みしっく今日のひとこと - 2004年4月


■2004/ 4/30(金・宿直)

地球儀ソフト EarthBrowser を最近ときどき試している.起動すると,画面には色彩豊かな地球が現れる.地表の緑と砂漠と海の色,昼と夜,都市の輝きの美しさは,あるいは実物以上のものかもしれない.人工衛星から撮影した現在の雲の画像をダウンロードして表示させたり,好みの速さで回転させることも可能だ.数十 MB 程度のメモリと,あるだけの CPU パワーを消費するものの,ウィンドウにフォーカスがないときは消費する CPU パワーを減少させるなどの賢さも見せてくれる.平らな PC の画面に投影する以上,リアルな丸さには欠け,端の方はやはりゆがんでしまうものの,少し頭を使えば大圏航路も知ることができるし,たとえばヨーロッパを中心に据えてズームインしてみると,意外な位置関係がわかるのもおもしろい.

鶏手羽元と新じゃがのトマト煮込みを作る.ブレゼと呼ばれる料理のことを思い出して,濃く煮つめてみた.缶詰のトマト水煮は原形をとどめないほどに.


■2004/ 4/29(木・日勤)

大型連休の初日.そういえば,後輩は初海外でラスベガスへ飛ぶらしいな,などと『地球の歩き方 アメリカ』を取り出したり,同僚に料理マスターなどと呼ばれて気をよくしてしまったり.

昨日はどうも少し飲みすぎてしまった気もするものの,身につけるものについて貴重なアドバイスをもらうことができたのでよしとしよう.そうそう,上から下まで中間色にしてしまうと印象が薄くなるというコメントもあった.考えてみればこのサイトも中間色ばかりな気がするものの,トップなどの写真がカラフルなので救われているのだろうか.

帰りに寄ったスーパーでどかどかと買い物をしてしまう.夕食は湯豆腐(シンプルバージョン),白ねぎ・ブラウンマッシュルームの素焼き,きゅうりの浅漬け,デザート代わりにりんごのストレートジュースと素朴な献立になったのだけれど,買ったものの大部分は,明日以降のための食材のストックのつもり.何しろ明日の朝昼晩と,あさっての朝晩のことを考えることになるので,一人暮らしとはいえボリュームがかさむ.ブラウンマッシュルームは,8個入りのパックで売っていて,明日作成予定の煮物のためにそのうち5個を引き当てて,余った3個は早く使わないとロスになってしまうので,気前よく焼いてしまった.


■2004/ 4/28(水・日勤)

職場近くのすすけた居酒屋で,サラリーマン風の中年から初老にかけての男性グループが多い中,6人ばかし飲み会.

最近,職場でジャケットを思い切りけなされたこともあり,3年ぶりに服を買う気分になっている今日このごろ.スーツでないが,上下の色と柄を合わせてノーネクタイにするという,ややきっちりしたカジュアルスタイルなどがおすすめだとか,紳士服の××というのは営業用のスーツなどを売っているところなので,そうでなくて,スーツ××とかいう名前のチェーンに行くといいし,まずは無印良品で選んでみるのもいい,やせているなら適度に絞りが入った方がいい,など貴重なコメントをもらう.


■2004/ 4/27(火・週休)

駅の八重桜が盛りを過ぎていたところに突風が吹き荒れたので,花があらかた落ちてしまった.

たまプラーザへ.これまであまり訪れていない駅前ながら,宮崎台,宮前平,鷺沼,たまプラーザと,4駅4.9キロしか離れていない近場である.金沢まいもん寿司へ.函館市場よりさらに上のクラスに属するすし屋さんで,上質な魚介類を揃えていて,器もいいものを使っている.新宿,神田,新橋といった都心にこういったコンセプトの店があれば同僚などと気軽に足を運べるのかもしれない.

続いて,同じ並びにあるベルグの4月へ.2年半ほど前,Internet Week 参加のため横浜に来た折に中川店に足を運んで以来の,名の通った洋菓子店で,タルトタタン(りんごと折りパイ生地からなる焼き菓子)とハートベルグ(ガトーショコラに似た焼き菓子)はつとに有名である.タルトタタンの季節になったらぜひ買いに来たいし,ウィークエンド(パウンドケーキに似た焼き菓子)も気になるところ.

