みしっく今日のひとこと - 2007年5月


■2007/ 5/14(月)  自分史といえば.

いまの私が昔話を執筆するとしたらどんなものになるだろう,と考えてみた.

昔話といえば,日経新聞の長期連載,「私の履歴書」が名高い.私の記憶が正しければ,1960年代にはすでに連載が始まっていた.現役を引退した人とか,職業人生の終点付近に到達した人を中心として,各界の著名人が名を連ねる.分野でいえば日本の財界人が多いけれど,文化人や日本にゆかりのある外国の政治家なども時折登場する.

「私の履歴書」に比べてもう少し大部の作品を著名人が書くと,自伝と呼ばれるわけだけれど,一般人の書く昔話は,世の中的には「自分史」などと呼ばれていて,団塊世代が退職時期にさしかかることで商業的にも注目されているようなのだけれど.

昔話は日常的に作成するものではないだけに,案外難しいものなのかもしれない.ついつい過去の出来事をあれもこれもと多数取り上げて発生順に羅列したあげくに,焦点が定まらない作品になってしまったりするのではないだろうか.

たとえば,1970年代〜80年代の電子交換機やディジタル交換機に関することを中心に,詳細にわたって書き込まれた自分史などを目にすることもあるのだけれど,当時の人たちの思考様式を知る上では興味深くても,通信装置は汎用の計算機とは相当異なる発展を遂げたといった事情があるので,書かれていることが直接仕事に役立つ人はごく限られていそうだ.たった20年前の物語を読んでも,世代の断絶というべきものを感じる.

むしろ,過去の歩みのうちで,現在につながっている一つの側面に光を当て,その分野を中心に,自分が周辺に影響を及ぼすことができた出来事をつづっていくとともに,自分の人格形成に大きな役割を果たした出来事に触れていくというのがよいように思われる.説教じみてしまって読み手に受け入れてもらえないことのないよう,力の入れ方を加減しつつ.

それから,いったん自分史を作成しても,執筆者の生活状況や社会の情勢が絶えず変化していくことを考えると,5年ないし10年単位で自分史を書き直したくなるものなのだろうと思った.

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■2007/ 5/ 2(水)  遅れ皆勤賞…混雑料金制の提案

東急線では1月末以降,平日月曜日〜金曜日は毎朝,5分以上の遅れが発生していたと,mixi のとあるコミュニティで調査報告があった.そのほとんどの日に田園都市線が遅れていたことは,私の経験上確かだ.

そんな中,昨日は久しぶりに定時運行を達成したことに気づく.今日も田園都市線は定時運行していた模様.連休の中日で乗客数が減ったことでようやく定時運行を達成したわけだけれど,次に定時の運転が可能となるのは,お盆ごろだろうか.

混雑解消のためインフラ投資をしたくても,土地取得・工事が難しいためほとんど輸送容量の増強は望めない(地下区間は首都高の基礎と一体となって構築されているのだという)し,沿線人口は2025年ごろまで増加が見込まれていて,積極的な人口抑制策をとることは難しく,仮に可能であるとしても副作用が大きい.

そう考えると,交通経済学や環境経済学の立場からは,やはり混雑時間帯・混雑区間とその他との間で運賃に差を設けるという混雑料金制を導入するほかないように思われる.

導入に向けての合意形成は簡単ではないかもしれないけれど,ロンドンでは市内中心部の渋滞を緩和するため流入車両に対して課金するというロードプライシングを導入して成功したという実績があるし,ニューヨークでも同様の制度の導入機運が高まっているようだ.鉄道の分野でもこの種の仕組みの導入を検討することが望まれる.

ところで,オークション理論を築いた経済学者,William Vickrey がこの分野でも先駆的な分析を行って "Congestion Theory and Transport Investment" という論文を著していることを知る.機会があれば目を通してみたいところ.

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