みしっく今日のひとこと - 2010年2月


■2010/ 2/27(土)  【首都圏限定】ホンビノスガイ

近所のスーパーで「ホンビノス貝」という名前で貝が売られていたので,ものは試しと1個だけ買ってみた.

二枚貝で,貝殻のうち1枚は取り除いてあった.Wikipediaの記載によれば,アメリカでは重要な食用貝であり,クラムチャウダーとして供されたりするらしい.日本では1998年に東京湾奥部で確認された外来生物であるとのこと.

シンプルに焼き貝にしたところなかなかおいしかった.Wikipediaで紹介されているにんにく風味の蒸し焼きもよさそう.生息地を考えると大量に食べたいというものではないけれど,もっと値段が下がったら,しょうゆ味で煮ても悪くないと思う.

トヨタ自動車製の車に欠陥があるとして米国のメディアや連邦議会を中心に盛り上がっている騒動について,遅ればせながら思うのは,自動車とは本質的に危険なものだという認識が消費者に十分共有されていないのではないかということ.

無論,他の交通機関についても,質量を有する物体が動くことによる危険性は,程度の差はあれ共通するもので,操縦ミスや欠陥,天災などによって事故が生じる危険性を完全になくすことはできないから,複数の保安装置を備えたり,社内規定で操縦上のルールを定めたり,動作履歴の取得と検証の仕組みを備えたりしている.

自動車をより安全な交通機関に置き換えることが当面難しいのだとしたら,安全性を作り込んでいくという前向きな議論を求めたいもの.

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■2010/ 2/15(月)  国土交通省がひっそりと意見公募を出しているので応募してみるテスト.

国土交通省がひっそりと,「『交通基本法』の制定に向けた意見の募集について」と題して意見公募を出しているのを見つけていたので,応募してみた.

実質40分ぐらいでえいやっと書き上げた.読み返してみると,大都市圏の混雑緩和についてやたらと各論を述べるなど妙に力が入っていてバランスが悪いような気もするけれど,都市住民の率直な意見として参考にしてもらえればいいなと思う.地方在住者からは,「路線バスの減便で病院通いもままならない」などといった切実な意見が提出されるのだと思うし,それを期待したいもの.

意見:
交通基本法を早期に制定すべきである.
その内容としては,以下の事項を盛り込むべきである.
(1) 国民は交通手段へのアクセスの権利を有するものとすること
(2) 公共交通機関を国民生活の基盤として位置づけ,国はその充実に責任を
 持って取り組むこと,とりわけ公共交通機関の効率性・利便性向上を早急に
 実現すべきであること
(3) 都市部における交通の混雑の緩和のため,抜本的対策が講じられるまでの
 間,地方公共団体,民間事業所,学校等は時差通勤通学を強力に実施する
 責務を有するものとすること
(4) 環境負荷低減(とりわけ地球温暖化対策の観点から,CO2排出量の低減)
 について同じく国が責任を持って取り組むこと
第165回国会において提出された交通基本法案は,これらの事項がおおむね
盛り込まれているが,上記(3)項が盛り込まれていないため,当該項目を追加
すべきと考える.

理由:
公共交通は,電話や郵便などと同様,国民の生活および産業にとって欠くことの
できない基盤である.しかしながら,公共交通不便地帯においては
自家用車を利用できない者は生活に著しい不便を被っていたり,
大都市圏においては通勤時の混雑率が先進諸外国に比べて高いなど,
いまだわが国において公共交通が整備されているというには程遠い状況である.

その一方で,かつては公共交通機関において非効率な運営がなされたり,
独立採算を理由に住民にとって必要な路線が廃止されたりした経緯があるほか,
大都市圏においてもJR中央快速線にみられるとおり,採算性を理由として
混雑緩和の取り組みが滞っている現状がある.また,特に首都圏においては
混雑料金制の導入や,鉄道事業者間をまたがるトリップにおける運賃合算制度か
ら通算キロ程に応じた運賃制度への変更など,運賃体系の見直しの検討も進んで
いない状況であり,利用者の立場に立脚した公共交通システムの構築は道半ば
である.

したがって,国民を交通手段へのアクセスの権利主体と位置づけるとともに,
国が公共交通機関の充実に責任を持って取り組むこととすることにより,
これらの課題を解決し,国民の生活水準向上および産業の生産性向上を図る
必要がある.

なお混雑緩和に関しては,「時差通勤通学対策について」(昭和40年10月14日
付交通対策本部決定)において,同年以来各省庁および民間企業等において
「時差通勤通学対策を緊急かつ強力に推進するもの」とされているところ
であるが,いまなお時差通勤通学が徹底されているとはいえない.鉄道設備
の増強等の抜本的対策が実現されるまでの当面の対応策として,時差通勤通学
の徹底を図ることも必要である.