スタニスラフ・レム『ソラリスの陽のもとに』を読了.言うことなすこと行き当たりばったりで,同僚とのコミュニケーションも十分にとれない主人公は仕事人失格だろうし,遠い惑星にまで派遣されるほどの研究者ならば,もっと現象を冷静に見る訓練を積んでいるはずなのにと首をかしげるのだけれど,奥さんとの心の通わせ方は実に生き生きとしていて感心した.はたと気づいたのは,Solaris 製品のロゴって,赤と青の太陽なのだ,ということ.


■2004/ 4/26(月・週休)

日が長くなったので,夕食を早めにとって,18時に家を出て買い物などする.溝の口周辺は平坦なので自転車を走らせるのが快い.輸入食品店で,ジャムを2,000円分も買い込んでしまった.それほど値の張るジャムでもないというのが微妙である.

電車と乗客 写真12枚連作.車両がしだいに混み合っていく様子を活写した作品で,冷静な観察眼で乗客の動態を切り取ろうとする説明文付き.身動き不可段階をとらえた最後の写真が圧巻である.


■2004/ 4/25(日・宿明)

帰って寝て,起きたら18時.

私は長い間 FreeBSD ユーザーだったこともあり,Linux の発展はすごいものだ,と知ったのはつい最近になる.ここ2,3年は本当に FreeBSD などは及びもつかなくて,安定した OS,仕事で使える OS を作り上げようという方向に資源が投入されているという状況.ハードウェアベンダは自社製品用のドライバや管理用ソフトを次々と提供するし,カーネルにコントリビューションしたりしつつ,個別ユーザーへのサポートも手がけている.やはりサーバ用途の方がハードウェアベンダのサポートは手厚いものの,デスクトップでも動作確認済みのマシンが出てきている.Windows と異なり OS ベンダも複数あって(Red Hat, Miracle Linux, Turbolinux が主なところか),それぞれが思い思いの製品を販売していて,サポート期限も他のオープンソース OS に比べて長い.OS には,どこかの商用 UNIX で見かけたような機能が追加されてきたり,ロックの単位を小さくしてマルチプロセッサ周りのオーバーヘッドを少なくしようとか,高機能高性能なファイルシステムを採用しようとかいう方向も商用 UNIX に似ている.オープンソース運動の成功により,いままでのボランタリーで片手間仕事だったプロジェクトが大きな変貌を遂げたという格好か.

最近は UNIX 関連の雑誌も本も全然読んでいないので,以上のようなところはすべてウェブで仕入れた情報.このあたりで雑誌などきちんと読んでおいて知識のブラッシュアップを図らなければ.


■2004/ 4/24(土・宿直)

法教育という視点からいろいろと探していて,南 英世の 政治・経済学講義ノートを探し当てた.

高校での授業内容を再現したものという.考えてみれば,政治・経済を48時間で全部解説してしまおうというのはきわめて野心的な試みである.各ページとも極力明快な説明を心がけており,書きにくいことをはっきり書いているので興味深い.意見が分かれる論点で複数の意見を比較して論じたりしているところが少なかったり,理論的厳密さを追求していないのはやむを得ないだろう.一般の高校生がすぐに全部を理解できるとは思えないけれど,社会に出るまでには理解に到達してほしいところ.

どうも,いま持っているカジュアルなジャケットの評判がよくないので,近所の大きな服屋さんで買ってから出勤……しようと思ったのだけれど,いいものが見当たらず,ジャケットは買えずじまいとなった.難しいものだ.


■2004/ 4/21(水・週休)

飯田橋,渋谷へ.東急ハンズで額縁を手に入れる.B3 とほぼ同じ寸法のもので大衣判というのがあったので,それを選んだ.ついでに地球儀を鑑賞する.地球儀というのは子どものころ欲しがって親に買ってもらって,何年かさんざん使ったあげく,最終的には扱いがていねいでなかったために壊してしまったことがあるので,私にとってはほろ苦い存在なのだけれど,仮に大切に扱っても十年二十年と長持ちするものでもないということを知ったのは,やはり私も年を取ったということなのだろうか.子どもの学習用というだけでなくて,アイスランド,グリーンランド,カナダ,ロシアなどなどに思いをはせるときには,ぜひ使いたい道具である.原宿付近まで足を伸ばし,ペルティエでりんごとゆずのシブーストを購入した.創作フランス菓子とでも名づけたらよいのだろうか,普通のケーキを一通り食べてしまった人にすすめたい味だ.ただ,日本の一般的なケーキに比べてしっかり甘くしてあるところは好みが分かれそうだ.チョコレート,焼き菓子も置いている.


