みしっく今日のひとこと - 2010年10月


■2010/10/31(日)  Windows Vistaでの多言語入力環境おぼえがき

フランス語で文を書くことは絶無だけれど,フランス語の語句で検索をかけることはちょくちょくある.フランス語で使用されるアクサンなどの特殊な記号が付いた文字は,普通にキーボードから入力することができない.しかも,現在のところアクサンを無視して検索語を入力すると望む結果が得られない(例として,chateauとchâteauでは検索結果が違う(件数も内容も))ため,IMEパッドの文字一覧からマウスで選択するか,あるいは文字をコピーアンドペーストするかといったことをいままでしていた.

そこで一念発起して,キーボードからアクサン付き文字などを直接入力できるようにしてみたので,おぼえがきを.

コントロールパネルの「テキスト サービスと入力言語」から,入力言語にフランス語を選ぶ.ここで「フランス語(フランス)」を選んでもいいように思ってしまうのだけれど,そうするとAZERTY配列(QWERTYではなく…)になってしまい,私のような日本の人は相当苦労してしまうようなので,「フランス語(カナダ)」の「カナダ・マルチリンガル標準」を追加.

Alt+Shiftを押すごとに,入力言語がトグルする.現在の入力言語は言語バーの左端に「JP」「FR」などと表示される.今回追加した「カナダ・マルチリンガル標準」の場合,右手の小指が担当する範囲のキーでアクサンテギュ・アクサングラーヴ・セディーユ付き文字が入力できる.Pの右のキー(日本のキーボードだと@や`が刻印されているキー)はいわゆるデッドキーで,このキーを押してから母音字を押すとアクサンシルコンフレックスやトレマ付きの文字が入力される.oeの合字(œ)は右Ctrl+eで入力する.

なお,このOSにはスクリーンキーボード(osk.exe)というアクセサリが付属しており,これを使うことで,現在の入力言語で各キーを押したらどの文字が入力されるかがわかる(入力言語をトグルしてもキーボード上の表記が変わるわけではないので).

蛇足ながら,ハングルの入力は私のPCでは以前からできるように設定してあったのだった.大体左手が子音,右手が母音を担当するのだけれど,こればかりは10年たっても私には覚えることができていない.ハングルの場合は上記のスクリーンキーボードは使えないようで,言語バーに現れる「ソフトキーボード」という機能を使う.右Altキーを押すたびにハングルと英字が切り替わる.入力を間違えたときに削除する際,あらかじめ韓国語IMEの設定で「Delete by Jaso unit」を選択しておくと楽だ.

夕食に,焼き豆腐と牛ひき肉の煮物を作る.肉は和牛小間切れにしようと思っていたのだけれど,あいにく適当な分量のものがなかった.それと,ほうれん草と菊のシークワーサーじょうゆ和え.シークワーサー未熟果1個の絞り汁に砂糖としょうゆを適量.山形の食用菊に沖縄の柑橘を合わせては無国籍料理になってしまうので,料理屋さんならしないところだけれど,これは冷蔵庫にたまたま1個シークワーサーが余っていたという事情によるもの.

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■2010/10/30(土)  年金問題の近著 / 新進気鋭の鉄道ライター?

鈴木亘『年金は本当にもらえるのか?』(ちくま新書,2010年)を読む.一問一答形式で18個のテーマについて著者が見解を披露するという形式になっていて,初心者からこの分野に一家言ある読者まで幅広く楽しめる本.マクロ経済スライドとは何か,とか,なぜ年金関係者は税方式化にこれほど抵抗するのか,など,知っている人は知っているけれど,それは言わないお約束でしょう,などと有識者なら思いそうなことがらを歯に衣着せずに解説していくから,胸がすっとする.

成田スカイアクセスの開業(と,最近始まった連載の「法律で鉄道を覗いてみたら」)に関心があって,鉄道ジャーナルの10月号を読む.「成田エクスプレスとスカイライナーを乗り比べてみたら」と題する梶本愛貴氏の記事が目をひいた.鶴通孝氏や佐藤信之氏をはじめとする常連寄稿者が執筆する記事が並ぶ中,見慣れないライター.軽快な小説を読んでいるようで心地よかったのは,鉄道取材記事を書く上で踏まえておくべきポイントはきちんと押さえた上で,豊富な語彙を背景にした描写力と新鮮な感性を持ち合わせているからだろうか.私も日記を書く上で,見習いたいものだと思った.

