みしっく今日のひとこと - 2013年12月


■2013/12/23(月)  「本当に弾いているのか、それとも半自動演奏機能を利用しているのか、簡単には分からないようにできる楽音発生装置」

昨日,半分趣味っぽく特許DBを見ていたら,大真面目なんだろうけれど,思わず吹き出しそうな発明が出願されているのを発見.特許公開2007−78974.出願人: 株式会社河合楽器製作所.適宜略しながら引用を.

【課題】本当に弾いているのか、それとも半自動演奏機能を利用しているのか、簡単には分からないようにできる楽音発生装置を提供する。

【発明の詳細な説明】本発明は、所謂ワンキープレイと呼ばれる自動演奏機能を有する楽音発生装置に関する。 従来から、楽器に自動演奏機能を付加することは多いに行われており、演奏のできるできないに拘わらず、音楽を聴けるため喜ばれていた。
また電子鍵盤楽器では、所謂ワンキープレイと呼ばれる機能を利用すると、曲目を選択した後、いずれかのキーを押す(押鍵する)ことで、選択曲の最初の音符から、キーを押す毎(押鍵毎)に、順に再生するものも知られている。この機能を有するものも、音楽を楽しみたい人に受け入れられてきた。
このワンキープレイは、マジック等の遊びの要素が含まれており、何も知らぬ人にとっては、「この人はこんなに演奏がうまいのか」と思うし、しばらくしっかり演奏を見ていると、「なんかへんだな?」と思い、そのうち、「なぁーんだ、自動演奏か」と理解される。
この過程は非常に有意義であり、街頭などでデモ演奏をやったり、友達同士で楽器を弾いて遊ぶときにも、最初は本人が100%演奏しているのか、自動演奏か分からないところに、面白みがある。
しかし、上記ワンキープレイ機能を利用するときには、曲を選択するという操作が不可欠であった。例えば100曲以上ある中から、所望の曲をパネル上のディスプレイに表示してから選択するという操作が必要であり、「メロディは覚えているけど、曲名が出てこない」という場合は、演奏しようとする者は、非常に混乱を来すことになる。
また、ワンキープレイ機能を利用する場合には、自分の弾いた鍵盤の音高では発音されないのが常であり[すなわち押鍵は発音(演奏)開始の指示を与えるに過ぎない]、ワンキープレイ機能を利用するモードにいながら、100%マニュアル演奏を披露することはできないという問題があった。
すなわち、演奏者もその周りの聴衆者も、ワンキープレイ機能であることが自ずと分かってしまう状況にあった。そのため、本当に弾いているように上手に見せようとしても、すぐに見破られてしまうことになる。
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、本当に弾いているのか、それとも半自動演奏機能を利用しているのか、簡単には分からないようにできる楽音発生装置を提供せんとするものである。

「何も知らぬ人にとっては、「この人はこんなに演奏がうまいのか」と思うし、しばらくしっかり演奏を見ていると、「なんかへんだな?」と思い、そのうち、「なぁーんだ、自動演奏か」と理解される」「本当に弾いているように上手に見せようとしても、すぐに見破られてしまうことになる」といった記載ぶりに迫真性を感じました.

なお,この発明は請求の範囲が一部縮小されつつも,しっかり特許登録されています(特許4675731).

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