■2004/ 4/20(火・週休)

某法律相談サイトにモデム回収に5,000円?!という Q & A があるのを見て,一瞬,某大手 ADSL 事業者かと思ってしまったが,調べてみるとそうではなかった.長崎ケーブルメディアが,その一例らしかった.確かに,ケーブルインターネットというのは競争が少ない業界だからそうした手数料を取ることもありそうなものだし,違法かというとそうでもないのだろうけれど,ADSL はもとより電話も含めた通信サービス市場というくくりで見れば,解約時に少なからぬ額の手数料を取るというのは一般的なことではないので,契約時に十分説明をしなければ利用者には納得のいかないところが残ってしまうのだろう.


■2004/ 4/19(月・宿明)

いつも,泊まりの日は家で休んでいるだけなのだけれど,「寝すぎだ」などという意見もあり,昨日は図書館で1時間ほど過ごしてから出社してみた.

それで読んだのが,ジュリストの法教育に関する特集.

法教育という言葉はまったくなじみがなかったけれど,考えてみれば○○教育という言葉は他にもいくつかあることに気づく.環境教育しかり,開発教育しかり.伝統的な教科の枠に収まらない問題に関する教育分野を,しいて○○教育と名づけるのだろう.したがってこの法教育というのも,高校までで法に関することを教えることを意味するということで,司法改革の一環として法務省に研究会が置かれたのが昨年夏のことで,この雑誌のお決まりの,座談会形式なのに一人一人の発言がかなり長い文章でいろいろ述べてあった.

法教育という見方をとってみると,小学校から社会科では憲法をはじめ,身近な社会の領域に現れる法的現象を取り上げるし,担任の学級運営も,何がしかの規範意識や自尊感情,児童生徒が互いを理解し尊重するような行動をとる力をはぐくむようなものであるはずだし,国語の授業や道徳教育なども含めて,数々の法的思考様式についてもっとも基礎的なところを事実上教えているわけだけれど,これは大変難しいことであるに違いない.私自身についていうと,「日本国憲法の原則は基本的人権の尊重,国民主権,平和主義(と教科書に書いてあるが,戦争の放棄と表した方が適切)」という話だけを鮮明に覚えている.特集では校則の話も出ていたけれど,生徒の規範意識の発達を促すのにはあまり役立たない存在であるといえる一方で,成文規範がないか著しく抽象的で,過去の乏しい処分事例などから,現在通用しているであろう規則をうかがい知るしかないとか,恣意的な指導がなされるよりはましという面もある.

多摩ニュータウンまた7割引.京王堀之内駅から徒歩10分の立地というのは,東京に通うのにはやや不便そうだ.


■2004/ 4/17(土・日勤)

世の人が夏の海外旅行の予定を考える時期になった.ユースホステルしんぶん今号の表紙特集は,東欧だった.チェコのプラハやチェスキー・クルムロフ,ハンガリーのブダペストなどがいいという.美しい建物を眺めたい向きにはうってつけだろう.一方 Time Asia 今週号に,ドバイの観光産業の成長ぶりを概観する記事が載っている.ドバイは快適で安全かもしれないけれど,何もかも絢爛豪華で壮大すぎる印象もある.中近東からヨーロッパにかけての地帯のリゾートに行くとしたら,かつてはレバノンがよかったのだろうけれど,ここ数十年は混乱が続いているので,いまの時代はモロッコのアガディールなどがいいのだと思う.モロッコは漁業国なので日本ともかかわりが深く,アイスランドなどよりはずっと交通の便がよいものの,日本人観光客はまだ少ないという.気候のことを考えると,夏場は地中海北岸の方が観光に向いているようだ.冬場に,吹きすさぶミストラルから逃れるべくモロッコを訪れるのがよいのだろうと思案する.