これとともに,産業界全体としては省エネの取り組みが進展する中で,
運輸部門におけるCO2排出量の低減ははなはだ不十分であり,交通システム
全体としての地球温暖化対策が必要である.また幹線道路周辺地域を中心と
する,自動車排ガスや騒音等による健康被害も,いまなお十分な改善がなされて
いるとはいえず,技術的手法のみならず,ロードプライシングなどの手法による
手当ても検討が必要な段階であると考える.

よって標記の通り,交通基本法を早期に制定すべきであり,その内容としては
第165回国会において提出された交通基本法案に時差通勤通学に関する項目
を追加したものとすべきと考える.

                              以上

なお意見は3月2日までメールなどで受け付けている.

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■2010/ 2/14(日)  もうかさめ.

齊藤正明『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』(マイコミ新書,2009年)を読んだ.

この手の新書に多い,タイトルで読者を釣る本.会社人生で必要な知恵を求める人には向かないが,マグロはえ縄漁業という,今日では存続が厳しく,しかも長時間の肉体労働を伴う産業の稀少なドキュメンタリーとして読む分には非常に興味深い記述を多く含んでいる.私の知人で漁業の経験のある人というと,30年ほど前にかにかご漁業に従事していた人が一人いるのみで,マグロはえ縄漁業のような遠洋漁業の実態を聞いたことはないので,その意味では興味深かった.

近所のスーパーにはときどきもうかさめが並ぶ.大型の大衆魚.マグロ漁で混獲されることもあるらしいし,ふかひれ目当てにサメを専門に漁獲することもあるのかもしれない.このさめ肉を,安売りになっていたボイル帆立貝と,野菜などと一緒にバター炒めにしたところ,思いのほか肉質が軟らかく,淡白な味だった.さめ肉は,ひと口サイズに切って塩を振って30分ほど冷蔵庫に置き,熱湯をかけて霜降りにしてから用いた.

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■2010/ 2/13(土)  eガバメント - 供託申請の場合.

eガバメント(電子政府)の旗印のもと,政府に関するさまざまな申請などの手続が電子的にできるようになった.e-Taxなどの成功事例がある一方で,使い勝手が悪すぎて普及しなかったシステムも少なくない.パスポートの発給を電子申請するシステムなどは利用者が少ないとしてやり玉にあげられて,確か廃止になったはず.紙ベースの仕事をコンピュータに載せかえるだけではなくて,いわゆるBPR,業務プロセス自体の最適化が必要となるゆえんである.

法務省関係でも,さまざまな電子申請の仕組みが作られている.その中で,不動産登記・商業登記の電子閲覧は,もはや実務上不可欠の存在といえよう.

その反面,供託手続の電子申請はいただけない.

ひとことで供託といってもいくつかの種類に分けられるのだけれど,一般国民が遭遇する事例は,債権者が受領を拒んだ場合や債権者不確知を理由とした弁済供託が多いと思う.そしてこの場合,供託所に資金を納入するだけでなく,供託所に供託通知書の発送を委託しなければ弁済と同じ効力が得られない.

ところが,供託申請自体はオンラインでできるし,資金の納入も電子的にできるけれど,供託通知書の発送を委託するためには郵券を貼付した封筒を供託所に郵送する必要がある,らしい.

あと一歩の改善で,関係者の手間を大きく削減できる仕組みに仕上がるのにと思うと残念である.

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■2010/ 2/11(木)  債権法改正について.

東京弁護士会法友全期会債権法改正プロジェクトチーム 編『民法改正を知っていますか?―全容・諸論点早わかりQ&A』(民事法研究会,2009年)を読んだ.

著者らは,民法学者や法務省が進めている債権法改正に向けての動きに対し,主として批判的な立場からコメントしている.タイトルからすると読みやすそうだけれど,実は読者としては弁護士ら実務家を想定している模様で,一通り現行法の知識がないと読解が難しい.

私は,以前に書いたかもしれないけれど,民事法は国民の日々の生活で直接適用されるものだから,その抜本的改正には国民的合意が必要となり,現状ではそういった方向の議論は始められていないし,また喫緊の政治課題として取り上げる必要もないと思っている.ただ,債権法に限らず,民法(家族法を除く)は100年以上前に公布されたものであり,解釈によって補うことで機能を果たしているのが現実で,計算機関係でいうところの「奥が深い症候群」に陥っているように思われる.