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■2010/10/28(木)  集合住宅の一住戸の賃借人が失火により建物に損害を与えた場合の損害賠償の範囲

建物の賃借人(使用借人を含む.以下同じ)に帰責事由のある火災により賃貸借の目的物である建物に損害を与えた場合,賃借人は賃貸借契約上,目的物の保管義務を負っていることから,その不履行による賠償責任を負う.失火責任法は不法行為に関する規定なので適用されない.ここまでは判例上確立している.漏水等の場合も失火責任法の適用が議論にならないほかは同様と考えられる.

建物が集合住宅であった場合,損害賠償の範囲が,当該賃借部分(専有部分)のみなのか、それともこれと構造上不可分一体をなす他の部分にまで及ぶのかどうか.

他の部分についても賠償責任ありとする裁判例(大阪地判昭和54年3月26日,東京地判昭和47年12月20日,東京高判昭和40年12月14日)とこれを否定した例(他の住戸や共用部分について責任を否定.東京地判昭和51年3月31日)があり分かれている.次回の事例で最高裁で判断が示されることを望む.

なお現行の火災保険・火災共済の借家人賠償責任担保特約は,私の調べた限り,いずれも借用戸室に関する法律上の賠償責任を補償する内容となっているので,他の住戸や共用部分について賃借人に賠償責任ありとの判断が示されれば,特約の内容の変更が必要となりそう.

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■2010/10/26(火)  夫婦で年収600万円をめざす

花輪陽子『夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン,2010年)を読む.内容は他の著者による本のダイジェスト版というものか.読みやすいのはよい.

著者によれば,男性の所得は10年前に比べて大きく下がり,30代前半の男性の収入でもっとも多いのは,額面で年収300万円台,10年前に比べると200万円も減少しているとのこと.出典は示されていないが,私の調べによると,NHKと三菱総合研究所による調査結果で『35歳を救え』(NHK「あすの日本プロジェクト×三菱総合研究所、27ページ)に記載されているものである模様.

程度の差はあるものの,これは私の周りの実感とも一致する.少なくとも一人で年収600万円を稼ぎ出すという人は少数派に属すること,その収入が将来的に低下するリスクも考慮する必要があることを前提にすると,「夫婦で年収600万円をめざす」というのはこれからの生き方としては必須なのだと思う.そのためのノウハウが簡潔にまとめられている.

ただ,各論の中で一つだけ疑問に思ったのは,東京や大阪では地価が非常に高いので賃貸住まいが妥当としても,たとえば京都のような地方都市では都心でも中古マンションなどは手が届く範囲で,相対的に賃貸が割高になっている気がする.そのため,地方都市勤務ならば持ち家の方がよいのかも.

ニコンが先月,1/1.7型CCD搭載コンパクトデジカメ「COOLPIX P7000」の発売を発表したことを知る(デジカメWatch).2年前に発売されたP6000の後継モデルという位置づけ.うちではP6000にスピードライトSB-400を取り付けて,屋内撮影にも便利に使っている.P7000は各種性能向上のほか,動画の解像度が向上して,記録形式がH.264/MPEG-4 AVCになったのも嬉しいところ.静止画の有効画素数は低下したものの,P6000の場合,最大画素数(13Mピクセル)で撮影しても画質面が物足りないので,私は常に8Mピクセルとか3Mピクセルで使用していた.P7000は画素数を減らしたもののCCDサイズはP6000と同じなので,その分画質の向上が期待されるところ.

ただ,2年でデジカメを買い替えるのは浪費に過ぎる.次の後継機種が2年後に発売されると想定して,それを待ちたいと思う.

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■2010/10/11(月)  内閣府の「国民の声」に

内閣府の「国民の声」プロジェクトが,「おかしなルールの見直し(国の規制・制度の改革)」について集中受付をしていることを知り,以下のような意見を投稿.

「医療保険における資格得喪手続中の保険診療の簡素化」
国民皆保険制度のもと,全国民がいずれかの医療保険制度に加入している.しかし,離職・就職・収入増減・就労時間の増減・失業給付の受給開始や終了といった事由により,健康保険の被保険者・被扶養者・国保の被保険者という資格の得喪が発生する.

法律上,これらの資格に切れ目が生じることはないはずであるが,たとえば失業給付の受給終了を理由とする健保の被扶養者認定には,失業給付の受給終了を証する記載のある雇用保険受給資格者証の写しの添付を求められ,また健保の被扶養者認定取消しを理由とする国保の被保険者届出には,健保の被扶養者認定取消しの証明書の添付を求められる.これらの手続が完了しないと保険証が交付されないことから,手続中は事実上保険診療を受けることが困難であるという問題がある.