私はというと,今年は特に予定はなく,韓国の地方都市を回ってみるのも味があると思うけれど,都市ごとの歴史や風土については日本やフランスの地方都市についての方が詳しいし,フランスは昨年訪れたばかりなので,今年あたりは日本の都市を回るというのが順当か.それを思うと,ワイド周遊券が廃止になってしまったのは惜しい.


■2004/ 4/15(木・週休)

作家の鷺沢萠さんが死去.ソウルに留学した際の随筆,『ケナリも花,サクラも花』を興味深く読んだのは,もう9年ほども前のことだったか.

先週に続き,首都圏駅前観光.

表参道から東京メトロ千代田線を利用し,湯島駅で降りる.不忍池べりを歩いて東京都美術館へ.一帯は広い公園になっており,美術館や博物館などが何棟か点在していて,京都の岡崎あたりを思わせる.今日が初日の展覧会の前売券を買ってあって,オランダ・フランドルの神話画,宗教画,風俗画,風景画,肖像画などをたんのうする.額絵を買ったのだけれど,B3 の額縁を持っていないので,東急ハンズかどこかで手に入れなくては.

上野駅の今風な専門店街(他の JR 駅と同様に,アトレという名前がついている)をざっと見て,御徒町駅との間の商店街へ.こちらはアトレと対照的な雰囲気で,聞いたことのない名前の小さな店ばかりで,どういう素性の品物なのかよくわからないものが並んでいたりして,ソウルの南大門市場を思わせる.以前ここで Fortnum & Mason の紅茶を安く買った覚えがあるものの,探し方が悪かったのか,今日は見つけられなかった.「古家」なる小さい居酒屋でコムタンを食べて,上野駅に戻る.

上野駅は東北本線・常磐線の終着駅なので,ホームがフォーク状になっていて,これぞ汽車の駅!というようなのんびりした居心地のよさを感じさせる.常磐線列車土浦行き15両編成に乗車する.上野を出ると,日暮里,三河島,南千住,北千住と止まった後は,途中駅をすべて通過して(もともとホームがないのである),ほどなく松戸駅に到着する.松戸には JR のほかに新京成電鉄が乗り入れていて,京成津田沼まで 26.5km を40分で結んでいるらしい.駅の東口は,小さなペデストリアンデッキがあって,まっすぐ東に進むとイトーヨーカドーに突き当たる.6階建ての大型の店舗である.その東側が小高くなっていて,地裁・家裁の支部,公園,大学のほか,大きめのマンションが立ち並ぶ.いずれも駅歩5分の好立地である.

歩を返し,線路を歩道橋で越えると,伊勢丹がある.パリの食料品店で日本では紅茶などを中心に販売しているエディアール,神戸発洋菓子店のアンテノール,そして東北の和菓子店(だと思う……)の白松がモナカが同居しているのは,ほほえましい取り合わせだ.伊勢丹から北へ歩くと駅西口になる.東口に比べて西口の方が商業地が広がっていて,銀行なども西口にある.外れには市民劇場があり,その先には江戸川がとうとうと流れる.駅ビルはボックスヒルという名前がついていて(ルミネではない),伊勢丹に比べ品揃えがいまいちで雑然としているのはいただけないものの,にぎわっていた.

松戸駅近辺は,東口も西口も道路が直交していてわかりやすく,歩道は十分な幅が確保されていて歩きやすい.コンパクトなエリアに都市機能がまとまっていて,環境もよく,無秩序ではなく人工的すぎず,暮らしやすそうな街なのだった.唯一の弱点は,新宿方面へのアクセスだろうか.

帰りは緩行線を利用することにした.梶が谷まで改札を出ないので,Suica で改札を通ってしまうのではなく,北千住までの乗車券を買った.ほどなく到着した代々木上原行きの電車に乗り込む.40分余りで表参道に着き,乗り換えて梶が谷で降りる.精算機に手持ちの乗車券を入れると4種類の経路が表示され,うち1つを選択して定期券を入れると正しく東京メトロ区間の精算額が表示されたのは,さすがだった.


