みしっく今日のひとこと - 2000年11月


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★ひとこと目次 ◎ほーむ


■2000/11/30(木)

月末だからではないけれど,今日はちょっとブルー. でも,「ちょっとブルーなので, 服もブルー系で決めてきました」と研究室で言えるくらいなのは, それほどブルーでもないからなのだけれど.

コピーしてスキャナで取り込んだ図を MS Word の文書に入れるため,Adobe Photoshop を使って微妙に回転させたり,解像度を下げたり. 昔はレジュメといえばいつもコピー機とはさみとのりを使って, 手書きでキャプションを入れたりしていたものだけれど, 全部電子的にできてしまうと,いろいろいいことがありそうだ.ここにも IT 革命(笑)の波が,ひたひたと.

今日の研究室での会話:

「私は 98 ユーザーであったことは過去一度もないのです. シャープユーザーだったので」
「ふむふむ.ところで私は最近,ついに Windows ユーザーになってしまいました」
「もう人として終わりって感じだね(笑)」
世界中の Windows ユーザーから反感を買ってしまいそうだけれど.

高野の NTT 営業所の南にイズミヤのカナート洛北店という大型店がオープンしていたので, さっそく入ってみた.大型店だけあって,食料品売場にはマイナーな食材までそろえてあって, 好感が持てる.ワインも幅広い価格帯のものがあって豊富だ.反面, 和洋菓子は少ない.

寒くなったので,今日はかす汁を作ろうと生鮭などを買い求めた. 酒かすのパックを開けて気がついた.うちにはミキサーがないということに. 小鍋に入れてスプーンでつぶし,裏ごししたのだけれど,廃棄率は 50 % 以上になった.もったいないことをしてしまった.


■2000/11/29(水)

朝,ノート PC をナップザックに入れ,GPS 受信機を片手にして大文字山へ. 8時すぎなのに,行きかう人の数は多い.西側斜面をいったん火床上部まで登ってから, 「大」の字をたどるようにして火床を下りてゆくと,そこここにもう霜がおりていた. 冬ですね.

今日もまた,仕事をさくさくさく.例によって研究とは直接関係ない仕事が多い. という状況は,博士後期課程の人とかも同じようなものらしい. ともかく,授業には戦略的に出席していく必要がありそうだ.

いつのまにか研究室に日本語 Windows 2000 が登場.頼まれて設定してみると, Windows 98 と違って,ネットワークインターフェイスの IP アドレスなどの設定を変更しても再起動する必要がないのが気に入った. 反面,起動には時間がかかるのだけれど.


■2000/11/28(火)

昨日のひとことで紹介した URL にある,たんぽぽの歌を聴いてみたのだけれど, 私の記憶の中のこの歌よりなんだかずいぶん明るく元気すぎる感じがして, ちょっと予想外だった.それでも,メロディーと歌詞をおぼえるのには役立ちそうだ.

私の通っていた小学校には,歌集というものがあった.NHK の「みんなのうた」とはたぶん関係がないけれど, なぜか同じ「みんなのうた」とかいう題名がついていたように思う. でも,だれもその題名では呼ばず,単に「歌集」と呼びならわしていた. たんぽぽの歌は載っていなかったけれど,「大きな栗の木の下で」,「カチューシャ」から,「青い空はポケットさ」,Fortran の歌(という名前ではないが)まで, 楽譜と歌詞が載っていて.表見返しだけは小学校独自ページのようで, 校歌などが載っていた.楽譜を読んでいるとなんかその曲がわかったような気になって楽しかったのだけれど, どっかに行っちゃって,いまはない. 譜面をおぼえてしまうほど読んだわけでもないし.


■2000/11/27(月)

昨日は,午前中は Adobe Illustrator でお絵描きの時間.午後は Unicafe.18時の閉店後は,片づけをして,お疲れさま会.

お疲れさま会には20人を越えるたくさんの人が参加した. 余りもののムルギカリー(炒めたまねぎをベースにしたカレー),生春巻, チキンビリヤニ(鶏とカルダモンの炊き込みご飯)があったほか, ヤムウンセンや寄せ鍋を作った. ヤムウンセンというのは春雨を主体としたサラダで,今年は登場しなかったメニュー. すごくおいしかったし,懐かしかった.寄せ鍋も, おいしいものばかりをたくさん煮たので,好評だった. それぞれの自己紹介・振り返りを聞いていると,この人は幸せそうだ, この人は苦しみながら生きているようだ,この人は自分の言葉で語れているけれど, この人はまだまだだ,など,個性がかいま見えてくる. 私はやはり他人に漠っとした気持ちを伝えるのは苦手なようで, 少々緊張もしてしまった.

お疲れさま会では,経済学部の友人と密度の濃い話をしたのが印象的.「タイでパクムーンダムというダムの建設が日本の ODA によって行われていて,それによって農民の生活が破壊されているという話は,今回の Unisalon で初めて知った.ODA は国民の税金によって支えられているので, その有効活用が必要だという点,南北問題の他の分野に比べて一般市民の関心を呼びやすいのでは」 「でも,(農民を犠牲にしてダムとか作るのも)資本の本源的蓄積として必要なことかも」 「19世紀とは社会状況が異なり,とりわけ人権・平和といった諸価値が重要とされる時代には, 発展の過程も異なるのではないか」 「それはそうとして,100 年とかいう大きなスケールで考えると, 小国寡民(望ましい国のあり方として老子が提唱したもの)が理想だよ」 「理想かもしれない.でもそれは 2,000 年前とは異なり世界に開かれたものとなるのだろうね」 などなどと.あと,たんぽぽの歌を知っている人に出会えたのもすごくよかった. 「切手のない贈り物」同様,この歌は私の好きな歌なのだ.

4日間,いろいろなことがあったけれど,すばらしい時間をゆにせふのみなさんとともに過ごすことができて, 幸せだった.また来年も参加したい,と思った.

経済学者 Vickrey はオークションよりはむしろ租税論で業績が大きいらしい.

昨日は話し込んでしまって,寝たのは夜中の1時.起きたのは10時すぎ. 学校で用事をこなして早めに帰った.

今日の四字熟語: 「撥乱反正」.公羊伝に「撥乱世,反諸正」とあるらしい.


■2000/11/25(土)

今日の Unicafe では洗いものをしたり,ラッシーを作ったり, コーヒーをいれたり.昼食はグリーンカレーとバインダナム. バインダナムはおはぎに似ていて,なんだかほっとする味.