全国民統一の社会保障カード制度の創設を目指す取り組みが進められているが,創設までには期間を要する.当面の対処策として,制度Aにおける資格喪失と同日に他の制度Bの資格を取得した場合は,資格得喪の後も,制度Aの保険証を提示して診療を受ければ,制度Bの保険証を提示して診療を受けたものとみなすこととし,保険診療報酬の負担は保険者間で解決するようにすることを提案する.
「健保組合の資格得喪処理迅速化および雇用保険の離職票作成迅速化」
協会けんぽでは,資格取得・資格喪失の申請や被扶養者資格の認定および認定取消しの申請は即日処理するようになっていると聞くが,健保組合によっては処理に2〜3週間を要するところがある.また,これらの申請は事業主を経由してすることとなっていることから,事業主によっては処理に数日を要する者がある.

また雇用保険制度においても,公共職業安定所では離職票の手続を即日処理していると聞くが,事業主によっては,雇用保険法に違反するものの,2週間ごとにまとめて,その間に離職した者の離職票の作成を行っている者がある.これらの手続の電子化を進めるなどの方策により,事業主内部も含めて処理を迅速化するよう強力に働きかけることを要望する.
「法律事務所等への厚生年金・健康保険の適用拡大」
「弁護士法3条・司法書士法3条等に定める事業」など,法律関係専門職の事業を健康保険法3条3項1号および厚生年金保険法6条1項1号に加える.

現在,法律事務所等は個人事業である限り厚生年金・健康保険の適用対象外となっている.一方,同様の高度な専門職である医師については,適用対象となっており,この差異に合理的な理由が見出せない.弁護士事務所に勤める弁護士や事務職員も厚生年金・健康保険に加入したいという潜在的なニーズはあり,また,ごく零細規模で行われる個人事業を除きすべての事業所を強制加入とするという制度の趣旨から,適用対象とすべきである.
「厚生年金・健康保険のいわゆる4分の3基準の改定」
厚生年金・健康保険は週当たりおおむね常用労働者の4分の3以上の所定労働時間の者を被保険者とすることとされているが,最近のパート労働・非正規労働の拡大に伴い,「週当たり20時間以上」に改める.また,この基準は雇用保険法6条2号にならって法律で規定することとする.

パート労働者も含め,雇用形態にかかわらずすべての勤労者を厚生年金に加入させることで,厚生年金の恩恵を広げるとともに,厚生年金の担い手を大きく広げることが必要であるほか,雇用保険と適用対象を異にする合理的理由が見出せないため.また,現在の4分の3基準は法律で定めるべき事項であるにもかかわらず通達による運用がなされており不適切であるため.

全部厚生労働省所管の制度だ….どれも国民受けしない割に抵抗が予想されるので,実現の可能性は低いかもしれないけれど,国民の税金をほとんど使わずに利便性を向上するという意味では同プロジェクトの趣旨に沿っていると思って投稿してみたもの.

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■2010/10/ 9(土)  相模国≠神奈川県.

相模国とか山城国などの地理的区分は,奈良時代から江戸時代に至るまで使われてきたもの(最近は専門用語で「令制国」と呼ぶらしい).ただ,江戸時代には令制国は行政の単位ではなくなっており,全国がいろいろな大名や旗本などの領地に細分されていたほか,幕府直轄地などもあり,飛び地があったり複数の領地がモザイク状になっているところもあって,複雑だった.明治維新の3年後に政府は廃藩置県を断行し,大名の領地を県に置き換えた後,20年程の間に合併などを経て現在の都府県が成立した(東京都は東京府だったけれど),というのが私の理解.

合併後の府県境と令制国の境とは大差ない(たとえば,山城国の国境は京都府の境に一致するし,遠江国・駿河国・伊豆国の国境は静岡県の県境に一致する)と思っていたのだけれど,その重要な例外が東京付近にあったのだった.

それは,武蔵国は埼玉県と東京都におおむね一致するのだけれど,現在は神奈川県に属している川崎市の全部と横浜市の大部分も,相模国ではなく武蔵国に含まれていたということ.私の以前住んでいたところも,武蔵国橘樹郡(たちばなぐん)に属していたことを知る.

その経緯をWikipediaで調べてみると,幕末の1859年に,横浜港の開港に伴い幕府に神奈川奉行が設置され,横浜付近の幕府領を管轄するようになったこと,明治維新に伴い,神奈川奉行所の管轄区域に加え,橘樹郡・久良岐郡のうち松村支配所管轄や旗本領などや都筑郡も併せて管轄するようになったというのが起こりらしい.神奈川県が武蔵国のこれらの区域に加えて相模国全域を管轄に収めるようになったのは,さらに複雑な経緯をたどっているらしいのだけれど,これは省略.

