネルギー(化石燃料などの埋蔵資源を利用しないため枯渇しないエネルギー)や,熱電併給などの分散電源の普及を考えていくと,末端の配電網や負荷機器,さらには駐車中の電気自動車を取り込んでICTで制御することが必要で,これは日本でも達成されておらず今後達成の必要性がありそう.デマンドレスポンス(電力需給状況に応じて,使用電力を自動制御する(たとえばエアコンの設定温度をしばらく上げるなど).需要応答とも)も魅力的だ.今回のような計画停電といった粗雑なやり方ではなく,ICTを使用して優先制御するというのは大変望ましいし,スマートメーター(ICTを活用した電力量計)を設置することにより,時間帯・季節・平日か土休日かによる合理的な料金体系の導入が可能になるので,結果として省エネにもつながりそう.電気自動車で日本は先行しているだけに,IECをはじめ,IETFやIEEEなども含め標準化が進められているのには,日本もきちんと参加していかなければならないと思う.

なお再生可能エネルギーについて,日本の国土には風力発電は適さないので,太陽光発電を中心として進めている現状の方向性は正しいと思う.太陽光発電が大量に導入されると電圧や周波数の維持に支障があるのではという懸念も出ているけれど,今日の負荷機器は,周波数が多少変動しても動作に問題がないように作られているし,電圧も低いと問題だけれど多少高い分には問題ないので,現在の基準はやや過剰品質なのだと思う.もう少し緩やかにしてもよいのではないか.

急に太陽光発電の出力が低下したときのバックアップとしては,これまでの定石にならえば水力発電の出力増で対処するということになるけれど,そうではなくて需要の調整で対処するという方向性もありそう.冷蔵庫やエアコンなどは,10分程度の短時間なら消費電力を削減できる.発電側での対処をしようとすると,送電網も含め設備増強が必要だけれど,需要側の対処であれば,狭い需要地域の中でバランスをとるので送電側には影響がないようにできる.NAS電池の開発にも注目したい.NAS電池というのは,大容量電力貯蔵の方式として注目されている蓄電池で,300℃程度で運転するので家庭や小工場レベルでの導入には適さない(安全性と温度維持)し,短時間の需給調整にも向かないようだけれど,配電用変電所あたりに設置すれば数時間〜1日程度のスパンの需給調整に使えるかもしれない.

太陽光発電で発電した電力を交流に変換するのに用いられるインバータは回転式発電機と異なり,慣性がないので同期化力がないとか,無効電力を供給することができないので電圧制御に問題があると指摘されるけれど,いま家庭用に販売されているインバータにそういう機能がないということであって,私の理解が正しければ,インバータというのは無効電力を供給したり供給電圧をある程度変化させることが可能なもので,問題は無効電力の供給量や供給電圧を制御するための指令の仕組みがないことなのではないかと.また同期化力についても,元来インバータは任意の位相の電力を供給する能力のある機器だから,適切なクロックさえ供給されれば回転機と同等以上の同期化力の供給ができそう.

スマートグリッドの概念には地域熱供給も含まれるという.天然ガスなどの化石燃料を利用する熱電併給(コージェネ)は,再生可能エネルギーの利用ではないけれど,総合効率は既存の火力発電を凌駕するので,温暖化防止には効果がある.熱エネルギーは多少の貯蓄が効くので,熱電併給設備を太陽光発電のバックアップとして・出力調整の用途にも活用できるようにすれば一挙両得ではないかと.ただ,現在の家庭用燃料電池は負荷変動への追従が困難(燃料電池本体は問題ないものの,改質器の出力変動が難しいらしい)なのでこの用途には向かない.レシプロエンジンが現実的だろう.日本では地域熱供給(地域冷暖房)は,住宅地にはほとんど導入されていない.集合住宅の多い地域で,最新式の熱源機を設置するのであれば,そして熱電併給で太陽光発電のバックアップ目的を兼ねるのであれば,メリットは放熱ロスなどのデメリットを上回るのではないか.

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■2011/ 5/ 4(水)  班目春樹氏の率直な発言

いま原子力安全委員会の委員長を務めている班目春樹氏は,最近メディアに登場しなくなったけれど,歯に衣着せない率直な発言は以前からのものだったようだ.

原子力資料情報室の2007年7月31日付ニュースリリースに,氏の発言が引用されているので,孫引きを.

『六ヶ所村ラプソディ』という映画に出演しての発言.「技術の方はですね、とにかく分かんないけれどもやってみようが、どうしてもあります。で、だめ、危ない、となったら、ちょっとでもその兆候があったら、そこで手を打とうと。おそるおそるですよ。」
「良かったじゃないシナリオもあるでしょうねって言われると思うんですよ。その時は、原子力発電所止まっちゃいますね。原子力発電に対して、安心する日なんかきませんよ。せめて信頼して欲しいと思いますけど。安心なんかできるわけないじゃないですか、あんな不気味なの。」

至言である.普通の人がこれを言ったら「『分かんないけれどもやってみよう』ではだめだ.起こりうる事象を漏れなく並べ上げ,全部解析して影響を評価するように」とか,「良かったじゃないシナリオがありうるなら,認めない.防止策を講じるまで中止だ」となってしまうところ.原子力村に生きていながら反原発の映画に出演するというのも常人にはなしがたいのではないか.

続いて,どこかの訴訟手続での証言.まるで今回の事故を予言したような発言.「非常用ディーゼルが2台動かなくても, 通常運転中だったら何も起きません。ですから非常用ディーゼルが2台同時に壊れて, いろいろな問題が起こるためには, そのほかにもあれも起こる, これも起こる,あれも起こる, これも起こると, 仮定の上に何個も重ねて, 初めて大事故に至るわけです。だからそういうときに, 非常用ディーゼル2個の破断も考えましょう, こう考えましょうと言っていると, 設計ができなくなっちゃうんですよ。つまり何でもかんでも, これも可能性ちょっとある, これはちょっと可能性がある, そういうものを全部組み合わせていったら, ものなんて絶対造れません。だからどっかでは割り切るんです。」
「非常用ディーゼル発電機2台が動かないという事例が発見された場合には, 多分, 保安院にも特別委員会ができて, この問題について真剣に考え出します。事例があったら教えてください。ですからそれが重要な事態だということは認めます。」

「非常用ディーゼルが2台動かなくても, 通常運転中だったら何も起きません」というのは確かに正しいけれど,「どっかで割り切るんです」なんていう発言もまた世人の逆鱗に触れてしまいそう.

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