Unicafe 来場者の関係で,電動車いすというものをかついだ. 普通の車いすに比べて格段に重いものだとわかった.

午後は学園祭を観覧.回ったのは,考古学研,野研,マイコンクラブ,落研, その他.模擬店のチヂミ屋さんののぼりのハングルがとても変だったので, 思わず指摘してしまった.本当は「ちゃむましっそよ」(おいしいです!)と書きたかったようだが, しおっの書き方が「人」でなくて「入」になっていたり.それから, 学園祭の環境対策委員会のスタッフをやっている知り合いに途中で会った. あいさつして通り過ぎようとしたら,「発酵と腐敗ってどう違うんですか」と聞かれてしまった. なんでも生ごみ堆肥化に関連しての疑問らしい.「そんなこと聞かれても……. そんなこと授業で習ってないし.どちらも微生物の作用のことをいうわけだけど, 人間に役立つのが発酵でそうでないのが腐敗なんじゃない?」と答えておいたけれど, 説得力がないなあ,と自分でも思った.「生成される物質の種類も違うのかもね」とフォローが入って, 「そうそう」と応じておいたものの,具体例が出せないのが弱い.

このところエスニックな食事が続いている中で,今日の夕食は久しぶりに自炊. スンドゥブチゲを作った.

思うところあって,今年度残りの生活目標を「予測可能な人になる」というものにした. 日ごろ私の周りにいるみなさん,会話やリアルタイムのコミュニケーションの中で, もし私が標準と違った動作をしたら,指摘してやってください. どんな細かいことであっても.私が昼間に「おはよう」と言うのは, 非標準だとわかってやっているので指摘する必要はないのだけれど. 私は「いまここで何をなすべきか」という問いへの答えを絶えず求めているのです.


■2000/11/24(金)

昨日は18時から22時まで,T 邸でカオトォウ(タイ風揚げ五平餅. バイマックルートというライム風味の葉っぱが隠し味に入っている.Google でヒットしない単語……)を20人前作った.T 邸はワンルームマンションなので, うちより狭くて家賃が高いのだけれど,知人からもらったという絵が掛けてあったりしていい雰囲気. うちは壁にプネ(韓国の仮面劇で使うお面)と沖電気のカレンダーがかかっているばかりで, 殺風景なのは否めないところだ.もっとも,うちには背表紙が壁紙としても機能する本や雑誌がたくさんあるので, その点は補えるのかもしれない.ODA 問題,フェアトレードの意義や方向性などについて語りもしつつ, せっせとカオトォウの材料を混ぜてこねて揚げた.

朝,いつもどおり目がさめると,10時だった.12時間近く眠っていたことになる. 昨日せっせと働いて疲れたからだろう.山歩きのときは,疲れない程度しか歩かない私だけれど, 昨日は久しぶりだったのでセーブが効かなかったのかも.

午後は大文字山で GPS を使って演習.夜は Unicafe でトムヤムガイを作った.ナンプラーを入れるのを危うく忘れてしまうところだった点を除けば, 順調にできた.ほかのスタッフがスジカーハルワーというデザートを作っていて, 味見させてもらったのだけれど,これはすごいものだった. バターでセモリナ粉と砂糖を炒めたものなので,すごく体に悪そう. 「シチューとかを作るときに作るルーを甘くしたものなんだね」というのが感想. 私は甘いものならバインダナム(もち米とココナッツミルクからなる)の方が好きだ. まだ実際に食べてみたわけではないのだけれど,レシピを見るかぎりけっこうおいしそう.


■2000/11/23(木)

いよいよ本祭.朝から晩まで,Unicafe で調理を担当. 今日の私は昼シフト,つまり昼間のお客さんが来る時間帯のシフトに入っていて, オーダードリブンで次々と仕事をしていった.さわやかな飲み物ラッシーやデザート, 生春巻など,主に冷たい系の担当を自然と分担するようになった. 開始から1時間ぐらいはまだ道具を探したりとか, みんな手間取っていたりするのだけれど, 昼下がりの忙しい時間帯にはどんどん体が動くようになっていくのがわかる. ナンプラー,カルダモン,レモングラスなど, うちではふだん使わない食材を存分に使えるのもうれしい.

同じぐらいの規模の普通の飲食店に比べてスタッフが多いのに忙しく感じるのは, たぶん客の回転率が高いからなのだろう.あるスタッフは「昼は忙しいでしょ. だから今年は昼は Unisalon で,Unicafe の方は夜にやることにした.その方がマイペースで仕事ができる」と話していた.Unisalon というのは,活動紹介など普通のサークルみたいな展示をしている場所で, フェアトレード関連商品の即売もしている.ゆったり・ほのぼのしていて, フィリピンはネグロス島のこととか,いろいろ話が聞けて, こちらもけっこういい雰囲気.去年は常石造船フィリピン廃船問題のことなど発表してたんだっけ.

ところで今年の Unicafe 入り口のポスターは,例年に比べても出色のできばえだ. 新人 U くんが担当したらしい.「彼は頭の中にベジェ曲線の式が入ってるにちがいない. こんなに大きなポスターをフリーハンドで描きこなすということは」という声もある.

この Unicafe,価格設定には不思議な点もある. ラッシーやバナナラッシーは150円なのだけれど,バター茶とチャイはわずか50円. 確かにラッシー系の方がお茶系より材料費だけをみればよけいにかかってはいるのだけれど, 手間はお茶系の方がはるかにかかっているのだ. 労働コストを度外視した価格設定になっているということか.


■2000/11/22(水)

学内はいよいよお祭りモードに.実は単位貧乏になってしまったことに気づき, 後期はハングリーに単位を取っていくことにした. 手始めに萩谷さんの『ソフトウェア科学のための論理学』を借りてきて,読む. 著者は方々で読みやすくて豊かな日本語の文章を書いている. この分野の研究者としては珍しいことだ.特に随筆が秀逸. この本でもまえがきなどはそういう著者の個性が発揮されていて楽しい.

昼,経済学部近くでみうぞうさんらしき人を見かけた. 本人かどうか見分ける間もなく視界の端から消えていってしまったのだけれど, 多少早足で剽々と歩いていく姿が印象的だった.

ふたこま授業があるはずだったが,どちらもどうやら休講になったようだ. 研究室で多少肩身を狭くしつつ授業やその他の雑用をこなす.