■2004/ 4/14(水・週休)

東京外大で作られた TUFS 言語モジュールは,すごい.「はじめに」に,

TUFS言語モジュールは,21世紀COEプログラム「言語運用を基盤とする言語情報学拠点」の研究成果を活かし開発した,新しいインターネット上の言語教材です。
英語以外の言語教材は,主として大学生が初めて新しい外国語を学ぶための教材として用いることを想定しています。英語については,小学校での総合学習又は中学で,初めて学ぶ外国語としての英語を念頭に開発しました。日本語については,順次各言語からの学習を可能にすることを予定しております。

とあり,トップページから言語名を選び,「会話」タブ,「学習者用を始める」ボタンをたどると,40種類の会話のどれかを選んで学習ができる.会話は動画付きで,ブラウザ上で会話全体を通しで再生できるのはもちろん,一文一文区切って再生するのも CD などと異なり簡単だし,文章,日本語訳を表示させるかどうかも選べる.リピーティング,シャドウィングや役割練習は実用的なものだし,実験的な試みなのだろうか,書き取り練習までできてしまう.書き取りは部分穴あけと全文書き取りのどちらかを選べて,入力し終わったらボタンを押すと採点してくれる.

NHK のラジオ講座入門編や,市販の初心者向け CD 付き教材をマスターしたぐらいのレベルでこの教材を使えば,大いに役立ちそうだ.

夕食は,めかじきのソテー トマト・オリーブソース.久々に満足のいく料理ができた気がした.


■2004/ 4/13(火・宿明)

昨年,課長が3億円を着服していた宮内庁信用組合

 同信組は、組合員約1540人、預金残高約50億円という小規模信組で、店舗は皇居内にある宮内庁の本店だけだった。
 窓口業務は、3億円余を着服していたとされる元総務課長を含めて数人で行っていたが、業務は電算化もされておらず、入出金の伝票処理は手作業、現金の出し入れもすべて手渡しで行っていた。ATMはなかった。

預金残高50億円という規模の小ささもともかく,業務が電算化されていなかったというのには大いに驚いて,いろいろ想像をめぐらしてしまった.

商業銀行がもっとも早い時期からの計算機システムの代表的な利用者であることは周知の事実.生産管理システム,在庫管理システム,プラントの監視や制御のシステムなどといっても,その業務にあまりかかわりのない人には,どんな業務で,計算機システムの導入によって何がよくなるのかなどから説明する必要がありそうだけれど,銀行の勘定系システムならそういった点は説明不要ということもあって,計算機システムの例題としてよく取り上げられるのだけれど,それだけに手作業での業務というのはかえってエキゾチックな香りのするもの.

手作業の銀行(コンピュータがない銀行だから,ナイコン銀行とでも呼ぶのだろうか)では,普通預金用の元帳(やはり口座番号別のバインダーになっていたりするのだろうか)が,専用の書棚に置かれていて,それが日々更新され,業務のコアになるのだと思う.他に,定期預金・貸出用の帳簿,預金勘定以外の勘定用の普通の会計帳簿を備えておく.万一,災害などで元帳が滅失した場合も,顧客の通帳に元帳の記載内容がすべて記載されているはずなので,致命的な結果は生じないはず.実際には,半年に1回とかの頻度で元帳の各口座最終行の控えを取っておいて,どこか別の銀行の貸金庫にでも保管しておき,万一のときはそれと受払いの伝票から元帳を再作成するということになるのだろうけれど.

普通預金周りのレギュラーな業務は,口座開設,解約,預金受入れ,払戻し,利子計算,振込み,振込受入れでだいたい全部だろうか.もっとも多いと思われる預金払戻し業務では,払戻請求書と通帳を出すと,キーボードも何も叩かないのはもちろん,元帳も見ずに応対が完了してしまうのだと思う.ときどき振込みなどもあるだろうし,通帳紛失,名義人死亡などのケースに対応するためにも,通帳未記入取引あり等口座一覧表とかいうのを毎日営業開始前に作っておいて,それを見て元帳を参照しに行くかどうかを判断するのがいいのかもしれない.後で時間のあるときにまとめて元帳への転記を行うのだろう.

