懐中汁粉


小豆あん,砂糖などを合わせたものを,焼き物で包んだ和菓子.通常,あんはつき固められている.皮が最中皮の場合は外見が最中にそっくりであるが,まったく別の菓子である.食べる際は外側の皮を割り,中のあんを椀に盛って,熱湯を注ぎ,箸などでかき混ぜた後,皮を浮かべる.あんがつき固められておらず皮で包まれてもいない商品もあり,こちらは懐中汁粉と呼ばれないものの,熱湯を注げばお汁粉になる点に相違はないため,同様に扱うこととする.

虎屋「小鼓」

鼓のように丸く作った最中皮の中央に,虎屋のマークが浮き彫りにされている.浮き実は入っていないものの,中のこしあんは上品かつスタンダードな味.

文明堂

最中皮.関東ではスーパーで見かけることが多く,1個当たり100円(税別)と安価.浮き実が2種類入っていて,味のコントラストが楽しめる.

鶴屋吉信「懐中しるこ」

今出川通堀川西入ル北側.餅皮,すなわち餅を薄くして焼いたので中身のこしあんが包まれているタイプ.

鶴屋吉信「木々の露 風流しるこ 花吹雪」

皮で包まれていなくて,銀色のプラスチック系の包装材に包まれている.求肥のような少し大きめの浮き実やあられを砕いたようなものなど,独特で色とりどりの浮き実が目を楽しませてくれるので,おすすめ.

木々の露シリーズには「みつ豆くず湯」「挽茶あられ」もある.このうち「みつ豆くず湯」はその名の通り,実沢山の葛湯にほかならず,懐中汁粉とは大きく隔たった甘味である.「挽茶あられ」はまだ試していない.

永楽屋

河原町通四条上ル東側.茶色をした薄い餅製の皮にこしあんが包まれている.味はよい.余談ながら,当店は佃煮など塩辛い商品も並べているのが特徴.

長久堂「千歳」

上賀茂.焼き色をつけた薄い餅皮にあんが包まれている.塩味がかなり濃い.「鳰の浮巣」という葛湯も売っている.

二條若狭屋「不老泉」

二条通小川東入ル.レトロな印刷の紙箱に入っている.ぜんざい版,抹茶版などがある.あまり小豆の味がしないので,お汁粉というより葛湯という感じの食べ物.浮き実は評価できる.

高島松月堂

秋田.確か最中皮だったと思う.浮き実が3種類に,小豆も入っていて盛りだくさん.北国とて冷めないようにとの気づかいなのか,でんぷん質でとろとろに仕立ててある.

甘春堂

透明なプラスチック包装材で包まれている.こしあんタイプを試した.求肥,鳥をかたどった緑色のあられ,細かいあられの3種類の浮き実が入っている.本店は川端通正面大橋角にあるらしい.