今日は中国語のウェブページをキャプチャするため,中国語 Windows 2000 を立ち上げた.「すくりん」というキャプチャプログラムをインストールして使ったのだけれど, メニューの項目名が日本語なので全部化けてしまって,作業は全部手探り. さらに,結局中国のサイトに接続しにいく必要があって, またこれが遠いのなんのって.数十秒待っても表示されず, 向こうのサーバが反応してないんだろうと思い始めたちょうどそのときにやっと表示が始まったり. RTT が1秒を越えるという,けっこうお寒い状況なのだ.

昨夜12時間ほど熟睡したおかげか,今日はまずまずの体調.GPS を使う演習とかの用事で結局遅くなって, もちろん前夜祭には参加せずに20時すぎに帰宅.ところが, 炊飯器の予約の「午前」と「午後」を間違えていて,ご飯が炊けていなかった. しばらくしみじみと悲しんで,やっぱりご飯を炊くことにした.

私に利害関係のある U さんから下心ありありの贈り物が届けられた. 突き返そうかと一瞬考えつつ,間に立っている人に悪いような気がしたので受け取っておいた. わいろを受け取る人の心境が理解できた気がした. 残念ながら私は気持ちのこもっていない贈り物には心を動かされないたちなので, 贈り物の方はきちんと有効活用させてもらうことにしつつ,「それはそれ, これはこれ」と,この人に接する態度を変えることはなさそう.U さんのもくろみははずれたというわけだ.

蛇足ながら,日本語にはこういうとき贈る側はどう言うか, 受け取る側はどう言うかという「とっさのひとこと」のようなものがあるわけだけれど, 友人同士以外で贈り物を受け取るという機会にも恵まれないし, そういう贈り物をしているところを目にすることもないせいか, とっさにうまく口に出すことができなかった. 後から思えば「それはどうもごていねいにありがとうございます」などと言えば, ふさわしいのだと思う.今度同じようなシチュエーションがあったらきちんと言えるようにしておこう. 本当はこういうのは高校までの国語教育できちんと教えてほしいものだ. シチュエーション別に役割練習などできちんと練習させれば,後々役に立つのでは.


■2000/11/21(火)

まだ暗いうちに家を出て,羽束師の運転免許試験場へ.試験場のバスの中で隣になった人は, 免許の更新がめんどうで3年ほど放っておいて失効させてしまったので, 新しく免許を取るため,学科と技能の両方を受けに行くらしい. そういう人もいるのだなあ,と思った.9時ごろ受付をすませ, 学科試験を受けた.試験場の係員は横柄なんだろうかと思ったけれど, 大学の事務官よりずっとましだった.受験者は若い人ばかりかと思ったけれど, 中年の人もいた.試験の結果は無事合格で, 写真を撮った後はブリア‐サヴァラン著『美味礼賛』を読みつつ, 彼は率直でいいなあ,でも私はそこまで享楽的にはなれない,などと考えつつ, 時間をつぶし,13時40分には免許証を受け取ることができた. 教習所に入ってからこれまでの道のりの長かったこと……. 写真も納得の行く仕上がりになっていたし(えり元のボールペンはちゃんとはずして撮った), ひとまず,ほっ.初心運転者期間制度(免許を取ってから1年間は車をなるべく運転しない方がいいという立法者のありがたい配慮による制度(笑))というのもあることだし, 免許証は大事にしまっておこう.

意外に早く手続きがすんだので,学校へ.GPS を使った VB のプログラムをグループで作っているのだけれど,私がした修正と, 別の人がした修正とを,マージしなければいけないことになった.こういうとき UNIX なら CVS があるのだけれど,VB では(VSS を使えばできるのかもしれないけれど,少なくとも今回は VSS を使っていないので)自動ではマージができないらしい. 目でソースを比較して修正を統合していった.

建物の外に出て,テスト.この時間は天頂付近に衛星がたくさん存在して, テストしやすかった.そうこうするうちに,知り合いの M さんが通りがかった.ずいぶん昔からの知り合いで, その持ち前の明るさと暖かさは私にとって快いだけでなくそれから学ぶところが多いという人なのだけれど, いまはこうして確率的な出会いとともにひとときの会話を楽しむくらいの相手(ごめん, 文章が複雑で).そういう知人がたくさんいるのは幸せなことかもしれない. さっそく「空のあのへんに衛星がいて,それでそれをこの装置で捕まえて, 自分のいる位置が計算されて,このパソコンにこう表示されるんだ. カーナビみたいに」と説明・デモした. 自分のやっていることをわかりやすく説明・デモできるというのは幸せなことだ. 研究でもそうだとよいのだけれど.

どうも最近,冷え込みのせいか,体の調子が悪くて,早めにバスで帰ることにした. 考えてみると,今日は地下鉄に2回,バスに4回も乗ったから, 京都市交通局の売上にかつてなく貢献してしまったことになるのか.


■2000/11/20(月)

FreeBSD にはカーネルセキュアレベルというものがある.他の *BSD についてはよくわからない.カーネルセキュアレベルが高いと,root といえども一定のことを実行することができなくなる. たとえばカーネルクロックを1秒以上進めたり遅らせたりすることができない. 最近の FreeBSD 4.x-RELEASE ではインストールするだけでカーネルセキュアレベルを高めに設定することができるが, マシンによってはクロックが1日に数秒狂うことがあり,1日に1回 ntpdate してもクロックが修正できないのではないかと懸念された.観察すると, カーネルクロックを1秒以上変更しようとすると syslog にエラーが出力されるものの,変更幅が1秒に切り詰められるだけなので,複数回 ntpdate を実行することによりクロックを正しい時刻に合わせることが可能になることがわかった. もっとも,常時接続環境では起動時のみ ntpdate を利用し,その後は ntpd を使って連続的に時刻を修正するのがよさそうだ.

日本だと信用組合というのは職域・地域に存在するものだけれど, 韓国ではキリスト教の教会に信用協同組合があるらしい. 農村とかにあるセマウル金庫というのは知っていたのだけれど.


■2000/11/19(日)

自分の力ではどうにもなりそうになくて,どうすることもできない間にものごとが悪い方向へ進んでいってしまうことも多いけれど, 自分では何もしていないつもりでも,ふと気づくとものごとがどんどんいい方向へと進んでいくということもあるのですね. ということで最近調子がよいみしっく,なのです.

ゆにせふの名簿を入手.知っている人の顔を思い浮かべながら, 知らない人のことを想像しながら,1ページ1ページとていねいに読んでいくのは楽しい. 中身を全部おぼえておくことができないのは残念だけれど.

