みしっく今日のひとこと - 2009年8月


■2009/ 8/29(土)  一票の格差について思う.

選挙制度に関して,一票の格差が問題になる.

一票の格差は,法の下の平等(憲法14条で保障されている)という基本原則に反するので問題となる.このほど,財界人や弁護士らが発起人になって「一人一票実現国民会議」という市民団体が発足.私は財界人と利害を共通にするものではないが,この問題に関しては同じ立場で,同じ国民の間で投票の価値に差異があるというのは認めがたいと思う.比例代表と異なり,選挙区制をとる以上,微小な差異が発生するのはやむを得ないけれど,2倍を超える現状の格差は正当化が困難.

衆院選での一票の格差も問題だけれど,格差が5倍近くに達する参院選の方がより深刻.人口の少ない県を隣接県と合わせて一つの選挙区とすることも含め大胆な対策が必要ではないかと.

あるいは,国会での議決権は議員一人当たり1票だけれど,選挙区の人口とか,各候補者の獲得した票数に応じて,議員の議決権に差を付けたらどうだろうか.たとえば20万票を獲得して当選した議員は国会で20票を持ち,60万票を獲得して当選した議員は60票を持つというように.

複雑なので理解が難しいという欠点があるし,憲法の予定する制度でもないけれど,理論的にはそういう対応策もあるという.

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■2009/ 8/23(日)  ADSLの回線調整をしてもらった.

初めてADSLを使ったのはもう7年前になる.当時住んでいた場所では,6Mbps程度の下りリンク速度が確保できていて快適に使えていたものだった.

いま住んでいるところに引っ越してきてから2年ほどは,収容局からの距離があるせいか,リンク速度は低いけれど,ウェブ閲覧などには支障なく使えていたものだった.

ところがここ2週間ほど,数分に1回ADSLリンクダウンが発生するようになり,とてもまともに使える状況ではなくなってしまった.調べると,FEC(エラー訂正数)が送受信フレーム数より一桁多いぐらいなので,回線にノイズが乗っているのかと思って,重畳している固定電話の音質を調べてみたけれど,特に雑音は聞き取れない.

それで,ISPに電話したところ,回線調整をしてくれるということに.明日までに実施するという返事だったけれど,1時間程度で実施された模様.その後は安定的に接続できている.回線速度は,回線調整前は下り3Mbps余り,上り1Mbpsだったのが,回線調整後は下り2Mbps,上り384kbpsになった.

上りが遅くなったので,写真のような大きなファイルをアップロードするのはストレスがたまるかもしれないけれど,回線がぷつぷつ切れなくなったのでよしとしたい.

いままでADSLで特に不満なく過ごしてきたのだけれど,こういったことを経験してみると,光が使えるならそれにこしたことはないとも思う.フレッツ光のマンションタイプなんかは料金的にも悪くない.

そこで考えたのだけれど,首都圏に関していえば,大多数の人が集合住宅に暮らす.集合住宅では戸建てと違って,個別に回線を引き込むわけではないので,一社のケーブルだけが引き込まれている状況だと,住民がプロバイダを選択できず,サービス品質などのトラブルがあってもプロバイダの姿勢次第では解決できないといったことが懸念される.また将来のことを考えると光配線方式の方がいい.それで,共用部分に複数社のファイバを引き込み,同一場所に各住戸との間の光ケーブルを敷設しておき,住民からの申込みに応じて住戸向けケーブルとプロバイダのケーブルとを接続するという仕組みにするのがいいのではないかと思う.実例としては,ヴィルヌーブ南越谷というところがあるらしい.

ちなみに前住んでいたところは,あまり知名度のないプロバイダが一社独占でVDSL方式で光回線を提供.いま住んでいるところは,有名キャリア2社がやはりVDSL方式で提供している.

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■2009/ 8/20(火)  若い人の意見を聞いてもらうには.

森川友義『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? - 35歳くらいまでの政治リテラシー養成講座』(ディスカバー携書,2009年)を読んだ.