実務家はその奥の深さに慣れ親しんでいるから,その抜本的改正に抵抗するのは理解できるけれど,そもそも成文法主義は,新たに生起した社会的事実に対して法律の制定や改正によって迅速に対処することができるのみならず,解釈によって補う必要が出てきた事項に関する判例や学説を取り込んで,必要に応じて整理を加えることで,一般市民にとって透明で納得のできるような規範の体系を作ることができるのが利点だと思う(2007年に制定された労働契約法もその好例).

そこで,債権法改正が必要であるという考えには賛同するのだけれど,現在検討されている内容に全面的に賛成することはできなくて,いろいろと意見を言いたくなってしまう.かといってこの本の著者らともだいぶ立場を異にする.考えていることを書き出してみると,以下の通り.

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■2010/ 2/ 7(日)  契約自由の原則の修正を考える.

近代私法には,日本法上明文の規定はないものの,当然の原則として,契約自由の原則というのがあって,その内容の一つに,契約を締結するかしないかを選択する自由と,契約の相手方を選択する自由といったものがある.企業間商取引の世界ではこれは当然必要なことだけれど(注1参照),一般国民の立場では,悩ましいもの.契約締結が自由だということは,素直に考えると,一般には不当だと思われるような理由で契約締結を拒むこともできるし,そもそも締結拒否の理由を回答する義務もないということになる.

動産の売買取引で契約締結の拒否が行われることはあまりないし,生活に欠くことのできないサービスについては特別法で提供の義務づけがなされていることが多い(たとえば電気事業法18条1項,ガス事業法16条1項,水道法15条1項,医師法19条1項,一般信書便について信書便法19条1項,電話について電気通信事業法25条1項)ので,日常生活上,この原則をあまり意識することはないかもしれない.

しかし,契約締結をたびたび不当に拒否されることがこの原則によって正当化されるとしたら,社会生活を営む上で,大きな支障となる可能性がある.

契約締結の自由と国民の人権の対立に関して,よく取り上げられるのは雇入れの自由だけれど,住宅の賃貸借契約の締結が全く自由になっているのは,住まいを必要とする人にとっては時として酷なのではないかと思う.本人に責任のない事情により,住まいを見つけづらい人もいるからだ(注2).とはいえ,地代家賃統制令(注3)が効力を有していた時代にも,賃貸借契約の締結が強制されるということはなかったはずなので,どのような方策がありえるのか慎重に考える必要がありそうだ.

注1: ただし,物価統制令14条(現在もなお法律としての効力を有する)により売り惜しみが禁止されている(罰則は35条)ほか,国民生活安定緊急措置法22条により政府が事業者に対し物資の売渡し等を指示することができることとされており,物資の供給不足の場合には企業間においても無限定にこの自由が行使できるわけではない.

注2: 最近では国籍による入居拒否を不法行為として損害賠償請求を認める下級審裁判例が相次いでいるけれど,就労形態や年齢を理由とした入居拒否については不法行為は認めにくいのではないか.

注3: 契約内容自由の原則に対する例外として,地代・家賃について上限額を定めていた勅令.

昼食にねぎま汁を作る.Wikipediaを参考に,白ねぎを斜めに切って鍋に敷き,昆布を水にひたしておいただしとしょうゆ・酒を合わせ,みりん少々を加えて煮立てる.脂肪分の多い魚は好まないけれど,この手の料理は脂がのっている方がおいしい.でもまぐろの脂肪分の多い部位は高価なので,安く売られているあらを使った.食べやすく切って霜降りにしたあらを鍋に加えて一煮して出来上がり.白ねぎをたくさんおいしく食べるのに好適な料理なのだと知った.

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■2010/ 2/ 6(土)  数学ガール

結城浩『数学ガール』(ソフトバンククリエイティブ,2007年)を読んだ.

ライトノベルというのだろうか,叙述が軽快でさくさく読める.伝統的な小説は人生に関する事柄を扱うのに対し,この小説は主に数学に関する事柄を扱うという相違からか,プロットや心理描写は重くなくて,読みやすい.数式の展開もていねい.ただ,アニメ調の挿絵などはほとんど入っていない.1章,2章,3章あたりまでは高校生や一般の読者にとってなじみのある事項を取り上げている反面,4章以降はだんだん内容が発展していって面白い.

LaTeXを用いて組版処理を行ったことがひと目でわかる本.TeXやLaTeXといえば,10年ほど前には何を印刷するにも使っていたものだけれど,最近はすっかりOpenOffice.orgユーザーに転向してしまったので,懐かしい.Officeソフトの機能強化などからか,以前に比べてLaTeXを使用した印刷物を見受けなくなったのは気のせいだろうか.MathMLなどが出てきた昨今でも,形式的な美しさはともかくとして,見た目の美しさはいまでもTeXにかなうものはないと思うのだけれど.

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