このサークルの名簿は,B5 1ページのスペースに知ってほしいことを思い思いにデザインして書いてあって, それぞれのデザインセンスもかいま見えるのがまたよい. あえて(笑)声に出して読んでみると音の響きが美しい文章が載っていたり. いままでビラとかを頼まれると「1枚ものはいや.LaTeX がいいの!」とかいって逃げ回っていた私だけれど, こうしてみるとデザインというのも人に訴えかけるものとして大切なものだな, と考えを改めた.

万葉集のみそひともじを集めて,名前・住所・電話番号・誕生日・所属をよみ込んだページなどは, アイディアに感心.「みしっく」で例を示せば次のとおり.

よしののたかきのやまにしらくもはゆきはばかりてたなびけりみゆ
ひきのやまのしづくにいもまつとわれたちぬれぬやまのしづくに
おきなみきよるありそをしきたへのまくらとまきてなせるきみかも
わすれさわがひもにつくかぐやまのふりにしさとをわすれむがため

以前ゆにせふの知人が「私はひとに下の名前で呼んでもらえると,その人と以前の .6 倍ぐらいの距離まで近づけるような気がします」と書いていたことがあった. 私も同感だ.回生が上がると下の名前で呼んでもらいにくくなるのが一般的な中で, 私はニックネームがあるので大丈夫.人によって「みし」「ミシ」「みしみし」など, 略し方が微妙に違ったりするのも趣がある.一方で, 安直に欧米風の名前を名のってみたり, 本名の下の名前を欧米人が呼びやすいように略して名のるのは,かなり抵抗がある. 自らの民族性を否定(笑)してしまうことにつながるからではないとしても.


■2000/11/18(土)

芦生旅行記(鋭意執筆中)に地形図をいっしょに載せようと,25,000分の1地形図をスキャナで読み込んで Adobe Photoshop で試行錯誤してみたものの,等高線が細かすぎて, ファイルサイズが小さくならないし,画像の大きさもウェブで公開するには大きすぎるため, 断念.紙よりモニタの方が解像度が小さい上に, 地形図というのはモニタよりずっと縦横が大きいのだから,考えてみれば当然の話だ. 50,000分の1地形図を買ってこよう.

今日は初めて Microsoft Visual Basic (VB) でプログラミングした.さすがに行番号はないけれど,Open 文の奇妙な構文,If 文に Goto 節が使えること,print 文では複数の変数などを出力したいときはカンマではなくセミコロンで区切る,など, 古きよき MS-BASIC(N-88 BASIC とかのこと)を思い出させる特徴についつい懐かしくなってしまう. もちろん本当はこの言語のそういう特徴はどれもプログラマの頭痛の種でしかないのだけれど. 参考書首っ引きでコーディングしていくと,慣れない言語なので, どうもエラーの処理を忘れているような気がしたり, 美しい書き方がわからなかったりと,苦労することもある.

VB で書いた(書き足した)のは,演習の GPS 関連のプログラム.書いたのはせいぜい10行か20行だけれど, バグを減らして機能を増やすことができたので, 充実感のある一日になった.


■2000/11/17(金)

授業の予習のため,附属図書館地下の書庫に潜った. 地下2階の雑誌がたくさん置いてある場所は,電動集密書架になっている. それでいつもはボタンひとつで書架を動かせるのだけれど, 今日行ってみたら,故障していて動かなくなっていた.掲示を読むと, 近くに置いてある金属性の大きな L 字型をした棒を書架の下に差し込み, それを回せば動かせるらしい.さっそくやってみた.棒はダンベルより重く, それが輪軸のはたらきをするので,いっぱいに雑誌が詰まった書架でもゆっくりと動かすことができる. 目指す書架の間を開けられたら,次は懐中電灯を持って書架をブラウズし, ようやく目指す資料にたどりついた.

某ゆにせふ(≠ゆねすこ)へ.ゆにせふとは,「発展途上国の人々と私たちの関係を考え, 身近なところから活動することを目的とする学生グループ」らしい.昨年同様, 学園祭でこのサークルが開催するエスニック料理店「Unicafe」を手伝うことになった. 今年は新しいメニューも加わっていて,楽しみなのである. 今日はそのスタッフマニュアル読み合わせなどの集まり. 新しく買った大きな丸いケーキ型でりんごのケーキを焼いて持っていったところ, すごく喜ばれてしまった.薄く薄く切り分けて, 20人ほどの参加者にどうにか行き渡らせることができた. 知人が持ってきたマスコバド糖(砂糖の一種)などを使ったプディングも, やさしい味でおいしかった.

Unicafe は早朝9時ごろから未明まで,スタッフが入れ替わり立ち替わりしつつ働き続け, 昼から夜までひっきりなしに訪れる客に料理を提供するという, 規模の大きなイベント.食材の準備から設営,調理,ホール,後片づけまで, 決めてうまくやらないといけないことがけっこうたくさんある. それに費やす労力も大きなものがある.技術的・肉体的に働くだけでなく, 政治的にもけっこうたいへんなことも多いはずで, ゆにせふの人たちは本当によくがんばっていると思う. 人はなぜこのような(一部の)サークルに集まってよく働くのだろう, というのは大きな関心事だ.

ということで,今年もお友だちといっしょにグリーンカレー食べにきてくださいねっ >all


■2000/11/16(木)

今日もそれなりに仕事がはかどった日.

奥様は韓国人がおもしろい.韓国人である奥さんへの愛情が辛口につづってある. 筆者は相当の韓国通.「講の集まり」(ケーモイム)の話も.


■2000/11/15(水)

上高森遺跡の旧石器時代石器発見ねつ造事件は, 毎日新聞が現場をビデオカメラで撮影,スクープしたものなので, その後しばらく置いて同紙で検証連載記事がスタートするだろうと思い, チェックしていたところ,見込みどおり昨日付朝刊から連載がスタートした. 昨日は見開きの「識者座談会」(≠「記者座談会」)も掲載され,盛りだくさん. 今後の連載も興味深い.なお内容はインターネットでも公開されている.

アクセスカウンタが 11,000 を突破.最近はアクセスログを読んでいるといろいろわかっておもしろい. まじめに調べものをしようとしている人にとって日記系サイトは困りものかもしれない. 反面,ある用語・ものごとについて世の中の人がどう感じ考えているのかということを知りたい人にとっては, 日記はたぶん宝の山だ.実際,昨日エプソンのロカティオ (Locatio) という GPS 付き PDA について調べていたところ, 検索エンジンを活用するとメーカー公式サイトからはわからない欠点なども知ることができ,ためになった.