私はバッチ処理というのがどうしても身になじまなくて,何か処理をしたとき,関連するデータが即座に更新されるのでなく,処理の結果が非同期に反映されて,不備などによるエラーが後で発生したり,それを要求元に返送するフローがあったりというのが,システムを使いにくくするだけでなく,開発運用コストを逆に増加させるような気がしてならず,せっかく計算機を使っているのだから,何でもリアルタイムで処理してほしいなどと思ってしまうのだけれど(UUCP のメールのように,下位レイヤが間欠接続になっている場合は別),こういうレトロな環境だと,未処理の伝票を一定時間保持しておき一括して処理するというのは,仕事の能率を上げるためには自然なことに違いない.たとえ預金受払いをリアルタイム処理にしてしまっても,振込みは,自行口座からの出金処理,他行預金を通じた決済処理,振込先銀行口座の入金処理をすべてリアルタイムに行おうとすると,手作業では非常に高くついてしまうに違いない.

同信組は店舗が本店のみなので関係ないけれど,仮に支店があるとしたら,他店口座の取り扱いが発生することになる.他店の元帳は読み書きできないので,通帳未記入の出金取引等があった口座の一覧表だけを毎朝全店で共有しておき,他店で受払いがあった場合は伝票を取引店に送るということになるのだろうか.通帳紛失情報だけは営業時間中にも即時に全店で共有せざるを得ないので,全店の電話会議か何かを設定することになるのだろうか.このあたりはまったく想像の世界になってしまう.


■2004/ 4/11(日・日勤)

何事もなかなか思い通りにいかないことが多いことを感じる今日このごろ.目指す水準が高すぎるというのだったら話は簡単なのだけれど.今日もどたばたしてしまった.

イラクの治安悪化が活発に報じられるものの,ソマリアの事態もまったく改善していないらしい.氏族抗争が続く群雄割拠の状態のままで,経済発展・国民の生活水準向上もおぼつかない状態のようだ.


■2004/ 4/10(土・日勤)

夕食に,ブラウンマッシュルームを焼く.とてもジューシーに仕上がった.すだちかなんかを絞ってもいいけれど,今日はシンプルに何も足さずに食べる.ブラウンマッシュルームはホワイトマッシュルームに比べて風味が強く,きのこの王道を行く味のきのこの中では,一番手に入りやすいものと思う.

ラジオアラビア語講座を聴き始めることにし,今日がその第1回.アイスランド語もほとんど身についていないのになぜ,という疑問もあるけれど,しばらく前から NHK がラジオ講座を開設したので,気軽に始められるようになったから,というのを部分的な回答にしておく.週1回30分というのは少し物足りないけれど,まずは文字を着実に覚えていこう.


■2004/ 4/ 9(金・週休)

京急沿線を散策.

まずは東急大井町線の終点,大井町へ向かう.行き止まりの駅で,ホームの端に改札口があるので二子玉川駅のような雰囲気.そのすぐ向かいに京浜東北線の改札口もある.駅を出たところにイトーヨーカドー.阪急の百貨店もあるらしい.駅を出ると左右に広い道路が延びていて,その両側が商店街になっている.付近では有力な商業地なのだろうか.商店街の雰囲気は二子玉川というよりむしろ溝の口に似ているけれど,ペデストリアンデッキはない.

京急の鮫洲駅まで歩く.このあたりは一転して閑散としていて,行き交う車のみが多い.優等列車通過待ち駅だった.

京急は駅間が短い.立会川,大森海岸,平和島,大森町,梅屋敷に止まって,京急蒲田で羽田空港行きに乗り換えて糀谷へ.糀谷は,落ち着いた感じの商店街が住宅地に連綿と続いていて好印象.スーパーもある.

徒歩で京急蒲田へ戻る.駅周辺では連続立体交差化の工事が行われている最中だからか,駅前は登戸のように狭くて残念だけれど,JR 駅方面へ続く商店街は道幅がほどよい広さのアーケードになっている.

京急蒲田から下り列車で生麦へ.駅の北側の,岸谷,東寺尾東台を歩く.地方都市の海辺の住宅地を思わせる,風格のある街区.商店が散在していて,道が広くなく,住宅の1軒1軒の敷地が広めだからそう感じるのだろう.駅前のスーパーは狭いけれど,近くにコープかながわのお店がある.