20代から30代前半くらいまでの人は,選挙に行かないせいで,自分たちの不利益になる政策が実行されてしまい,損をしていると著者はいい,だから,投票に行きましょうと呼びかけている.そうは言っても,「どの政党に投票してよいかわからない!」ということもあるのではないか.

こういった人に対するアドバイスが,ふるっていた.

いまの自分の暮らしに満足していれば与党,満足していなければ野党に投票するという方法も紹介されていたのだけれど,これは割と一般的.

著者のおもしろいのは,鉛筆を転がして決めるという方法や,国政選挙なら小選挙区と比例代表で別々の党に投票するとか,候補者の顔で選ぶ(!)という方法でもいいんだよ,と言っていること.

こういった方法だと,投票所に足を運んだ意味がないように思ってしまったけれど,違うらしい.それは,こういった投票方法だと選挙結果には影響を与えられなくても,年齢別投票率(抽出調査により把握されている模様)に影響を与えることができて,その結果,政治家たちが若者の声に耳を傾けることが期待できるというのだ.

そのほかにも,特別利益団体,これはアメリカ風の用語で,日本では主に「支持団体」とか「圧力団体」と呼ばれるのだけれど,選挙結果や政策の決定は多くこういった団体に左右されてしまうといったことなど,政治の仕組みを平易に解説している.

特別利益団体といえば,あまりよい例ではないかもしれないけれど,米国では,先月下旬から全米で燃費の悪い車を買い替える人へのキャッシュバックプログラムがスタートしている.CO2排出削減・化石燃料節約のためには,本当は,燃費の悪い車を廃車にしたらお金がもらえるという制度で必要十分なのに,新車に買い替えないともらえないというのが,一般国民よりも自動車業界を向いている点.困ったものだ.

ちなみにこの制度,日本語では「スクラップインセンティブ」などと呼ばれると思うけれど,英語では通称"Cash for Clunkers"と呼ばれているらしい.

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■2009/ 8/17(月)  auが安い.

携帯電話といえば,一昨年秋からの奨励金見直しにより,端末価格が相当高くなった.

そう思っていたのだけれど,最近見てみると,auの端末価格が相当安くなっていて,激安と呼ばれる販売店では旧型機種で販売価格を1円にする,いわゆる1円携帯が復活しており,基本料金の安いシンプルコースでも利用できることに気づいた.一方ドコモではそのような安売りは見当たらない.またウィルコムは割賦販売を中心としており,実質負担額はauより高いようだ.なおソフトバンクモバイルについては,サービス品質面に懸念があるので価格を調べていない.

基本料金や通信料が安くなってきたのは,それまで高止まりしていたという事情もあるし,孫さんが乗り込んできたということもあって納得がいくのだけれど,auだけ端末価格が安くなったのはなぜなのだろう.

報道によると,ドコモは新機種の端末が好評なので契約数が伸びているということだけれど,auの端末とどこが違うのか,よく調べてみる必要がありそうだ.

端末価格が安くなった原因はともかく,私は長年のウィルコムユーザーなのだけれど,一般の携帯電話が基本料金も含めこれほど安くなると,ウィルコムの利用を続ける合理性が次第に失われてきてしまう.いま使っている端末が故障したり,電池が消耗したりしたら,auなりドコモに乗り換えることになるのかもしれない.

機種選択では,ワンセグやカメラのような高級な機能はいらないから,通話とメールと,少しウェブ閲覧ができるぐらいの機能を備えていて,操作へのレスポンスがよくて,電池が長持ちして軽量で,多少防水性があればなおよい,ぐらいの考えでいるのだけれど,これがなかなか難しいものだ.

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■2009/ 8/16(日)  サハラハット.

夏場は,日差しが強くて体力を消耗してしまう.それで,首の後ろに日よけ布の付いたサハラハット(こんなの)を常用しているのだけれど,かつて某エスペランティストの集まりにかぶっていったら,センスをこっぴどく批判されてしまったこともあるし,概して評判がよくない.

確かに,周りを見渡しても,誰もかぶっている人がいない.ほめてくれるのは駅の近くの駐輪場のおじさんぐらい.農作業をする人はたぶん似たようなものを使っているのではないかと思うのだけれど.