今日は一日中雨だったけれど,釣り用長靴をはいて学校に行ったので, 外出もおっくうでなかった.まどいに歩いていって,昼食をとった. 今日食べたのは今月のおすすめの「仔牛のパプリカ煮」. まどいはメニューによって当たりはずれがあるのも事実だけれど, これはおいしかった.パプリカを入れたクリームソースで仔牛を軽く煮込んであって, 付け合わせの野菜も火加減がちょうどよくて.


■2000/11/14(火)

朝方に ftp://rsd.gsfc.nasa.gov/pub/ 以下から取ってきたひまわりの画像を見ると, 東アジアから東南アジアにかけての地域にかかった雲が, 東の方から照らされて,影ができて,美しい.

久しぶりにテキストベースブラウザの Lynx を使ってみた.見てみたのはみしっくのホームページ. アクセスログを調べても,「Lynx」と表示されない.なぜだろう,Lynx は古いブラウザだからかなと思ったけれど,もっと単純な理由があることが判明. テキストベースブラウザではインラインイメージを表示しないのだから, りかりかスクリプトでログに残るわけがない,ということ.

昼,生協の食堂でライス M,キムチチゲ,肉味噌豆腐 M,プリンというカロリーの高い昼食を食べていたところ, 隣に座っていた人々が20分ほど延々と英語で, 群論とか難しい数学の話をしていた.実に楽しそうに話していたのだけれど, 私にはわけわからなかった.


■2000/11/13(月)

後期は授業をあまり取っていないし, 特に教習所通いが終わってからのここ2週間ほどはけっこうゆとりがあったのだけれど, 研究会での発表を控え,いよいよ研究の方が忙しくなってきた. こういうことになるとたいして働かない頭をひねってアイディアを出すしかない.

最近は授業の関係などで建設省国土地理院をよく訪れる.いながらにして地図を見て楽しむことができる. 古い地図や資料の閲覧やその他手続きの案内が充実しているし, キッズコーナーも楽しい.


■2000/11/12(日)

Dans toutes les professions sans doute, mais en cuisine certainement, on est a l'ecole toute sa vie.
Fernand Point

訳: どんな職業でもそうだと思うけれど,料理の世界でははっきりといえる. 勉強することがなくなるなんてことは一生ないんだと.

Fernand Point はレストラン「ピラミッド」の料理長として有名だった人. 日々精進するとともに部下を叱咤激励している姿が目に浮かぶ. ところで,引用文中のアクサンとかが落ちてしまっているのはフランス語を勉強している人には困りものかも. 残念だけれど,主要なブラウザに対応しようとするならゆにこーどにするしかないのが現状だ.

ここ 2, 3 日,風邪気味.あまり無理をしないことにしてのんびり過ごしている. 事情があって,Adobe Illustrator 9.0J を使うことに.美術の授業が苦手だった私はお絵描きソフトも昔から苦手だったのだが, これもいい機会だと思って挑戦してみた. 描くイラストには高度な対称性が存在するとあって,「リフレクト」だとか「整列」だとかいろいろな機能を使ってはみるが, なかなかはかどらない.文章を要約するとか翻訳するとかなら何十ページでも朝飯前なのに, 1ページにも満たないイラストでこうも苦しむとは.

かぶら菜と薄揚げの煮物を作りつつ,これって好き嫌い分かれそうな食べ物だなあと思った. 私も子どものころはかぶら菜はほろ苦さが苦手だったものだ.

日記リンクを追加.


■2000/11/11(土)

財団法人国際高等研究所で開かれた, 日本学術振興会 未来開拓学術研究推進事業 電子社会システム研究推進委員会 主催の,電子社会システム研究推進シンポジウム「電子社会における知的財産」を聞きにいった.

長尾 眞氏は,電子図書館を推進されているだけに, 利用者の立場をも考え,人類の知的遺産を有効に活用するという方向で議論すべきという見地に立ち, 著作権制度に対してはラディカルな立場の基調講演をされた. その後,競争政策と知的財産権,学術情報の著作権,経済学と知的財産権, 電子社会における著作権をめぐる議論のサーベイという四つのテーマの報告があった後, 加藤尚武氏の司会でパネルディスカッション.報告は,どの参加者も知的財産権制度周辺の話題について, 法解釈と立法論をバランスよく取り交ぜて,それでいてきちんと両者を区別した議論をされていて, レベルの高いものになっていた.しばしば世の中には「著作権原理主義者」とでもいうべき, バランス感覚のない人々が見受けられるのだけれど, この場ではさすがにそういうことはなかった.私の観察では, 法律学の素養がなくて,経済学の素養があって, 知的財産法をかじったことのある人が,著作権原理主義者になりがちなようだ.

「いままで,電力や電話など経済に大きな影響を与える独占があれば, それぞれ事業法で必要な規制が行われたので,独占禁止法が対応する必要はなかった. したがって,価格協定や再販といったバーチャル独占が重点的に議論され, 本物の独占に関する議論はいわば棚上げされていた. 『独禁法は独占が苦手』というわけだ」という白石忠志氏の指摘は興味深いと思った. 個別の事業法を制定していくことで知的財産権保護のマイナス面に対応するという方向がもしかしたら可能なのかもしれない.

「学術情報はそもそも商業的著作物とは性質が違って「反市場的」なものだったので, 主として慣行によって,著作者の保護というよりはむしろ情報の共有を目指した制度が作られてきた. その制度がむしろ学術情報で衰退する一方でオープンソースソフトウェアなどに受け継がれてきた」という名和小太郎氏の指摘は重要だと感じた.

学術情報(学術論文のことをなぜかこういう)については, 確かに大学で取り上げられる機会は多いし, 寡占化による弊害が現れていることは事実だけれど, 市場規模が他の著作物に比べてたかが知れているので, 議論を学術情報に集中させるのは私にはバランスを欠いたことのように思える. ただし,学術情報でいま急速に広がっている電子化がやがては音楽やエンターテイメント小説, マンガといった一般の著作物にも広がることを考えれば, 電子化先行事例として議論するのは必要かもしれない.でも, 学術情報とまったく同じ寡占化が発生するとは思わないけれど.