さらに北へ歩くと第二京浜,つまり国道1号線.付近の貼り紙によれば,夜になるとここのデニーズを拠点にする暴走族が出没するらしい.

しばらく横浜方面に歩いて,子安台,新子安へ.日産グラウンド脇を通り過ぎて,新子安駅へ向かう.駅前にはオルトヨコハマと名づけられた再開発ビル群があって,超高層マンションのほか,そうてつローゼンが入っている商業施設と,オフィスビルからなる.生麦に比べると便利さではまさっている駅前のようだ.

京浜東北線・南武線で帰宅.


■2004/ 4/ 8(木・週休)

地理について考えた日.

いま使っている神奈川県の区分地図が7年前発行のもので,新しく建物が建ったり,住居表示が実施されたりして,不便を感じることも多くなったので,新しい地図を買った.道路地図ではないけれど,ほぼ B5 判と,少し大判の地図.東京の地図と違ってあまり持ち歩くことがないし,神奈川県の地理には詳しくないので,文庫判などの細切れになった地図よりも,サイズが大きくて広い範囲が見渡せる地図を使った方が理解が早いのかなと.高いビルは立体的に描いたりしていて,マリンタワーや氷川丸まで描き込まれていて楽しめる地図であった.

地図といえば,日本地図センターのサイトで,全国の彩色地形図が閲覧できるようになっていることに気づく.紙の地形図に比べて,解像度は低いけれど,色数が多いので,特に山間地や島などを含む図幅は見て楽しめるもの.

川崎市高津区の地盤首都圏の都道府県別の解説).梶が谷,溝の口というのは,台地と低地の境なのだ.いつも自転車を乗り回すところは,多摩川の氾濫低地なのだと認識を新たにする.地盤はよくないのだとしても,平らなのがよい.起伏に富んだ地形だと,何かと「地下室マンション反対!」だの何だのと住民トラブルが起きそうだし,かといって谷を盛土で埋めて平らにした土地は,大雨や地震で地すべりが起きそうで,かえって低地に比べて災害に弱そうだ.


■2004/ 4/ 7(水・宿明)

佐々木さん,fj.soc.law でおなじみの佐々木将人@函館さんのサイトを久しぶりに訪れてみたら,ぺんぎん屋(生きているペンギンもペンギングッズも商うらしい)における法律関係,ぺんぎん質店,刑法概論などが掲載されていた.ぺんぎん質店のところに,転質についての議論が載っていて懐かしくなる.民法の最初の方から読んでいくと,最初はあまり難しい話も出てこず,物権的請求権,177条のあたり,物権行為の独自性・有因性についてなども表面的な理解は可能なのだけれど,転質というものは,頭の中でイメージするのが難しい上に,いくつかの説が激しく対立しているという論点で,すっかり参ってしまったという思い出がある.それでいてあまり世の中で役立ちそうな論点でもない.

ついでにいろいろ調べていて,日仏の不動産登記制度について下記のような指摘を見つける.独仏日韓と不動産法制はさまざま(英米の制度はもう理解を超えている)だけれど,範をとったフランスとも手続き的な面はだいぶ違うのだと知る.

意思主義と対抗要件主義を採用している点では,わが国の登記制度は,フランスの登記制度と同じである。しかし,登記の真正を確保するという観点から見ると,フランスの登記制度が原因証書として公正証書を要求する(フランス不動産登記法4条)のとは異なり,日本の不動産登記法は,原因証書に公証を要求しないばかりか,原因証書がなくても,登記申請書のコピーで代替できる(不動産登記法40条)としている点で,二つの制度は,根本的に異なっている。

■2004/ 4/ 6(火・宿直)

久しぶりに弁当箱を取り出し,夕食を詰める.八重桜の花の塩漬けを塩出しして炊き込んだ桜ご飯をはじめとして,春らしい取り合わせができた.

先週発売の Time に,Hamas の取材記事が載っていた.人間は自分が力を持っていると感じられることを誇りとする存在なのだろうけれど,その手段がテロ行為だというのは悲しいことだ.