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■2010/10/ 4(月)  組み込み音楽

組み込み,といえば,「特定の機能を実現するために家電製品や機械等に組み込まれるコンピュータシステム」を意味する(Wikipedia)ことが多い.私たちの生活にとても身近なのに,私のようなエンジニアにとっても縁遠い世界.

計算機システムの性能向上に伴って,音楽もまた機器に組み込まれることが多くなった.駅で列車が発車する前に旅客の乗降を促すために鳴らされるいわゆる発メロ,発車メロディのようなのはその代表格だろうか.

で,私のところにもいくつかの音楽が組み込まれた機器があって,それが何調の音楽なのか分明でなかったので,手元のミニピアノを使って調べてみたところ,シャープが5つのロ長調であることが判明(フラットが7つの変ハ長調である可能性は否定できないけれど)して,大いに驚いた.この機器は,もともとヘ長調の曲などもロ長調に移調して組み込んである模様.Wikipediaに「シャープやフラットが5個以上の調」なんていう記事が立項されていたりするけれど,こうした調はなかなかなじみがないもの.理屈の上では調号がいくつあっても問題ないはずだけれど,現実にはせいぜい3つ,稀に4つぐらいが歌いやすさの限界だと思う.

調号の多い曲といえば,「猫踏んじゃった」という曲は,私が小学校1年生のときに同級生が足踏みピアノで軽やかに弾いていて感銘を受けた覚えがあるのだけれど,この曲も相当調号が多い(フラットが6つの変ト長調)のだと,ずっと後になって知ったのであった.面倒だからハ長調かイ長調に移調して弾いちゃうぞ,なんてことはしません(笑).

内閣府が行政不服審査法の改正の方向性についての意見募集をしていたので,意見を提出してきた.

政府の審議会というと,しばしば国民感覚からかけ離れた政策を打ち出したり,「会議は踊る,されど進まず」だったり,方向性は合っているけれど施策の規模やスピードが不足しすぎだったりするのだけれど,この「行政救済制度検討チーム」はなかなかいい仕事をしている.しかも8月31日に第1回の会議が開催されたばかりだというから,どこかに下敷きがあったのだとしても,スピードに驚いてしまう.

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■2010/10/ 3(日)  スーパー建築士?が教える.

武内修二『スーパー建築士が教える一生住めるマンション』(日本実業出版社,2004年)を読んだ.

不動産を購入する意思はないのだけれど,賃貸の住まいを選ぶ際に参考にできる.建物自体の品質・性能・機能面についてはこれまで読んできた本以上のことは書かれていないのだけれど,立地について,平坦地でなければ意味がない(!)とか,河川沿いがよいが海岸に近すぎてはいけない,とか,高台のマンションは避けたいとか,幹線道路沿いの問題は騒音だけではないなどといった指摘があったのは心にとめておきたい.

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■2010/10/ 1(金)  菅原孝標女は13歳で.

更級日記の著者,菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)は,13歳ごろに源氏物語を全巻手に入れて夢中になって読んだというけれど,私の場合は32歳にして初めて源氏物語を読んでみた.原文では相当つらいものがあるので,最近刊行された林望訳で.

まだ「夕顔」の章の途中なのだけれど,まず思ったのは,ものすごい大河小説なんだなということ.このような壮大な物語を書くというのは,並大抵の根気で成し遂げられるものではないだろうと.

現代の小説に慣れている読み手からすると,かゆいところに手が届かない描写ぶりが残念なようにも思えるけれど,技巧を凝らした和歌が楽しめるというのは平安時代の文学ならではだと思う.

一方で,私の読んでいる章ではまだ主人公が年若いからだろうか,自らの行いに対する内省とか,先々の行き方の舵取りをしていくという観点が足りないように思えるというのと,何よりも,ストーリー展開が都合よすぎるというのが残念.都合よすぎるというのは,主人公だけでなくて,登場人物の多くにとって,話がうまく運びすぎている匂いがする(あるいは,うまくいかなかったエピソードは「なかったこと」にして描写を省いたのか).

菅原孝標女のように,われを忘れて物語の世界に没入することができればよいのだけれど,少し身を引いて考えると,人生の不都合な真実から目をそらした「お話」でしかないことに気づく.その点では『指輪物語』のようなファンタジーと異なるところがない.当時の貴族社会の生活をありのままに描いたノンフィクション作品があるとしたら,これほど愛でられる作品にはならなかったかもしれない.現代社会との隔たりが大きいというのではなくて,当時の貴族社会の現実からも隔たりが大きいのではないかと思う.生活感がないというか,現実味が感じられないというか.これは,現代の学園小説などにも共通することだけれど.

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