知的財産権で保護されるものの性質は千差万別で, それぞれの利用のされかたや市場の性質なども異なるから, 今後は知的財産権・著作権として一くくりにして議論するよりは, むしろ個別の知的財産ごと・個別のビジネスごとに保護や規制の強さ・保護や規制のしかたに違いをもたせるのが適切なのではないか, というのが感想.

パネルディスカッションは司会者が話の流れをよく理解していなかったためか, 議論が深まらなかったのが残念だった.

京阪奈は遠いというイメージがあったが, 学校から国際高等研までドアツードアで2時間ほどと,それほどでもなかった. 広河原とか芦生とかと比べると,周りに山がなくて真っ平らなので, 空が広々していた.たぶん昔はお米がたくさんとれたんだろうなと. でもバブルがはじけたいまでは,ただのものさびしい一帯になってしまっている.


■2000/11/10(金)

別の研究室の知り合いから,「生物環境情報論のいままでのレポートが欲しい」と頼まれた. もう締切は過ぎているのに,どうするのだろう. 別に悪用されるかもと心配しているわけではないのだけれど, ちょっと当惑.でも受けるよりは与える方が幸いともいうし,頼みに応じてみた.

中国語の簡体字はめんどくさい.でももっとめんどくさいのは, 漢字コードの違い.UTF-8(Unicode の文字コードの一つ)で書いて base64 符号化して送られてきたメールを読むのはけっこう骨だ.Mew & Mule でも Unicode がほどほどに使えればよいのだけれど.


■2000/11/ 9(木)

生物圏情報学講座担当の演習の説明会.フィールドでは位置の測定というのがけっこう大変だ, ということで,GPS を使ってみましょう,という演習.さっそく GPS 受信機の貸し出しを受けて,屋外で位置測定をしてみた.現在位置はもちろん, いま私たちの上のどの辺に GPS 衛星がいるのか,どの衛星からの電波が(建物に遮られずに)受信できているのか, などのデータが受信機の画面に表示されつつ,受信機のシリアルポートからは 4800bps で延々と位置・時刻などの情報が送信されてきて,たいへん興味をそそられた.

私たちの班は,さくっとプログラムを書いて,GPS 受信機とノート PC を持って,大文字山に3回登ることになった.大文字山に登るのも久しぶりだし, 「大」の字を歩いてたどれば画面上に「大」の字の軌跡が表示されることになって, それも楽しみだ.

研究室の研究会があった.ん?,と思う点もいくつかあったけれど, 4回生も含め,みなさんなかなか聞きごたえのある発表. それに比べて私は全然さぼってしまっているなあ, と.「友がみなわれより偉く見ゆる日よ」という感じ.

某から,ダンスパーティー(!)に誘われてしまった. 中国やベトナムの人はダンスをよくするそうだし, 日本人でも人によってはダンスをするのだろうけれど,私はあいにく縁がない. むしろスキーの方がずっと得意.そういえばスウェーデンではダンスパーティーとかよくやっているのだろうか.

私の所属するあるサークルの BOX(部室)には「落書き帳」というものが置いてある.しばしば「BOX ノート」と呼ばれることがあるが,これは間違いなので,注意する.それはさておき, ずいぶん前の話だけれど,某森くん(クリントンに Who are you? とたずねた人ではない)が飲み会の途中に酔っぱらってこの落書き帳にいろいろ書き連ねていたらしく, 翌日 BOX に行って何気なく落書き帳を開けて読んでいたら, 「読むなー!」と森くんが叫ぶ.一瞬考えて,「じゃあ, なんで書いたの?」と聞き返したら,「書きたかったから」という返事. 「おおっ」と思った.このとき,私は「ひとのすることの意味を深読みすべきではない」ということを改めて学んだ. 落書き帳に何かを書く以上,それが読まれても文句はいえないとは思うけれど, 私はそのとき落書き帳に「読まれるためでなく書いている」という可能性を考えに入れるのを忘れていたからだ.

深読みはしない方がいいけれど,素直によく読むことは必要だと思う.

帰ってきて冷蔵庫の扉を開けたら,キムチの匂いがすごい. 朝食のとき開けた白菜キムチの蓋がきちんと閉まっていなかったようだ. 紅玉の煮りんごがキムチくさくなってしまったかも,と気が気でなかった.

久しぶりの寒い日になった.最近ちょっと張り切りすぎたのもあってか, 風邪気味.今日は早めに寝ようっと.


■2000/11/ 8(水)

料理用語辞典をめくっていたら,フランス語で有限会社のことを societe a responsabilite limitee, S.A.R.L. というらしいことがわかった. ちなみに「株式会社」は societe anonyme, S.A. だ.どちらにしても,societe という単語が出てきたら,「会社」なのか,それとも「社会」なのか, 注意しなければ.

エスペラントには「知っている」に scii と koni という二つの単語があって,使いわけにちょっと悩むことがある. 大まかに分けると scii は「知識・見聞を通して知っている」,koni は「経験・学習を通して知っている」ということのようなので,たぶんフランス語の savoir と connaitre の違いとほぼ同じだろう. もちろん個々の言語で用例を検討しないと同じだと断定はできないし, 詳しい使い方を知るにはやはり用例を通して学ばないといけないのだけれど.


■2000/11/ 7(火)

今日はいろいろ雑誌を読んだ日だった. 久しぶりに仕事がはかどった一日でもあった.

bit 12月号によれば,すべての HTML コンテンツを Lisp で動的に生成する HTTP サーバ,Lispache というプロジェクトがあったそうだけれど, 本当に使いやすいんだろうか.本当に負荷に耐えられるんだろうか. でも確かに「1時間で60万アクセス」といったアクセスの集中をどうさばくかというのは課題だ.

bit 悪魔の辞典は「ディジタルディバイド」について.2進数の割り算は確かに難しい.

朝日新聞社の科学雑誌,サイアスが休刊に.タイトルはアルファベットで scias とつづる.生物系の記事も多かったし, 前身の科学朝日時代から愛読していた雑誌なので,残念.

インターネットマガジンの最新号,ビジネスメールのマナーについての特集が参考になった. 世の中にはときどきメールの書き方がへたな人がいる(年輩の人に多い). プライベートではともかく,仕事の上では一定の水準のマナーは身につけたいものだ.


■2000/11/ 6(月)

今日の分散情報システムの授業では,傍論ではあるが,なぜ MIME の base64 符号化に対する反対意見が出たかという点が解決されなかった. 先生は当初「uuencode よりエンコード効率が悪いから」と主張されたのだが,「それは事実に反する」と反論が出て, 撤回された.結局なぜだったのだろう.