■2004/ 4/ 5(月・日勤)

常のように,席に座って仕事をする.金曜日に出ていた周知を読み飛ばしてしまって,へこむ.18時から自分の仕事を少しだけ進めて帰る.


■2004/ 4/ 4(日・日勤)

世間が休日なので,通勤が非常に楽なのがよい.いつもは乗車率 190% くらいの大変な混みっぷりなのが,今日はざっと乗車率 90% 程度で,会社に着くのもやや早い.

首都圏の市街地の発展のしかたとして特徴的なのは,百貨店が建つような繁華街が,東京からある程度離れた駅の駅前に忽然と出現するということ.田園都市線でいうと,二子玉川,溝の口,たまプラーザ.中央線だと,吉祥寺,立川.小田急線は,ちょっと離れるけれど町田と本厚木だろうか.いま住んでいるところが首都圏の住宅地の典型かどうかはわからないのだけれど,どうも梶が谷というのは,左京区南部のようなところと違って,品揃えのよい専門店が見つからないので,何か買おうと思うと百貨店へ行って探すということになる.

無論,山手線の駅まで行けば何でも買えるというのはわかっているのだけれど,渋谷,新宿,池袋と,どうも人が多すぎる上にごみごみしているのが難点なので,できれば休みの日は山手線の駅まで出向かずとも,手近なところで買い物をすませられるといいのだと思う.将来引っ越すことがあれば,職場に近いかどうかということだけでなく,こういった,都心から離れた繁華街へのアクセスが便利かどうかということも考慮に入れるといいのかもしれない.


■2004/ 4/ 3(土・週休)

うららかな日.りくるうとこすぷれ密度が高いと思ったら,大学の入学式だったり.

白金台の八芳園でボージョレーワイン試飲会.園内では桜が見ごろで,散在する数寄屋風のあずまやなども興味深く眺める.試飲会はボージョレーワイン委員会,EU,フランス食品振興会の主催とのことで,ボージョレーワイン13種類とドイツワイン1種類が振る舞われた.開催は明日までで,昨年は2,000本ものワインが開けられたのだという.

Beaujolais blanc, Chiroubles, Régnié, St Amour, Fleurie, Juliénas を少しずつ飲む.総じてタンニンが穏やかなのがボージョレー全体に共通する特徴だということを再認識した.St Amour は果実味が豊かで,お酒として単体で味わうのによさそうだ.こくのある肉料理などに合わせるなら,Juliénas が一番か.Beaujolais blanc は丸みがある味で,刺身などにも合うかもしれない.同一産地で異なる生産者のワインを飲み比べてみるのも趣のあるものだった.


■2004/ 4/ 2(金・休)

風の強い日.

2月のG7(先進7か国財務相・中央銀行総裁会議)は,米国フロリダ州・ボカラトンで行われたことを知る.


■2004/ 4/ 1(木・宿明)

昼ごろの帰宅は晴れやかに.営団地下鉄の駅構内の表示物等がいっせいに東京メトロのものに変わっていることに気づく.

年金問題の議論が盛り上がっている.基礎年金についていえば,第3号被保険者問題のような細かい個別の問題点もさることながら,賦課方式の保険料は税と同様の性格を持つものなのに,負担が所得や消費にかかわらず一定だというのは,やはりいろいろと問題が出てくるもの.

国民年金の保険料未納・免除による収入減の一部を厚生年金等が一部補填する構造になっている(たとえば野口悠紀雄氏による解説を参照)など,計算が粗っぽくどんぶり勘定になっているのも問題.どんぶり勘定といえば,生保と認可共済の間では後者の方が年齢にかかわらず料率が変わらなかったりとどんぶり勘定度が高いというのがよく指摘されることだけれど,そんなのは目じゃないという感じ.

スクラッチから(=ゼロベースで)国民各層の納得を得られる制度に作り変えないと,だめだ.

Netsky.Qに感染したマシンの3分の2以上が日本.日本を局地的に狙った可能性を否定できない,と.ふうむ.

NetNews,メール,IM と,ふと見渡せばインターネットのメッセージ交換サービスはどれも,当事者が希望しない通信ばかりで埋め尽くされてしまった感がある.この種のサービスは,署名か切手みたい仕組みが入っていないと,弱いものだと知る.