紫外線大国オーストラリアでは,これを「リージョネア・ハット」(legionnaire hat)と呼んでいて,子ども向けなどさまざまなデザインのものが売られているらしい.日本でも,うまく流行らせたら結構売れるのではないかと.

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■2009/ 8/ 9(日)  発掘.

本棚に数冊大学ノートがあるのを見つけて,取り出してみたら,8年前のフランス語の授業のノートが入っていたので,思い出にひたってしまった.

大学の授業とは別に,近くの学校で毎週火曜と木曜の夜間に2時間余りの授業を受けていたのだった.ページをめくってみると,文法もさることながらとにかく語彙力を強化しようと努めていた形跡がうかがえる.essenceは「本質」という意味だけでなくて「ガソリン」という意味もあるよ,とか,さといもはcolocase,ステッカーはautocollant,映画監督はréalisateur,oursinは「うに」でoursonは「子熊」だとか,英語からの類推がきかない単語を拾っていたり.名詞に冠詞を付けるか付けないかという区別は,文法的には相当細かい場合分けがなされていて,それを身につけようともしていた.まだWikipediaがほぼ存在しない時代だったけれど,「奥様は魔女」はMa sorcière bien-aiméeとか,[enaʃka]「えなしゅか」という用語が時折会話の中に登場するので,半年ぐらいの間,何を指す単語かわからずにいたのだけれど,何のことはない,日本の放送局であるところの「NHK」のことだったりしたことを思い出す.

その後8年間,フランス語を勉強していないし,旅行で少々使うのみで,もちろん仕事で使うようなこともないので,能力は多少さび付いてしまったのかもしれない.ノートがいまよりずっとていねいな字で書かれているのは,精神的・時間的なゆとりの差を反映しているのだろうかと思うと,残念なところもある.

ページの合間に,フランス図書専門店欧明社のチラシがはさみ込まれていていた.当時私は京都に住んでいたので,この書店を実際に訪れたことはないのに,なぜチラシを取っていたのだろうと不思議に思いつつ,時間ができたら何か買いに行ってみようかと思った.

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■2009/ 8/ 8(土)  『少子社会日本』を読んだ.

山田昌弘『少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ』(岩波新書,2007年)を読んだ.

著者は著名な社会学者.少子高齢化問題は,マスコミで取り上げられることも多い大きな社会問題で,90年代以来政府が対策を進めるものの解決には至っていない.今回の衆院選の争点の一つともなっている.しかし,その原因については,政府の公式の報告書や,マスコミの記事では深く掘り下げられることが少なく,また誤った素人考えを持ってしまうこともある.この本は,豊富なデータを元に,少子化の原因と影響を解き明かし,少子化を反転させるための施策と,少子化の影響緩和策を提示している.

私は90年代後半の就職難を間近に見つつ学生生活を送り,2000年代を著者が主な調査対象とするところの若年者として生きてきた.それに,いまの私の周りにも,20年早く生まれていれば結婚して子どもも持っていたかもしれないのに,というような好青年?が多くいるので,著者の論には納得できるところが多い.格差問題というと,ワーキングプアとか貧困の問題がクローズアップされがちで,それはもちろん重要な問題だけれど,経済の構造転換が若者に不利な形で発生し,その影響が少子化にも現れているということは見落とせないと思った.

そういった状況の中で,政策的処方箋として,「仕事と家庭の両立の支援」はもちろん必要だけれど,それだけでは不十分だというのもうなずけるところ.著者は「格差社会に対応した男女共同参画を」「どんな経済状況の親の元に生まれても,一定水準の教育が受けられる保証を」など4つの施策を提言している.議論のあるところではあるけれど,現在行われている施策より積極的な政策的介入がなければ,20年後の日本は相当な困難に直面するのではないかと思う.

白川桃子と共著の『「婚活」時代』では,20代・30代の未婚者に向けた実践的なアドバイスを試みているので,併せて読むとさらに理解が深まりそう.

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