今日は某が 31,734,350 バイトのメールを送ってきた. あまりに大きすぎて,さすがの Mew も音を上げてしまった.MIME のマルチパートメッセージ,いわゆる「添付ファイル」形式になっていたので, grep, sed を活用して各ファイルを分割し,mewdecode で復号化した.中に 23,142,400 バイトの MS Word 文書があったのが,これほどメールが巨大化した原因だった.base64 符号化では,6ビットの情報を1オクテット(=8ビット)に符号化するので, 符号化前後でサイズが 33% 大きくなることになる.この MS Word 文書以外のパート(「添付ファイル」)は合計してもたかだか数百キロバイトだった.

文書を見るととりたてて長い文書でもなかったので, 試しに「名前を付けて保存」してみたところ,サイズを 4,853,760 バイトと,ほぼ5分の1に減らすことができた.MS Office ファミリーには,「『名前を付けて保存』しないとファイルがどんどん大きくなる」という変な仕様があるので気をつけましょう, というのが教訓だ.

うちの研究室では,法律学者方面から知的財産法方面の用語についての技術調査の依頼を受け, 調査するという仕事を毎年バイトでやっている.今年は「サーバ」「キャッシュ」などのまともな用語以外に, 「単なる導管 (mere conduit)」というとんでもない用語の依頼があった.これは EU 電子商取引指令に登場している用語で,プロバイダなどの責任負担を軽減するための概念だったと思うけれど, 工学的文献で目にした記憶はないので,工学的な定義はほぼ不可能に近い. 担当者の健闘を祈る,としかいいようがない. ちなみに一昨年は「送信可能化」というこれまた不思議な用語の依頼を受け, 苦戦したという.


■2000/11/ 5(日)

総合博物館で企画展「幕末の北白川」.北白川というのは, 左京区が上京区から分区される以前の大字の一つ.なので, 面積的には非常に小さい.こんな細かいテーマで展示するなんて,不思議だと思って, 気にかかっていた.行ってみると,主な展示物は二つ. 一つは,北白川には幕末に土佐藩の屋敷が建てられていて, その屋根瓦(土佐藩製)が出土したので展示するというもの. もう一つは,聖護院には大田垣蓮月という歌人がいて, 歌をよんでは瀬戸物に書きつけて,蓮月焼という名前で売っていたという話で, その展示.

附属図書館で同じく「連歌の世界」.里村紹巴など. 一つ一つの歌を取ってみれば古今和歌集のような洗練の域には達していないけれど, ひと続きの掛け合いを追っていくとなかなか趣がある.


■2000/11/ 4(土)

今日はかなりまとまりがないひとこと.

今日はふとんを干したり,古本市に行ったり.

突然ですが,みなさんは「講」というものを知っていますか? 講座とか, 講義とか,特講とかじゃなくて,講.

私の身の回りでは,「講」などは全然ないし,「講」という名前を聞いたことすらないのだけれど, なかなか大変なものらしい.

互いに近くに住んでいる村人たちが構成する団体で, 町内会とかよりずっと拘束が激しいらしい.昔はいろいろな地方にあったらしい. 金融組織でもあったらしい.「伊勢講」などといって, 伊勢神宮に参拝する団体もあったらしい.義理人情にしばられているため, 自分の言いたいことをはっきり主張して議論できないような, 前近代的不自由さがある団体らしい.

消滅してしまったものだと思っていたが, なんかこのページを見ると,21世紀目前の現代でも愛知県某所では生き残っているらしい. 「ロ−カルコミュニティにおける相互扶助組織で、講に所属する家族に何かあると駆けつける12人からなる正義の秘密結社」 らしい.高校教員である著者は葬式に際してその「講」の人に手伝いに来られて, 「ありがた迷惑以外の何物でもな」かったらしい.仕事の分担を決めるだけで2時間半かかるは, 決まったことをやってくれないはで,さんざん苦労したらしい.

「講」は足抜けできなかったりするらしいし, それに比べたら某都銀なんて大したことないのかも.

なお,「講」のことを朝鮮語では「契」というらしい. 発音は「犬」の意味の「ケ」ではなくて「かに」の意味の「ケ」と同じで,長母音.

話変わって,世の中には話が長くてつまらなくて退屈で要点がはっきりしなくて情報量 nearly equal zero でさらに放っておくと話がループして終わらない人がしばしばいる. 前掲ページの著者も嘆いているのだけれど, 私のアパートや前住んでいたところの地元の人もみなそうなのだ. さすがに私のいま住んでいるあたりには「講」は存在しない(と思う)のだが. いい加減にしてほしいと思うのだけれど,そう言ったところで無駄だし.

さらに話変わって「おっは〜♪」というあいさつはエスペラントでは "Salut'!" となるらしい.フランス語とほぼいっしょですね.発音は違うけど.


■2000/11/ 3(金)

昨日のことで追加.研究室の事務を手伝っている人の使う PC が変更になったので, その人が新しく使うことになった PC(≠新しく買った PC)を設定した. 行った作業をメモしておく.Windows NT 4.0 Workstation 日本語版をインストール.OS のインストール後,ディスプレイドライバを富士通ホームページから持ってきてインストールして,Service Pack 6 を当て,MS Office 2000 Professional をインストール.同梱の IME 2000 をインストール.Netscape Communicator 4.75 をインストール.ユーザーを追加.

NT のインストールは慣れないもので,途中別の仕事もしつつ午後中プラス夜の時間をこれに費やした.

その後,サークルの有志が企画した「S 先生を励ます会」に参加.経済学部を出てこの春某都銀に総合職で就職した S さん(女性)がずいぶん仕事に疲れているらしいので,励まそうという趣旨のもの.

23時ごろになってようやく会場に到着した S さんによれば,会社がかなりつらいらしい.朝から深夜まで拘束されるし, やっている仕事もつまらないという.4月から半年間は定期とか預金新約とかの窓口を担当, 10月からは貸金庫とか住宅ローンとかの担当に代わったそうなのだけれど, 書類が数枚見つからないだけで何日もかけて課内総動員体制で探させるとか理不尽なことが続いたり, ささいなミスを頭ごなしに叱りつけられたりというのがほとほといやになった模様. 3年くらい支店を回ってから本店に配属されるというので, その後はもう少し創造的な仕事ができるのかもしれない,と思ってはみたものの, それまで我慢するのがベストかどうかはわからない,と思ってみたり.

一般職の人たちとの文化的ギャップもあるらしく, 「(朝来たときのあいさつで)『おっは〜♪』なんてほんとに言ってるんだよ. 私最初なんのことだかわけわからなかった」. 「男女比 1:2 でもう『花園』状態.男の子たちはほかの支店と合コンとかやって楽しそうだけど, 上の方見ると,総合職の女たちは売れ残っちゃってるね. 社外の人間関係を広げる時間もないし.どうするよー」と,将来にも悲観的だ. 重い病気とかをした社員は庶務職に配転されるなど, 敗者に冷たい会社でもあるという.結局のところこの銀行, 「人間性をすり減らす銀行」とまとめてしまってかまわないように思う.

ただ,いいこととしては,土日はきちんと休みが取れることと, 夏休みは1週間まるまる取れる(というか取らされる)ことがあるだろう,とのこと. それから,大学院卒(経済は採ってないので,理学部とかの)の人は, 入社当初から学部卒よりずっと優遇され,エリートコースが保障されている, という奇妙なことがあるらしい.

「貸金庫って申し込んでもなかなか貸してくれないよね」と聞いたら,「えっじゃあうちで借りてよ」と勧誘されてしまったが,S さんの勤めている支店はちょっと遠すぎるので遠慮しておいた.それから, 投信の残高増加に取り組んでいるらしく, とりわけ「積立購入」がおすすめらしい.「日経225種平均に連動させるやつとか, あるよ.買わない?」とか冗談で聞かれたのだけれど, 日経225種平均は銘柄入れ替え前後でパフォーマンスが悪くなるという特徴があるのでよくないなあと思った.TOPIX にならともかく.当の S さんも夏のボーナスでしっかり投資して,元本割れに泣いているという. 「いややっぱり自分でリスクを取って元本割れを経験したりないでおいて客には売り付けるというのは人間として底が浅いよね. いい経験だと思ったら」となぐさめたのだけれど,それはそれ.

ワインは Ch. Bertineau St.-Vincent Lalande-de-Pomerol 1995 赤と,S さんへのプレゼントとして買ってきたらしい Medoc(生産者名は忘れた)1997 赤を開けた.両方ともボルドーのしっかりした赤で, 私はどちらも好きだしおいしかったのだけれど, ワインに詳しい知人にいわせると「比べて飲むとおもしろいかも」.確かに Lalande-de-Pomerol の方がまろやかさと香りの点でより洗練されたワインのように感じられた.

「励ます会」で,農学部のある友人に久しぶりに会った.聞いてみると, 富士ソフト ABC に内定したらしい. ソフトウェアの開発はしばしば土木建設工事にたとえられるのだが, とんでもない体質の会社が幅をきかせているという点もソフトウェア業界と建設業界とは似ているところがあるようだ. そんな中で,この富士ソフト ABC という会社は,調べてみたところ, なかなか独特の会社でよさそうだ.

で,以下は今日の話.今日は昼から某プロジェクトで鶏のカレー風味炊き込みご飯を作ったり. ジェームズキッチンに行ったのは初めて.けっこうおいしくてコストパフォーマンスがよかった. それから夕方,古本市を開催中の知恩寺へ. ブリア‐サヴァラン著『美味礼賛』(岩波文庫)などを買った. なお古本市は5日まで開催.


■2000/11/ 2(木)

来日中のハタミ・イラン大統領が東京工業大で「日本の詩とイランの神秘主義」と題して講演. 講演の内容は通信衛星を用いた SCS(スペース・コラボレーション・システム)で中継され,私も聴講した.

「文明間の対話」を提唱する大統領は, イランのイルファーン思想という神秘主義には,日本の禅や俳句などの思想と類似性がある, 西洋近代思想以外の思想の存在を理解することが求められる, イランは地理的に東西を結ぶ場所にあるだけではなく, 東洋と西洋の両方の文化を受け入れてきた沿革から, 東西文明を結ぶかけ橋となることができる,などと述べた.

講演後の質疑応答では,学生からペルシャ語での質問を受けて思わず笑みをこぼすなど, 親しみやすさも感じられた大統領だった.

なお SCS の感想としては,微妙に映像と音声がずれるので不自然な印象を受けた. 映像はきれいなのだが,音声へのノイズは気になった.

VeriSign Global Registry Services(以下 VeriSign GRS)の発表によれば,同社は中国語・日本語・韓国語による gTLD(.com, .org, .net の3種類のドメイン名)の試験登録受付を米国東部時間で10日に開始する. VeriSign GRS は NSI の一部門であり,gTLD のレジストリを運用している. 今回開始される登録は技術的試験のためのものであり,当初は登録したドメイン名で WWW サーバ等を運用することはできない. この登録により登録されたドメイン名を正式運用開始後も継続使用することができるかどうかなど, 今後の成り行きについては,インターネットの技術面を管理する場である IETF (Internet Engineering Task Force) による手続きを経て決定される見込みだ.仮に正式運用開始後も継続使用できることとなった場合, 自社の商標などに対応するドメイン名が他社によってすでに取得されていた場合は紛争手続きによって奪還することが可能となるものの, その他の普通名詞などについては先に登録を受けた者が優先することになるので, 注意が必要だ.


■2000/11/ 1(水)

今日は授業が二つ.一つは専攻内の授業で,環境倫理学の高尚な話だった. 題材は,環境経済学でおなじみの,コモンズの悲劇. コモンズの悲劇を避ける方法としては, 私的所有メカニズムや法規制でしばるのではなく,われわれ自身が自由意志で, より「わきまえのある態度」「自然環境を『わがものとする』のではなく『支えていく』態度」を選択することこそが望ましいというのが論旨. もう一つの授業は経済学研究科の授業で,ゲーム理論の難しい話. 後半30分ぐらいは全然わからなかった.

その他,TCP のソケットプログラミングにはまだ慣れていないせいか, 自作サーバに微妙なタイミングで発生するバグを発見して,1時間ほど悩んだり.select システムコールを使うとすぐ見通しが悪くなってしまうのが困りものだ.

家に帰ってきてみると,なぜか PPP がつながらない,なぜだろう,と思って調べてみると(こういうとき kdump, truss, strace のようなコマンドは便利ですね),ATD コマンドが NO CARRIER を返している.あっ,と思ってケーブルを調べてみると, 果たしてコネクタがはずれていたのだった.

ついに先月分のエスペラント版ひとことは穴を開けてしまった…….


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★ひとこと目次 ◎ほーむ